勇者のお披露目 6
「陛下。只今戻りました。元王子は、捕縛してありますが、その護衛、異世界人達は女一人を除き、私達との戦闘で死亡しました。生き残りの女は、気を失っていますが、目覚めればただの廃人になっているでしょう」
そう報告をし、拘束されている元王子をボックスから出した。
「そうか、二人共ご苦労!!」
「はっ!」
元王子の父王が、
「ご迷惑をお掛けしました。ファーネリア国王陛下に誓い二度と異世界人の召喚は行いません」
と、私達に謝罪をする。
「そして、我が国で召喚した異世界人達はここファーネリア王国に送ります」
と、言ってきた。ミカ姉ぇが、
「その異世界人達は神聖王様が元の異世界へと送り還すそうです。そして、この王国や他国に住んでいる異世界人達も同様ですが、中にはこの世界に残りたい異世界人達も居るかと思いますので、この世界に残るのか、自分の世界に還るのかは、自己判断となりますね」
「確かにそうだわ」
けど、この世界に召喚されて、家族が居るにも係わらず、元の世界に還りたいという人も居る筈だ。しかし、その家族は召喚された異世界人の元の世界には行けられない。これもやはり自分判断となるのだろう。そして、各同盟国は異世界人達との様々な問題もありそうだ。
そして、勇者のお披露目パーティーが終了した。
問題を犯した国は、王国に賠償金を払う事で合意したが、それとは別にかなりのペナルティを科せられたようだ。
その他の各国の有力王侯貴族達は自国に居る異世界人達をこのファーネリア王国に送る算段をつける為に急いで帰国した。
〜陛下達の私室〜
「ハァ~終わったー」
更夜はソファーに座りぐったりして息を吐いた。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
クレアが労いの言葉をかけ、更夜は自然と言葉を返した。更夜はクレアに慣れつつあると思う。これだけでもすごい進歩だ。
「しかし、自国の防衛とは言え、よくもまあ異世界人達をぽんぽんと召喚をしたものだ」
陛下が呆れた声で言う。
「そうですね。あの国は色んな異世界から人を召喚をしたようです。もし、一つの惑星から人間を召喚した場合、その惑星の人間同士で結託してあの国を乗っ取りを企むでしょうね」
「なるほどね。聖が言うような事があったら、そうなる可能性が大きいそうね」
「ウム、強制に召喚された事を恨んでの結託だな。しかし、様々な異世界から人間達を召喚すれば、その異世界人達はお互いの言葉が解らず、お互いの結束が出来ず反乱が出来なくなるか?」
「恐らくは。そして、召喚した異世界人達に言葉巧みに国に忠誠を誓わせて従わせたのでしょうね。じゃないと、ぽんぽんと召喚が出来ませんね」
「確かにね。国の財政だって召喚や召喚された異世界人達で圧迫して頻繁に召喚なんか出来ないわ」
「ウム。仮に我が王国で行えば、あっという間に財政は破産状態になる計算になるな。そうならなかったのは、そこに住んでいる国民達の税金を過剰徴収をしたに違いない。しかし、どこの小国の国民達の税金は高く貧困状態になっているのが当たり前のようになっている。暗部の隠密部隊もあの国の王侯貴族達の内情を見抜けなかったようだな」
と言って、ため息を吐いた。この世界では王国の暗部情報機関はかなり優秀だが、所詮、人力での情報収集だ。どうしても限界があった。
「同盟国だから内情調査に手を抜いていたと?」
私はあえて質問をした。
「イヤ、そうではない。同盟国と言えども、我が王国を裏切る可能性もあるの事がこの世の常だ。だからこそ、同盟国の情報収集を怠らないが、暗部が探れないような所に隠匿していたのか?国民達と自然に混じって一般人と同じ生活をしていたのかで、暗部の目を誤魔化せる可能性もあるという事だ」
その可能性もありそうだ。暗部も情報収集を行う為に色んな職業の人間になりすまし、そこの市井に溶け込んで色んな情報を収集するが、潜った日が浅ければ収集が出来ない事もありそうだ。
「暗部も人間ですからミスはありますよ。一〇〇%ミス無く完璧に出来る人間はいませんね」
「そうだな。私の所でもスパイには目を光らせて対策をしているが、それはどこの国でも同じだな」
スパイに対する対策はどの国でも行われているのが当たり前だと思ってもいい。
そして、話しは異世界人達の対応になる。
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