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サンダー一家 1

「なんと?フレイム卿は貴族に成ってからも料理を作っているのか?」


「ええ。作っていますよ。料理が好きですからね」


 サンダー卿の質問にそう答えた。


「そうなのか?」


「お父様。フレイム卿は、土日限定でカフェでコックとして腕を振るっておりますのよ。私はフレイム卿の料理を食べましたわ。かなりの腕前で今食べているこの料理の味が霞む程美味しかったですわ」


 疑問に思っているサンダー卿に光帝がそうフォローをする。


「えっ?私の料理を食べた事があったの?」


 私の方が驚いた。まさか、光帝がカフェに来ていたなんて。


「当然ですわよ。王都の一般王国民達が何時も話していましたから。『カフェ・ネコノメで貴族様がコックをしている』と、そして、『その味は絶品なのに一般王国民でもリーズナブルな値段で食べられる』と。王都中でその話しが持ちきりですわ。ですから、私もお忍びで食べましたのよ。料理を食べた感想は、最高級な品を一切使っていないのに、こんなにも美味しい料理が出来るなんて信じられませんでしたが、貴女の腕が相当良いという事ですわね」


「ありがとうございます。そう言って頂けると料理人冥利に尽きます」


 光帝にお礼を言う。


「美味しい物は美味しいですと、はっきりと言いますわ。それにあのカレーライスという食べ物には最初見た時は驚きましたわ。こんな料理が本当に美味しいのか?と。実際に食べたら、とても美味しかったのは驚きましたわね。私達、貴族はライスは食べませんしね」


「まあね。というか、一般人もそう滅多に食べる機会が無いと言っていたわね。ライスの品種は、まだまだ改良中らしいわね?」


「確かにそうだ。我が王国のライスはとてもじゃないが食べられた物ではない。そのライスを使って料理をするなんて考えられないぞ?」


 サンダー卿がそう言い顔を青褪めていた。その表情を見るだけで分かる。あの不味いライスの試食をしたらしいな。私もそうだけど、それでも、私と違った調理法のライスを食した可能性がありそうだ。日本のやり方でも不味かったから、違った調理法では更に不味かったに違いない。


「そうだったのですか?しかし、私が食べたライスはとても美味しかったですわ。その美味しいライスをフレイム卿は一体何処から手に入れたのですか?」


「それは秘密さ。軽々しく手の内を見せる事は出来ないわよ」


「それもそうだな。軽々しく手の内を見せるのは、各々の利益が損なうな」


 サンダー卿は、当主として理解をしていた。領の利益はとても重要だ。重要な利益は少しでも長く独占をしていたいのが各領の本音だ。


「その通りですよ」


「分かりましたわ。でも、これからも、ちょくちょくと食べに行かせていただきますわ」


「ありがとうございます。お待ちしておりますよ」


「どうやら、グレーシスの胃袋はフレイム卿に捕まってしまったようだな?」

「オッホホホ。そうですわね。アナタ?わたくし達も一度はフレイム様の料理を食べてみたいわね?」

「そうだな。今度、王都へ行ったら、そのカフェに寄ろうか?」

「そうですわね。そうしましょう」


 ほう?カフェに来るのか?てっきり、『ここで作って下さい』と、懇願されると思ったが、そこはさすがに弁えていたか。変な所で感心をしてしまった。


「お父様、お母様。フレイム卿が作る日のカフェは凄い行列ですわよ。一般王国民達と同じ列に並ばなければいけないのですが?」

「ム?そうなのか?貴族優遇は無いのか?」


 サンダー卿は私に質問をして来た。


「そんな制度はありませんよ。あくまで、カフェは一般王国民向けの店です。貴族だろうが、ちゃんと列に並んで貰いますよ。それに、営業時間がありますので、並んでもその時間帯で切らせていますよ。じゃないと、こちらも他の仕事が出来ませんからね」


「そうなのか?どうする?」

「そうですわね。並んでも食べたいモノなら、そのルールに従いましょう」

「でしたら、私と一緒の方が良いでしょう。フレイム卿の料理を食べたいなら早く並ばないといけませんが」

「そうか」


 サンダー卿はそう答えて妻を見た。妻は頷いて同意した。話しを聴く限り光帝は何度も来ているようだ。馴れた人が居れば、安心が出来るわね。


 食事が終わり、サロンへ移動する。

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