表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
677/739

更夜の部屋を探せ 4

 ジェーンの忠告を無視した四人は、特別寮に来ていた。

 更夜が何処の部屋に住んでいるのかは判らないので、片っ端から部屋を訪ねようとしていた。


「うーん?この部屋にも住んでは居なそうね」

「次、行きましょう」


 と、四人は次の部屋に行く。その部屋こそ聖達が住んでいる部屋だった。そして、四人は聖が仕掛けたトラップに嵌っていた。

 部屋の扉のノブに手を掛けて押すと扉が開いた。


『え?』


 四人はあっさり扉が開いた事に驚いたが、更夜に会えるという気持ちが強く、あっさり開いた疑問は頭になかった。四人が部屋に足を踏み込んだ時、仕込んでいたトラップ転移が発動したが、四人は転移した事に気付かなかった。


『いらっしゃいませー』


 四人の目の前にはけばけばしい化粧をし女装をした男性が居た。


『はぁ????』


 その姿を見た四人は声を上げ目が点になった。確か、自分達は特別寮部屋の扉を開けた筈なのに?

 しかし、自分達の目の前には女装をした変な男性が立って居る。それに、部屋の雰囲気が寮部屋とは全く違っていた。

 そう、聖は部屋の入室の許可が無い人間達をランダムに転移する魔法を仕掛けていた。四人が転移された場所はとあるBARだった。その店の名は【マカオ】という名のBARだった。


「この部屋は勇者様が居る部屋ではないの?」


 一人が動揺しながらも声を絞り出して言う。


「勇者様の部屋?イ〜ヤ〜ネ〜。ウフ♡ここはお店よ♡」


『はぁ?』


 店と聴いて四人はパニクる寸前だ。


「それと勇者様なら、このお店にもいるわよ♡」


『えっ!?』


 その言葉にますますパニクる四人。


「特別に見せてあげるわ。さぁ、出番よ♡」


 と、ステージに声を掛けた瞬間。

 筋肉隆々でけばけばしい女性の化粧をした漢五人がバニーガールの恰好しお互いの手を交差し足を高く蹴り上げながらてやって来た。そして、

『私達、勇者ファイブでーす♡ヨロシクね♡フン!!』


 五人の漢達は掛け声共に一斉に各々のマッスルポーズをとった。


 それを観た四人の生徒はあ然とし、正気を取り戻した時には一斉にパニックを起こし悲鳴を上げた。

 店が大混乱となり、店側は兵士達を呼び、パニックを起こしている彼女達を外に連れ出した。

 彼女達の身元は学園の制服を着ているので直ぐ解り、兵士達は落ち着きを取り戻した彼女達を学園に送り届けた。そして、翌日、四人は学園長室に居た。


「おヌシらの行動には呆れて物も言えんのう?中等部で未成年者であるおヌシらがまさかBARに堂々と入店するとはのう?」

「全くですね。しかも、無断で寮を抜け出してBARに入店するのは言語道断ですよ」


『⋯⋯⋯⋯』


 四人は黙ってしまった。余計な事を言えば、火に油を注ぐ事態となる。


「それと、おヌシらは、学園が許可が無くば出入り禁止されている特別寮に侵入したそうじゃのう?」


『えっ!?』


 四人は驚きの顔を見せた。何故学園長達が?まさか告げ口を誰かがしたのか?四人は疑わしい犯人達の顔を次々と思い浮かべていたら。


「やれやれ、やはりか」

()()()()()()()()()()()ね?でも、昨日、私が忠告をしたにも関わらず、直ぐ特別寮に行くとはどういう神経をしているのでしょうね?」


『⋯⋯⋯⋯』


 四人はしまったと思っても既に遅かった。


「おヌシらは、1ヶ月の停学処分とする。そして、毎日反省文を提出する様に!!一日遅れたり、反省文が反省文ではなかったりすれば、停学は延長じゃ!!しっかりと反省をする様にのう!!」

「以上です!!各自部屋に戻って謹慎をしていなさい!!」


 四人はがっくりとした暗い表情をして足取り重く部屋に戻って、停学処分を受けたのだった。

 その件があって、『更夜の部屋を探せ』は消滅した。


 ○●○

 〜数日後〜


「ねぇ?聞いた?」

『ええもちろん』


 リーダーの問い掛けに()()が頷いた。


「しかしねぇー?」

「ええ、見学が終わってから直ぐに実行するとは思わなかったわ」

「そうよねー。先生が忠告したにも関わらずにその日に普通行くかな?まぁ、実行した結果、あの四人は停学処分になったからねぇ」

「貴女は利口だったわ。そして、私達のグループにようこそ」


「ありがとう。それでも私も忠告したのよ。にも関わらずに『煩い』『私達が盛り上がっているのに水を差すな』とかバッシングを受けてね。嫌気が差していたのよ」

 そう言ってため息を吐いた。


「とにかく、私達は思い止まって正解だったのよ。ではないと、あの四人と同じになってしまったわ。今後は更夜様にはご迷惑を掛けない方向で行きましょう。これ以上騒ぎをしたら手遅れになり完全に更夜様に嫌われてしまいますわ」


 リーダーがそう言うと全員が頷いたのだった。





 が、


 既に手遅れだ。

作品が気に入ってくれたならブックマークや下にある★★★★★の評価やいいねの応援をお願いします。

作者の創作のモチベーションに繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ