更夜の部屋を探せ 3
「ここが特別室の部屋です」
ジェーンは生徒達に特別室の部屋を案内し一通り部屋を見せ説明をした。
見学し終えた生徒が。
「意外と広いかも⋯⋯⋯でも貴族寮と比べれば確かに狭いけど、私達貴族も住めない事はなさそうね?」
そう言うと、何人かが頷いた。
「そうかしら?やはり、貴族寮には敵わないですわよ」
「やはり、貴族寮が良いわ」
「そうね」
そう言った。
「先生?ここに住んでいる生徒が居るんですか?居たら教えて下さい!!」
「その質問にはお答えは出来ません。学園として生徒達のプライベートの保護がありますので、それに、もし、貴女達の部屋に見知らぬ生徒達が大勢押しかけたらどうしますか?」
『⋯⋯⋯⋯』
質問した生徒は答えられなかった。
「迷惑でしょう?自分の事に置き換えて行動すれば、そういう迷惑行動は起こさないと心掛けてください。それと、関係者以外この特別寮に入るには学園長の許可が必要です。無許可で入れば停学処分ですので」
ジェーンは生徒達に釘を刺した。
「以上で見学を終わりにします。戻って下さい」
各グループはそれぞれの部屋に戻った。
「ジェーン先生の話はどう思います?」
リーダーが質問した。
「おそらく、更夜様とフレイム様は先程の特別寮に住んでいると思うわ」
「私もそう思ったわ」
「でも、行かない方が賢明だわ。無断で行ったら、停学処分になるもの。そうなったら、最悪の場合、両親に要らない子として捨てられてしまうわ」
この生徒達は、法律が改正した事は知らないでいた。
「確かにそうね。フレイム様も規律を破る人間に対して容赦ないしね」
「そうそう。フレイム様は直接国王陛下に進言出来る立場にある御方だわ。今まで何家フレイム様によって御取り潰しに遭ったか判らないわ」
「確かに、お父様もフレイム様には逆らわない方が良いと仰っていたわ」
「フレイム様は五大貴族の御一人ですもの、たとえ新参貴族でも、その地位は最高位。その御方に逆らうのは愚の骨頂というもの。逆らう方がそもそも可笑しいのです」
「そうね」
このグループは、更夜の部屋の目星を付けただけで行動に移す事はしなかった。
一方。もう一つのグループは。
「なによー!!更夜様の部屋が判るからと特別寮とやらに行ったは良いけど更夜様には会えなかったじゃない!!」
「そうね!!期待して損したわ!!」
「でも、更夜様はその特別寮に住んでいらっしゃる可能性が高いわ。あのグループはその核心を持っていたから私達に声をかけたと思うわ」
「でも、その特別寮には自分が住む筈だったかもしれないから、見学をしたいと、話していたけど?」
「莫迦ね。学園長達に更夜様が住んでいらっしゃる可能性がある特別寮を見てみたいなんて素直に言ったら、絶対に断れていたわよ。だから、あのグループは嘘をでっち上げてその特別寮を見たいという理由を作ったのよ。そして、見学するには少人数よりも大勢の方が良いと思い私達に声をかけたのよ」
「あっ、そか」
「そうに決まっているわよ」
「そか。ならば特別寮に行けば更夜様に会えるのね?」
「そうよ。きっと更夜様も私達を迎い入れて下さる筈だわ」
「そうと判れば行動あるのみよ!!」
『ええ!!』
四人が椅子から立ち上がったが。
「待って!!更夜様の部屋には行かない方が良いわ」
一人が待ったをかけた。
「なによ?せっかく盛り上がっているのに」
四人はブーブーと文句を言う。
「あのね?ジェーン先生が更夜様の部屋に行けば迷惑になるし、特別寮に無断で入れば停学処分になると言っていなかった?私は停学処分になるのは嫌よ」
「あそ。ならさ、このグループを抜けて頂戴。迷惑なのよ。せっかく盛り上がっているのにいつもいつも貴女に水を差されるのわ」
『そうよそうよ!!』
「私達のグループを抜けて頂戴!!」
四人からバッシングを受け。
「判ったわ。抜けるわ。私も貴女達に嫌気が差していたわ」
さっさと部屋から去った。
「なによ。お高くとまっちゃってさ」
「本当いつもいつも私達に対して偉そうに言うから居なくなって清々するわ」
「そうそう、じゃ、改めて、更夜様の部屋へ行きましょう!!」
『おー!!』
と、意気込む四人だが、この後、酷い目に遭う。
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