表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/739

2人のマリアとクーデター7~昔話2~

「つ、強い!」


 王と戦って僅か数分も経たないうちに俺の体がボロボロになって、床に倒れ込んでいた。


「なんだ?この我が他の領民達と同じ力だと思っていたのか?」


 全く、俺の拳は王の体に届かなかった。


「フン、弱いヤツがこの我に説教とはな?笑いが止まらぬわ!!この偽善者めが!!残念だったな!我はアトランティス王だぞ。格闘技術も闘気術の威力も側近達とは比べ物にならんぞ!!」


 俺に対して余裕の表情を見せ付ける。


「うっ………ぐっ!うおおお!!」


「ほう?まだ立つのか?無駄な事を!!」


 俺は自分の魔力を最大まで上げた。

 当時、俺の最大魔力量は3億はあったが、王の前では無力だった。


「無駄だ!魔力を上げようが、最早、お前は我の敵ではない!」


「嘗めるなよ!ハアアア!!」


 俺は、土魔法を使い、石や土を己の鎧へと変化させた。そして、拳も土魔法で覆って鉄化をした。


「フン、それでも無駄だ。いくら、攻撃・防御力を上げようが我に勝てぬよ。もう諦めて楽になれ!!」


 王が俺に攻撃を仕掛ける。


「俺は負けられない!王よ!お前を討つ!うおおぉぉーーーーーーー!!!!」


 俺と王の拳がぶつかるが、魔法を使っている為に、王の闘気術の前では、直ぐに鉄化が解け俺の拳が剥き出しになる。


 俺は構わず王を殴り続けたが、やはり、王の体に届かなかった。


「良かろう。余興だ!気が済むまで相手をしてやる。死にたくなったら遠慮なく言え。トドメは刺してやろう。我、自らしてやるんだ。ありがたく思えよ?」


 完全に遊ばれている。


「抜かせ!セイヤッ!!」


 俺は魔力が籠もった拳を繰り出したが、いとも簡単に捌かれてしまった。


「無駄だ。もうお前の型は見切った」


 王の言う通り、いくら俺が攻撃をしても王に見切られて、捌かれてしまっていた。


「オラオラオラオラオラオラッ!!!!」


 俺は構わずに連続で拳を繰り出す。必ず、一発は王の体に当たりされすればなんとかなると信じて。


「フッハハハハハ!無駄だ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁぁぁ!!」


 そう言いながら、俺の連続攻撃もなんの苦もなく捌く。


「我はもう飽きたぞ。死ね!」


 王が、手を振るっただけで、衝撃波の壁が出来、襲いかかる。


「くっ!?(これは逃げ切れない)クソ!!俺の拳よ!もってくれよ!!ハァアアア!!」


 叫びながら衝撃波の壁を殴った。


 なんとか、衝撃波の壁をぶち壊したが。


「フン、もう、お前の両拳は使えモノにならないな!これまでだな!!我も久し振りに良い運動をしたぞ!その褒美だ!一撃で心の臓をぶち抜いてやろう!!」


 王の言う通り俺の両拳は潰れてしまい一刻も早く回復魔法をかけないと再起不能になってしまう。しかし、王は俺にトドメを刺そうとしていた。


「くっ!お、俺はまだ、死ねない!」


 なんとか立ち上がる。


「フン、潰れてた拳で何が出来るんだ!お前はここで死ぬんだ!!」


 王の拳が迫る!


「(こ、ここまでか!!す、すまんリリカ後は頼む!陛下、ご期待に添えずに申し訳ございません!!ガイ、マリア!不甲斐ない父ですまん!!)」


 この時ばかりは俺も死を覚悟した。ところが。


「アナタ!もうやめて!!」


 その声と共に王と俺の間に飛び込んだ女性の体に王の拳が深々と潜り込んだ。


「「なっ!?」」


 俺も王も驚いた。


「タ、ターニャ!!」


 そう言いながら、王は女性の体から拳を抜いた。


「ターニャ!!どうしてだ!!」


「あ、あなた……………もう…………終わり……に…しましょう………わ……わたし…は…もう…十……分に…幸せでした………よ…………」


 女性の息づかいが荒くなっている。


「タ、ターニャ!もう喋るな!直ぐに秘薬を飲ませてやる!!待っていろ!!」


「いいえ……も……も…う………わたしは…………あ……あなた………さきに…………いって………います…………ね……………」


 女性はコトが切れた。


「タ、ターニャ!!うわあああああ!!わ、我は、このような結果を求めてはいなかった!!我はお前達が幸せになるためにこの戦を始めたのだ!!なのになのに!!何故、何故、お前が、お前が死ななければならないのだ!!」


 王は女性の亡骸を抱きしめて涙を流していた。


「王よ……お前の暴走を止める為に彼女が犠牲になったのだ」


「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇぇぇ!!!!お前に!お前に!お前にぃぃぃ!!何が!何が分かる!!知った風な口を利くな!!()()()()()()()!!死ねぇぇぇ!!」ドスッ!!


 王の拳は俺の体に触れる事がなかった。王は自分の胸に自分の拳を貫いていた。


「なっ!?ど、どうしてだ!?」


 俺は茫然自失となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ