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勇者のお披露目 5

『ブーン』と、男が持っている氷の剣が空を斬った。


「なっ!?」


 男は私が躱した事を驚いていた。恐らく、魔法を囮に使って相手の背後から斬りつける攻撃がこの男の必勝パターンなのだろう。


「何を驚いている?まさか、この程度の攻撃パターンでこの私に勝つつもりだったのか?その程度の実力で良くこの私達に喧嘩を売れたものだな?」


「て、テメェー!!」


「オヤ?真実を言われて逆ギレか?青いな」


「殺してやるー!!」


 私の煽りで冷静さを失い氷の剣を出鱈目に振り回しアイス・アローが飛び出した。

 男は完全にキレていた。


「沸点が低いヤツだな。だから青いんだよ。茶番は終わりだ。ふぅっ」


 息を吹く。


 吹いた息で男の身体全身を氷らせる。


「なんだとう!?ば、馬鹿な!?お、オレの身体が凍り付いて!?」


「フン!なにを勘違いをしている?私が他の魔法が使えないと思っていたのか?」


「なっ!?き、貴様!?ひ、卑怯だぞ!!」


 ギャーギャーと騒ぐが、その間に男の身体は段々と氷付いて行く。


「卑怯?戦いに卑怯もクソもあるのか?戦いはどんな手を使っても生き残った者が勝者だ!!敗者はそのまま氷っていろ!!」


 石棺ならぬ氷棺が出来上がった。


 一方、アルクェイドは、まだ、男と戦っていたというよりもアルクェイドは男を相手に遊んでいるのが一目で解る。逆に男の方は必死になってアルクェイドに攻撃をしていた。


「オイ、アルクェイド?なに遊んでいるの。こっちは終わったよ」


「えーっ!!もう終わったの?速すぎない?」


 アルクェイドは、男の攻撃を余裕綽々で躱しながら言う。


「速くはないよ。相手が弱過ぎるからな」


「まぁ、そうだけどさ。弱いこそ、こうして、遊んであげているのだけどね。ホラホラ、どうしたの?さっきよりもだいぶスピードが落ちているじゃない?」


 笑いながら挑発をする。この程度の実力では、一万年経ってもアルクェイドには勝てない。


「ち、ちくしょうー!!オレを舐めやがって!!」


「アラ?今頃気が付いたの?私は初めっから舐めているわよ。現に戦ってみて思っていた以上にめちゃくちゃ弱いからさ。本来は、火の当主1人でも全て片付けられる案件なのよねー」


 と、言いつつも、アルクェイドは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「アーハハハ!!どうだ!!このオレを舐めているからこうなる…………はぁ????ぶち抜いた時の身体の、か、感触が無い??」


 アルクェイドの身体をぶち抜いた男が混乱していた。

 それもその筈だ。アルクェイドは、ヴァンパイアの能力の一つ、自身の身体を霧状にして、男の攻撃を受けただけの事だ。


「アラ、どうしたの?せっかく私の身体に拳が当たっているのよ。もっと喜べば?」


 ニヤリと笑うアルクェイド。


「こ、このー!!バケモノがー!!」


 男が吠えてジタバタしている。そのワケはアルクェイドの身体にめり込んだ拳がどうやっても抜けていなかったからだ。アルクェイドは身体を霧状にしても、男の拳を離さないようにしている。


「バケモノ?魔法を使えば身体を霧状に出来るでしょう?」


 私も身体を霧状にすると、()()()()()()()女が魔法攻撃をして来た。もちろん、私の身体にはダメージはない。


「なっ!?なんで!?」


 攻撃を仕掛けた女が驚く表情を見せた。女にしてみれば、私を()ったと思ったのだろうが、相手が悪かったな。


「魔力の気配でわかる。どうやら、お前も死にたいようだな。ああっ!!」


 そう言って、女に殺気を中てると、「ヒッ!!」と、小さな悲鳴をあげて、目がぐるんと上に上がりその場に倒れ込み失神をし、股間からチョロチョロと生温かい液体が下着とスカートを濡らし地面に流れていた。どうやら、失禁もしたようだ。


「後はお前1人だな。私達に無謀な喧嘩を売ったのが理解したろ?」


「…………」


 私の問いかけに男の身体が震えていたが、正気が戻ったのか?自分が置かれている状況が理解したのか?急に悲鳴に似た大声の上げて更に激しくジタバタしてもがいていた。


「ちょっとヤメてよ。擽ったいわ」


 アルクェイドはそう言うと、男は『ウワァアアア!!』と今度は悲鳴を上げて、アルクェイドの身体にめり込んだ拳を必死に抜こうとしているが全くびくともしない。


「ち、ちくしょう!!こ、こんな所でっ!!」


 男の目から涙が出てきている。自分がもう助からない事を悟った。

 そして、アルクェイドが、男にとどめを刺すべく。


「遊びは終わりにしましょう。私達に喧嘩を売った事を後悔しながら死になさい」


 アルクェイドは男の首を手刀で刎ね飛ばした。


「おっと。人間の血を浴びるもの拙いわ」


 アルクェイドはすぐさま男の死体から離れた。後から聴いた話しだが、アルクェイドは人間の血を浴びるだけでも数時間の間、理性を失ってしまうらしい。


「お疲れ」


 アルクェイドを労った。


「大した事ないわ。それよりも、コイツを回収ないとね」


「そうね」


 私達は、既に腰を抜かして必死に後退りをしている元バカ王子をボックスに回収をして陛下達が待つ会場へ戻った。

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