試作テーマパーク 2
〜別の日〜
両親、陛下達、先生達を招待した。大人達をテーマパーク内に案内する。
「ほう?ここがテーマパークという物か」
「凄くチカチカして眩しいですわ」
「コレを創ったのか?」
初めてのテーマパークに皆が驚きを見せていた。
「聖?私達までここに招待したの?」
ママが質問した。
「このテーマパークは大人達でも楽しめるように造られているのよ。でも、この世界の大人達の反応を見てみたかったので招待したのよ」
もう少し付け加えるのなら中年層達に評価をして貰うのが一番良い。
「なるほどね」
「しかしな。俺の様な輩が楽しめるとは思えんが?」
「ウム、私もそうだな。正直、私自身が楽しめるとは思えん」
パパと陛下は不安を口にした。
そういう物に触れるのは初めてだから余計に不安にさせるのだろう。
「そう言わないの。折角、聖が招待してくれたのよ。楽しまなきゃ悪いわよ」
「アナタもそうですよ。初めからそう決めつけるのは良くはありませんわよ。仰るのなら後で感想を仰ってください」
妻達に説教をされる夫達。
「すまない」
「ウム」
2人は身を縮めていた。
私は苦笑するしかなかった。
「しかし、この動く歩道は楽だな」
「そうですね。ただ立っているだけで勝手に進んでくれて楽ですね。やはり、この空間が関係しているのですか?」
ジェーン先生が質問をする。
「そうですよ。この空間と連動しているので、この動く歩道が使えるのですよ。実際はテーマパーク内を歩いて周って貰いますよ」
「そうなのですね」
「しかし、歩いてか?現実も同じ規模の物を創るのだろう?」
「はい。その予定ですよ。でも、楽しければ、歩いて周っても苦にはなりませんよ。それに、足が不自由な人達は専用の乗り物も用意する予定です」
「ほう?そうなのか?だが、足の不自由な人間がここに来るとは思えんがな?」
「開園当初はそうでしょうが、噂話を聞いて、行きたいという人も出てきますよ。その為も用意は必要不可欠ですよ。それに介護にも使えますしね」
ステラ先生の質問に私はそう答えた。
「介護?足が不自由な人間にか?」
私達の話しを聴いた陛下が話しに入って来た。
「はい。足が不自由な人間は、現状ベッドに寝たきりの状態です。それだと、健康には良くはありませんので、座りながら、室内外でも移動が出来る物をと思いましてね。こんな物を創ってみました」
私はその物を見せる。見た目は車椅子だが、この車椅子には車輪は付いていない。この王国は日本みたいに道路は舗装をされてはいない所が多い。この王都でも土のままの道も多いので、エアーで車椅子を浮かべ移動が出来るエアー車椅子だ。コレなら、押す人も比較的に楽だ。しかも、乗っている本人も操縦して車椅子を動かす事が出来る。
「なんと!?そんな物を創ったのか!?」
「驚きましたわ」
「副産物ですよ。このテーマパークを楽しむ人は何も健常者達だけではありません。生まれながら不自由な思いをしている人達にも楽しんで貰わないといけないと思いましてね。そうすると、今でもずっと身体が不自由な人達が居る事に気付きましてね。ならば、コレを無償で配れば良いと」
「無償でか!?」
陛下達が驚いていた。実費は掛かっていないから、無償であげても痛くはない。
「はい。で、松葉杖も創ってみました」
この王国に松葉杖の様な物が無かった。あるのは杖のみだ。これでは、足を骨折した人がリハビリに歩けない状態だった。まあ、回復魔法があるから、直ぐに骨折は治るから、初めは要らないと思ったが。
「そうか。だが、コレは要らないのではないのか?回復魔法で治るのだからな」
陛下も私と同じ考えなようだ。
「いいえ。歩けない人が自力で歩いてみたいと思うようにと創りました。たとえ骨折をしても回復魔法で回復が出来ますが、それでも、コレを使えば足の負担は軽くて歩けますよ」
この松葉杖は骨折をした人ももちろんだが、足が不自由な人達でも使える。
「なるほど、それは思い付かなかったな」
「ですが、このテーマパークからこの様な介護の品々を発想が出来るとは思ってもいませんでしたわ」
「本当に副産物ですよ。では、アトラクションへご案内しますよ」
陛下達をジェットコースターへ案内をすると。
「なんだこれは!?見たことが無いぞ!?ファルコン?お前は?」
「いいえ、私も初めて見ます」
「そうか?聖殿、この乗り物は?」
陛下が驚いて、私に質問をする。
陛下だけではなく、全員がその形に驚いていた。
ちなみにマリア達も同じ様に驚いていたわ。
「これは、機関車という乗り物ですよ。陛下達はこれに乗ってアトラクションを堪能して貰いますよ。本来、このアトラクションは凄いスピードで駆け巡りますが、陛下達は初めてなので、半分のスピードで行きます。全員乗って下さい。そして、この安全ベルトを身体に付けてください」
そして、機関車は出発をした。
イスレイくん達子供達が乗った時は四分の一程度に落として走った。
「オオッ!?」
「これは凄いわ。速すぎて景色が判らないわ」
「本当、速すぎて周りを見ている暇がありませんよ」
「馬車とは比べものになりませんわ」
「ウム。こんな体験は初めてだ」
「これで半分のスピードなのか?」
「本来はもっと速いよ。喋っていられないわよ」
機関車はぐるりと一周して定位置へ停まる。
「お疲れ様でした。ベルトを外して結構です」
陛下達はベルトを外して機関車から降りるのだった。
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