武道大会 7 〜本戦前日夜〜
予選会が終わり、サトルを伴って寮へ戻って来た。
兄さんとアルクェイドはそれぞれの家(寮)へ帰って行った。クレアも今日は宮殿へ行く事になった。そうしないとイスレイくんが来たいと駄々をこねてしまうからだ。しかし、今日は祭りだ。
「悪いな俺まで」
「お兄ぃなに言ってのよ。ここはお兄ぃの家でもあるのだからね!!」
「そうだぜ兄貴」
「サトル、遠慮は要らないぞ」
「そういう事ですよ。サトルさん」
「ああ。そうだったな」
「そうよ。サトル」
「なにもともあれ食事にしましょう」
「そうね。用意しましょう」
「はい」
私とがぶり姉ぇで皆の食事を作り、テーブルに並べ食事をする。ステラ先生が。
「試合を観ていたが、選手の誰一人として、使い魔を喚ばなかったな」
「そうですか?私達の対戦相手のチームも誰一人と使い魔を召喚はしてはいませんでしたね」
「私達の対戦相手チームも居なさそうだったわ」
「⋯⋯⋯うん。人間以外居なかった」
「やはりな。まあ、私達もお前達で言う使い魔とのレベルアップ?か。そいつを実現しないと、学園での使い魔召喚が無くなるぞ」
ステラ先生は危機感をもっていた。
「そうですね。頑張って条件を捜さし出さないとね」
「そうだけどさ、その条件が全くいいほど判らないのよね~」
「はい。ヒルドと一緒にあれこれとやってはいるのですが、これと言って、魔力量が格段に上がっている感覚がありません」
「ウム、その通りじゃ。まあ、そのあれこれで、あるじと妾の魔力量が上がっておるがのう」
「ハハハ⋯⋯⋯」
リクが苦笑いをした。
この2人はどのくらい、あれこれをやったのか?きっと、この2人の事だ思いつく限り、めちゃくちゃにあれこれをやったのだろうな?
「やはり、ランクが低い使い魔を持っている生徒に使い魔との絆をMAXまでやった方が良いのでは?その方法が確実ですしね」
私が提案する。その方法が手っ取り早く解決する。
「なるほどな。確かにその方法なら確実だな」
「でしょう?その生徒の魔力量が約2倍でも、おそらく当人は喜びますよ。5千万に到達しただけで、一億の魔力量が手にのですからね。生徒の中ではトップランカーの仲間入りです」
「そうだな。その方針で行くか。まずは適当な生徒を捕まえてからだな」
「そうですね。そして、使い魔とのレベルアップの話しをして、興味を持った生徒にやってもらえば良いです。そして、レベルアップをしたら成功という訳です」
その方法で動き出すのはもう少し後になってからの話しだった。
「お姉ちゃん?決勝トーナメントは、どのチームと当たるか楽しみだね?」
「そうね。確か、大会運営側が決めるのだったわね?」
「そうだ。以前にとあるチームの不正行為があってな。以来、大会運営が抽選を行う事になったんだよ。その抽選は当日に決める。抽選を引くのは陛下だ。陛下自ら引くから文句はあるまいよ」
確かにそうだわ。陛下が引いたモノに文句を言えるのは私達だけだろうが、公式では誰一人として文句は言えない。
「1回戦で、姉貴のチームとは絶対に当たらないで欲しい」
「そうね」
「⋯⋯⋯どうせやるのなら、決勝戦がいい」
「その方が良いわ。あたしも1回戦でいきなりお兄ぃ達のチームと当たるのは勘弁して欲しいわ」
「俺もだな。1回戦で知り合いと当たるのはやりにくい」
「そんな事を言っているとフラグが立つぞ?身内や知り合いに当たる確率は高いのだからね?」
『ゔっ』
全員が言葉を詰まらせる。当日、そのフラグが実行されて、私達は目を覆うこととなる。




