武道大会 3 〜予選会〜
武道大会当日。
武道大会の会場には大勢の人々が居る。出店も沢山出て賑わいを見せている。
私、マリア、リクの3人は帝の格好をしている。舞と更夜は動きやすい服装になっている。陛下から舞と更夜の武道大会特別参加が許された。
まあ、当たり前と言えば当たり前の結果だ。陛下から見てもこの大会において更夜には戦闘実践の経験を積ませたいという思惑もあるからだ。
私達は、選手参加受け付けをすまし、開会式の会場へ行く。
「何時も思うけど仮面越しで見えてるの?」
ユカが質問をした。
「通常時よりは見えてはいませんよ」
「そうだね。薄い仮面だけどね。どうしても死角もあるわ」
リクとマリアが答えた。
ちなみに、私達の髪型と髪の毛の色も変えてある。これはフードが取れた時の対策だ。私がスカイブルーからオレンジ。マリアがワインレッドからグリーン。リクがクロからギンへと変えた。
「そうなのね?」
開会式が始まった。陛下の話。
「今年も武道大会を開催をする事が出来た。日頃の鍛錬の成果をこの武道大会にぶつけるが良い。今大会は今年勇者召喚した更夜が特別参加をする。勇者と闘う選手達は、遠慮や忖度なく闘ってくれ、それが勇者の為でもある。以上でここに武道大会の開催宣言と致す」
陛下はそう締めた。
「陛下も分かっているな」
「そうだな」
「まあ、俺と闘うのを遠慮をしていたら俺の修行の意味も特別参加する意味も無いしな」
「そういう事だな」
「予選トーナメント表が出ていますよ。見に来いましょう」
皆で予選トーナメント表を見ると、見事に別れている。
「予選トーナメントの代表は7チームで去年優勝した帝チームは予選免除の上に本戦確定か?参加チームが多い割りには結構狭き門だな?」
予選トーナメントは7会場で行われる。観客達は応援したいチームの会場に行くようになる。
「毎年そうだぜ。以前はその倍の16チームで本戦をやっていたが、予選トーナメントを突破したにも関わらず低レベルの試合が続いていてな。観ている人々が退屈になったようだ。次の年に本戦出場が8チームに絞ったら、予選から白熱の試合になってな、以後は、本戦出場が8チームになったんだよ。まあ、去年の優勝チームが今年も出場するのなら、本戦出場チーム枠は実質7チームだな」
兄さんが説明をしてくれた。
「でも、私達のチームや聖達のチームは負けないから本戦出場は余裕でしょう?」
「まあね。でも、油断禁物だよ。強いヤツに当たる可能性も無きに非ずだよ」
「それなら大歓迎よ」
「そんな人達と当たりたくはないわ」
アルクェイドは喜び、ユカは嫌な表情を見せた。
「どんなチームとやるか分からないけど、予選突破をしましょう」
『オーッ!!!!!!』
私達は予選トーナメントとなる会場へ向かった。私達が1回戦で当たるチーム名は、チーム勇者ファイブというチームだった。
まあ、別に勇者の名を入れていけないというルールは無いけど、ある意味、勇者だわね。
私達の初戦の試合が始まる。試合をする前に闘うリングの上でチームで整列をすると、相手チームの服装が何故か青い繋ぎの作業服を5人同じ様に着ている。しかも、その5人は男なのにけばけばしい化粧をしているのに、その身体は筋肉が盛々のボディービルダー仕様だ。もうなにがなんだか意味が分からないわ。
審判の人達もこの異様な5人の姿に呆気にとられるし。
『わたし達、勇者ファイブでーす♡宜しくね♡』
5人はマッスルポージングをしてウィンクもしていた。そのウィンクを更夜に向けてしていた。
その更夜は既に青褪めていた。始まる前から精神的ダメージを負っている。イヤ、私が前世の時なら同じ様に精神的ダメージを負うだろう。コレはヤバいわ。ある意味勇者だわ。更に漢たちは。
「ウホッ!!イイオ・ト・コ♡」
「大会が終わったら」
「アソコの便所に」
「来ないか?」
「一緒にヤろうぜ!!」
5人が更夜の方を向いてそう言った。
更夜はますます青褪めて「嫌だー!!」と叫び、両手でお尻を隠した。更夜の精神的ダメージが更に増加した。
更夜だけではない。舞もマリアも精神的ダメージを受けていた。リクはなんの事だが分からないようで平然としている。審判の人達も青褪めて気分を悪くしているわ。なにこのカオスな状況は。
「あなた達!!勇者は未成年者だ!!その様な行為をすれば全員が強制労働の懲役刑になるぞ!!」
私は流れを変えるべく5人を睨み付けた。
「イヤねー♡ジョーダンよ♡ウフッ♡正々堂々と闘いましょうね♡」
そう言って、5人はリングから降りた。
結局終始相手側に支配されてしまっていた。
私達も仕方なくリングから降りる。
試合前なのに審判の人達全員が他の審判の人達と交代をしていた。中には担架で運ばれている審判もいる。
コレはマジでヤバい強敵が初戦から現れたぞ。イヤ、実力は大した事は無いが、闘う前から精神的ダメージがキツ過ぎる。コレは、他のチームならば、闘う前から試合放棄をしてしまうぞ。
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