二度ある事は⋯⋯⋯ 2
私とイスレイくんは村の入り口の前に転移した。
「皆とどんな事をして遊ぼうかな〜?」
久しぶりに会うお友達にイスレイくんの妄想は止まらない。
しかし、何時も居る門番役の住人達が居ない。何時もなら必ず1人は居るというのに誰一人と居ない。
これはおかしい。
「イスレイくん。なにか村の様子がおかしいわ。私から離れないように」
「う、うん⋯⋯⋯」
私の言葉に怯えていた。
「大丈夫よ。私は強いからさ」
イスレイくんを安心させるように言う。
「うん、知っているー」
「行きましょう」
私達は村へ入り、村の中心部へ行く。
すると、見たこともない武装した輩達が、村人と火の領から出っ張って来た職人、商人達を取り囲んでいた。村人達も元戦士達が、武装をした輩達を牽制をして睨み合っているが一発即発の状態だ。
「貴様ら!!ここで何をやっている!!ここは、火の当主の領地と知っての狼藉か!!」
私は大声をあげて牽制をすると、全員が私を見た。
『族長!!』
『御当主様!!』
『聖お姉ちゃん!!イスレイくん!!助けてーー!!』
「皆!!お姉さん!!皆を」
「判っているわ。貴様ら!!何者だ!!」
不審者共に言う。
「我々は神聖王様の教団の者だ!この村は教団に入っていないからな!!布教しにやって来たのだ!!」
偉そうに言う不審者。
「貴様ら、布教のクセに何故武装をしている!!その神聖王という教団はどこの教団だ!!私が知っている教団の教皇からの命令によって強制的な布教を禁止されているぞ!!」
そう、私と陛下が教皇に釘を刺したのに、コイツらは、コトもあろうに武装をしてやって来ている。何も言い訳が出来ない。
「だからなんだ!!俺達は神聖王様に選ばれた兵士だ!!貴族如きが俺達に口を出すんじゃねぇー!!」
リーダーらしき男が威嚇をしながら言う。
「ほう?貴様?なにも位も地位も持たない、たかが一般人の分際で、火の当主である私と王族である、イスレイ・ヴァン・ファーネリア王子に向かっての今の言葉は万死に値するぞ!!死ぬ覚悟が出来ているのだな!!」
自称教団兵士共に殺気を撒き散らすと、兵士共がブルブルと震えていた。
「さてと、子供達が居るからな。惨殺な事はしたくないから、住民達とイスレイくんは避難をしてもらうか」
私が言った瞬間にイスレイくんと住民達は、私の転移魔法で空間に送る。
ここには私と兵士共しか居なくなった。
兵士共はいきなり住民達が居なくなりあ然としていた。
「本来、貴様らのような輩共はこの場で死んで貰った方が良いが、それじゃ、私の気が済まない!!神聖王を未だダシに使う輩共には生き地獄を味わい、厳しく罰してやるよ!!」
「抜かせ!!貴族だろうが、何だろうが!!神聖王様のご意向に逆らう奴は死ね!!者共!!たかが女1人だ!!かかれぃぃぃ!!」
リーダーらしき輩が言うと、部下達が得物を抜いて襲い掛かる。
「フン!!」
天劍剣術・弐の型・九牙閃・乱舞。
私は木刀を用いて、九牙閃を放つ。気と魔力が併せ持つ飛ぶ斬撃だ。死にはしないが、幾ら鎧を纏っていても、斬撃の衝撃で何処かしらの骨折は逃れない。
技を受けた部下達は、蠢き声を上げて地面にのたうち回っていた。
「後は貴様だけだ!!貴様は、私とイスレイくんを侮辱をした。更にここの住民達は恐怖にさらした罪は重いぞ!!部下以上の生き地獄を味わえ!!」
「ッ!?ふざけんなよ!!このくそ女が!!」
リーダーらしき輩が、私目掛けて突進をし斬り掛かった。私はリーダーらしき輩の足首から下を時間魔法で動きを止めた。すると、どうなるか?
答えは、複雑骨折になる。
勢い良く突進をするから、足首から下の動きを止めれれば、後は自分勝手に複雑骨折をしてくれる寸法だ。所謂、自爆という事だ。
その結果。
リーダーらしき輩は派手に転び「ギャアアアアアァァァ!!!!!!!」と悲鳴を上げて、ゴロゴロと地面にのたうち回った。
「き、貴様ァァァ!!ひ、卑怯だぞぉぉぉ!!」
歯が数本折れ、涙と鼻水、涎をたらしながら言うが、どうして、こういう輩共は、そう言うセリフが吐けるのだろうか?こういう輩こそ、『正々堂々』という言葉を知らないくせにな。それが不思議で仕方ないな。
「フン。ザマないな。貴様らような輩共は、時間を伸ばしたボックスの中で苦しむが良い!!」
全員をそのボックスに仕舞うと、次に空間から住民達とイスレイくんを戻した。
「お姉さん!!」
イスレイくんが抱き着いた。
住民達も自然に私の周りに集まった。
「皆さん。無事でなによりです。怪我人も居なそうですね?」
住民達を確認をしながら言う。
「はい。皆、無事です。これも族長が、聖様が来てくれたおかげです」
「聖様が来てくれなかったら、我々、戦士達は皆を守る為、封印を解いて、あの輩達と戦う覚悟でした」
「そうですね。私がここに来られて良かったですよ。じゃないと、ここに居る誰かの命が亡くなっていたかもしれません」
「はい。こんな言い方は良くありませんが、本当にタイミングが良かったです。誰一人と命を落としてはいませんから」
皆が胸を撫で下ろした。
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