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ジョルジ・トウシンのやらかし

 その日の夕食。


「そう⋯⋯教団は解散するのね⋯⋯」


 エリサが寂しく言う。


「仕方ありませんよ。聖さん達との約束を破った教団が悪いのです」


 ミカ姉ぇがきっぱりと言った。


「判っていますが、物心ついた時から当たり前のように存在をしていたので⋯⋯⋯」

「その気持ちは判りますが」

「そうだね。小さい頃からあったモノがいきなり無くなってしまうのは寂しいわね」

「そうね」


 マリアとユカが言う。


「しかしさ。教団は無くなっるのはまだ先の話だろう?それに教会の建物や神父、シスター達が居なくなる訳ではないし、宗教自体が無くなった訳でもないのだろう?」


 更夜が言った。


「その通りだよ。教団の幹部達が居なくなるだけで実質は宗教は存在し続けるよ。その管理責任者が王家に移るだけだよ」

「そうだけどね⋯⋯⋯新しい神聖王様の像がもうすぐ完成間近という時にこの事件でしょう。複雑な気分なのよ」

「そうだったなぁ。すっかり抜け忘れていたわ」

「聖がプロデュースしたのでしょう!!」

「そうなんだけどさ、制作段階の時に制作者達が勝手に神聖王の姿はこうですよね?って、老人のスケッチを提出したのよやはり、長年に渡り変な老人像で定着していたから、制作者達はあの老人像が抜けきれないようでさ、もっと若い神の像を希望をしていると言ってもさ、提出するスケッチはどれも老人ばかりで何度NGを出したか判らなくて、初期段階から嫌になったわ」

「うわぁー。それは御愁傷様だわ」


 私の話を聴いたエリサが同情してくれた。


 ○●○


 〜本山〜



 本山の教団本部の部屋に教団幹部達が集められた。教皇が喋りだす。


「本日、王宮から使者がやって来ました。この短期間の間に立て続けに世間を騒がせる事件を起こした我々教団の解散命令が言い渡されました」


 教皇がそう言うと集まった幹部達がざわめき立つ。


「お静かに!正式な解散命令は来年をメドに通知されるらしいです。我々は粛々とその日まで教団を運営をして行きますが、ここで辞めて貰っても結構です。どうせ、解散命令は覆る事はないのです。わたくし達教団は、今回の件で王族の方々を本気で怒らせてしまいましたのです」


 教皇はそう言うと、教皇自身、肩を落とした。そんな姿を見て、幹部達も悔しがっていた。この新体制になってたったの数ヶ月だ。とどめを刺したのが現役の枢機卿というのだからシャレにもならない。


「教皇様。我々幹部一同、最後まで教皇様について行きます。教団が解散するのは悔しいですが、しかし、今後我々幹部達が一生懸命民達に親身になり接していれば、確率は低いですが解散を白紙撤回ができるやもしれません」


 幹部の一人が希望を持ってそう言った。そう言わないと、今後の目標を失うのが分かっているからだ。


「そうですね。解散回避という目標を目指して運営をして行くのもありですね」


 幹部達のやる気を削ぐ訳にも行かず教皇もそう言わざるなかった。

 しかし、既に王家に三下り半をされている教団の解散を白紙撤回をする事は無い。

 そう、たとえ、王家が許しても、聖という()が教団を許す訳が無いのだから。それだけ、聖の逆鱗に触れていた事を教皇及び教団幹部達は知る由もなかった。


 ○●○


 〜雷の領、とある街〜


 2ヶ月前。


「ギルマス大変です!!嘗て、勇者様が妖鬼(おに)共を封じていた祠が壊されていました!!」


 クエストから帰ったパーティリーダーがそう報告をした。

 話を聴いていた他のギルド員達がざわついた。


「なんだとう!?祠の封印が?一体誰がそんな事をしたんだ!!」

「わ、分かりません。ただ祠に向かって黒い筋道がありました。その黒い筋道は祠を壊して更に続いていましたので、一体どこから魔法を放ったか、詳しく調べないと分かりませんし、妖鬼共が既に祠から出て来ていて何処にねぐらを構えているかも分かりませんので」

「確かにな。妖鬼共が復活したならば、お前達、いや、この街に所属しているギルド全員で戦ってもたった一匹の妖鬼にすら勝てないだろうな。直ちに領主様に連絡をしろ!!そして、雷の当主様に軍隊を派遣して貰うんだ!!嘗て五十年前の勇者様でも敵わく封印するしかなかった妖鬼共だ!!俺達が敵う相手ではないが、この街を守る為に尽力を尽くせ。妖鬼共が復活したなら、俺達に逃げ場が無いのだからな!!」

『分かりました!!』


 ギルド員達が、生き残る為に一斉に動き出したが、その街は封印の祠が近過ぎた為に抵抗も虚しくあっという間に妖鬼共の餌食となってしまった。そして、復活した妖鬼共はこの街を自分達の拠点としてしまった。


 そもそもこれはジョルジ・トウシンが両親に自分の魔法(ちから)を見せる為に放った魔法が封印の祠を破壊したのが原因だった。

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