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派閥 1

 私達が真の使い魔契約をするには、空間を使っても年単位に成ると判明した。

 よって、パパ達は、使い魔との絆を深めつつ、地道に条件を探す方向に作戦を切り替えた。というより、私達も日常生活があるから、そんなに付き切りでやっていられないのが本音だ。

 それに真の使い魔契約の条件が判らないので、思い付く限りの事を試さないといけないから空間だけではクリアが出来ないかもしれないな。


 ある日の事、私は何時もの家庭教師で宮殿に訪れていた。何時ものように中庭で運動が終わり、お風呂場へ向かう途中で、見知らぬ貴族に呼び止められた。


「は?晩餐会の招待?」


 この貴族は、私を晩餐会に招待をしたいらしく、呼び止めたようだ。


「はい。是非ともフレイム卿に我が屋敷で行う晩餐会に招待をしたいのです。フレイム卿も他の貴族の繋がりを持った方が得かと思いましてね。それに、フレイム卿は、貴族に成られて、一度も晩餐会を主催されておれませんので、参考でもと」


 と、にこやかに言って来たが、私にとっては迷惑以外何でもない誘いだ。特に何も縁が無い輩の誘いなんて論外だ。


「大きなお世話だよ。第一、私はこの王都に自分の屋敷を持っていないのでな。晩餐会も興味がないので断るよ。じゃ」


 私はそれだけを言い。イスレイくんを連れてお風呂場へ去って行く。

 残された貴族はしばらくあ然としていたらしい。


 風呂に入って入浴をする。イスレイくんは私の胸に頭を乗せている。もうこの入浴スタイルが当たり前になっていた。


「お姉さん」

「ん?」

「晩餐会って、色んなお料理が出るのでしょう?」

「そうだね。出るみたいだね?」

「ボクね。お姉さんの晩餐会に行きたいな。そして、お姉さんが作ったお料理を沢山食べたいな」


 イスレイくんの頭は私が作った料理を妄想しているようだね。


「晩餐会でもなくとも、料理は作ってあげるわよ」

「本当?」

「ええ」

「じゃあねぇ⋯⋯⋯」


 イスレイくんは、自分が食べた事がある料理を言っていた。その一生懸命に言っている姿が微笑ましかった。


「分かったわ、全部作ってあげるわ」

「やったー」


 イスレイくんは大喜びをしていた。来年の誕生日に作ってあげましょう。そう心に決めた。今年の誕生日は、この宮殿でお祝いをした。料理はここの料理人が作った。私は、ケーキを作って持って行っただけだったが、それでも喜んでくれた。


 風呂から出て、陛下達の私室へ行くと、王妃様が居た。

 王妃様に今日の勉強内容を報告をし、貴族の事も報告をする。


「そうですか。晩餐会の招待を?」

「はい。私は高等部に通っていますから、貴族屋敷はありませんし、今建てても誰も住まないのでお金の無駄遣いです」


 仮に屋敷を建てたとしても、最低でも1人は管理者を雇わないといけなくなるし、維持管理の費用も馬鹿に出来ない程膨大になるだろう。


「そうですわね。聖殿が晩餐会なんてとても開催が出来ませんわね。まあ、わたくし達も、就任式の時に聖殿に王都に貴族屋敷を建てて下さい。とは言っていませんでしたわ。やはり、今は必要はないと、わたくし達も思っています。もし、聖殿が晩餐会を開催をするのなら、火の領のテレサ達の仮屋敷で開催をするしかないですわね」

「そうですね。しかし、地元の貴族ならともかく、王都から火の領までに馬車で何日掛かるか。と思うと、とても開催は出来ませんね」

「そうですわね。王侯貴族は見栄を張りますので、どんなに遠くても、晩餐会には必ず馬車で行く事になっておりますわね」


 馬車の内装外装で、他の貴族達に自分の財力を見せつける為に、晩餐会などの集まりは、必ず馬車で行くようにと、暗黙のルールになっていた。


「そう言えば、私、馬も飼っていないです。馬も買わないといけないのかな?魔法で出せるけど⋯⋯⋯」


 馬の飼育は大変だ。事実上休みが無いからね。ならば馬形のゴーレムを代用すれば良いし、馬車も魔法で創れる。


「聖殿なら可能ですね」

「はい、可能です」


 陛下が帰って来た。


「お帰りなさいませ」


 王妃様が陛下を労い、私は頭を下げた。


「今帰った。むっ、聖殿居たのか?」

「はい。王妃様に少しご相談を乗って頂いておりました」

「そうだったのか」


 陛下に内容を話した。


「なるほどな。晩餐会か」


 陛下は話しを聞いて、嫌な顔になった。陛下は貴族達が開催する晩餐会が好きではないからだ。


「恐らく、その晩餐会の狙いは、聖殿に自分達の派閥に入って貰う為の勧誘かもしれんな」

「派閥ですか?」

「ウム、聖殿は、未だ何処の派閥に入っておらぬゆえ、何処の派閥にとっても絶好の狙い目だ」


 なるほどね。逃げ場が無い晩餐会を利用したと。

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