二度ある事は⋯⋯⋯ 3
私は住民達から事情を聴くと。不逞の輩共は、いきなり村に来たそうだ。門番役の村人の2人が武装した者達を抑える事は不可能の為に2人で住民達に危険を報せて、住民達がここ中心部に集まり不逞の輩共と睨み合いになった所に私達がやって来たのだった。
「なるほどね」
「しかし、教団がそんな事をやるなんて⋯⋯⋯」
「ああ、聴いたこともなかったが⋯⋯⋯」
「御当主様?この村は神聖王様をお祀りしておりますが、我々の教団には入ってはいないのですか?」
「いませんよ。祈り方もあなた達と違うでしょう?」
「そうですが、しかしながら、我々の教団に入っていればこんな事態にならなかったのではいないのですか?」
そう言うと、他の職人、商人達が頷いていた。
「あのね?あなた達の教団が一番だという考えは持たないように。この村は独自にお祀りをして、村独自の祈り方をしているのです。もし、あなた達にこの村の祈り方を強要されたら、あなた達は、ここの村に今現在居ますか?」
職人、商人達に問いかける。
「居ません。即刻出ていきます」
1人が言うと、職人、商人達がまたもや頷く。
「でしょう?今、あなたが言った事は先程来た不逞の輩共と同じ事を言っているのですよ?それを理解をしていましたか?」
「あっ!?」
「そういう事ですよ。所詮、人が作った教団ですからね。この村人達の祈り方や教団の祈り方をしても神様にとってはどうでも良いのですよ。要は、その人が真剣に神様に祈りを捧げているかどうかの問題です。ですから、仮に教団の祈り方が正しくても適当に祈りを捧げても神様はその人物には見向きもしませんよ」
「そうなのですか?」
「そうですよ。神様にとっては、教団なんかどうでも良いのですよ。神様が人間達に自分を讃える教団を作れと頼んだ訳ではないのですから」
「えっ?」
「そ、そんな⋯⋯⋯」
「で、では、教団は一体何の為に存在をしているのですか?」
「それを決めるのはあなた達ではないのですか?もし、教団は心の拠り所と思えばそうですし、神様に自分の祈りを捧たいと思えばそういう施設ですよ。ただ教団を開いた人物はどう思って開いたのかは判りませんね。もしかしたら、熱心に神様に祈りを捧げる場所として造り開いたのか。もしかしたら、ただの金儲けの為に開いたのかは判りませんが、今現在、屑な教皇も居たのは、あなた達の中にも知っている方が居るかもしれませんが、先々代の教皇はただの金儲けだけの教皇でしたよ」
「あっ!?その話は聴いたことがあります。確か、神聖王様がご降臨した際に、先々代の教皇が別の神様に対して全財産を請求して、破滅をしたと、目撃した人から聴きました」
1人が言うと、周りがざわついた。
「そうですよ。所詮はそんな教団ですよ。そういう教団に一体、何の価値があるのか?と、あなた達、信者に問いたいですね?」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
職人・商人達は黙ってしまった。
「こ、言葉もありません⋯⋯⋯」
と、質問をした人が言った。
「教団の話は終わりです。私は来たのは、現在の施設の建設状況と村の状況です」
「はい。ご案内致します」
ラキさんが名乗り出た。そして、担当の職人もだ。後の住民達は解散となり、家に帰って行くが、子供達はイスレイくんが来ているので、私達に付いて行く事となった。まだ、残党が居るかもしれないから念の為だ。
まず、案内をされた場所は入浴施設だ。一番のメインの施設だ。
建物自体は出来上がっていた。後はお風呂の施設を設置するだけになっていた。
「御当主様。シャワーとなる物を設置するとかなりの予算が掛かりますが?私共もシャワーとなる物を使って良い物と解りましたが、実際私共職人の設置技術が未熟な為にどうしても予算が掛かってしまいます」
「要するにその教育費も領の予算から出して欲しいと?」
「はい。その通りです。そのシャワーを火の領の住民達にも普及をさせたいのです。たとえ、お風呂が入れない家庭でも、このお湯が出るシャワーとなる物があれば清潔になります」
「そうですね?ならば、貴方の借金として予算を付けましょう」
「えっ!?私の借金!?ど、どうして!?」
職人が動揺している。
「だって、貴方が言い出した事でしょう?貴方がその借金を背負うのは当然でしょう。しかし、その借金をコツコツと返せば、いずれシャワーという商品は貴方が独占販売が出来ますが?どうします?」
「えっ!?独占販売!?」
ゴクリッと喉の音が聞こえた。
「そうですよ。貴方がこのシャワーを開発、販売が出来れば、その権利は貴方の物になるのですよ。領からの予算を貴方借金として組み込まないと許可が降りませんね」
「なるほど。判りました。お願いします。御当主様」
と、言ってきたので。
「判りました。この書類を貴方の名前と必要事項を書いて火の領の役場へ提出して下さい。予算の審査をしますのでね」
「えっ!?御当主様が自らやるのではないのですか?」
「出来ませんよ。領の予算編成は貴族達の話し合いで決まりますよ。そして、秘書の審査を経て、私の代理人の承認を得て、私が漸く判を捺すと、領の予算が付きますよ」
「なっ!?」
「コレが政治というモノですよ。私達貴族はただ威張り散らしていて、お金を無意味矢鱈と使っているのではないのですよ?当主である私でも領の予算は自由に使えないのですよ。知らなかったでしょう?この事業も私個人の資産で行っているモノですよ」
「⋯⋯⋯⋯」
職人は何も言えなかった。ま、この職人は、当主である私なら、領の予算を自由に使えると思い込んでいた。そして、教育や火の領の設置は方便で、あわよくば自分の懐に入れようとしていた。
「どうします?領の予算案に通しますか?領の予算案が通れば、貴方がその予算をしっかりとシャワーの開発や育成に使っているかを役人達が審査に訪れますがね?もし、不正が発覚したら、どうなるか分かっていますよね?」
ジロリと睨む。
「ううっ⋯⋯⋯はい⋯⋯⋯」
「言っておきますが、領の予算は貴方達の税金です。貴方達の税金を何らかの形で貴方達に還付をしているのですよ?それはもちろん、100%ではありませんが、しかし、災害や戦争が起きた場合は100%以上還付をするので、災害に備えて税金は貯め込んでおくのですよ。もちろん、税金が足りなければ、当主の私の資産からも出しますがね」
「申し訳ございませんでした。貴族は自分勝手にしているとばかり思い込んでいました。貴族達は俺達が働いた金で遊び呆けていると思い込んでいました。だから、俺も懐に入れても良いと⋯⋯⋯申し訳ございませんでした」
土下座をして謝る。
「でしょうね?貴族もやるのも大変なのですよ。貴方達の目があるので、服装の見栄えを良くしないといけないですし、貴方達に舐められてもいけないのですよ。じゃないと、他の貴族達に舐められてしまいますからね?」
「そうなのですか?」
「そうですよ。貴族の世界も楽ではないのですよ?隣の芝生はいつも青く見えるのです」
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