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遺跡調査 3

「はい!静かに!!それらを踏まえて、私達が討伐するよ」


 私がそう言うと、全員が静まり返った。


「しかし、ゴブリンキングやゴブリンエンペラーが居るかもしれないのですよ!?」


 リーダーが慌てて言う。


「フン。ゴブリンキングやゴブリンエンペラーなぞ妾達にとっては雑魚に等しい」


「えっ?」

「ざ、雑魚!?ゴブリンキングやゴブリンエンペラーが!?」


 ヒルドさんの発言に(イザイヤの)全員が信じられないという表情をする。


「そうじゃよ。妾は神じゃからのう」


『なっ!?』


「か、神……さま?あ、貴方が!?」


 全員が私を見る。


「そうだ。彼女は神様だ。この中では誰よりも一番地位が高い人物だが、今回の事は私に一存している」


「そうじゃな。妾が一々事細かに人間達に言う必要はないのう」


 ヒルドさんが言う事に全員が惚けた。


「という訳で、神様の彼女がいる限り、私達負けないわよ」


「そういう事じゃよ。妾が負ければ、そのモノは人間共には()()()()()()()()という事じゃよ」


 ヒルドさんが負ければ、人間なんか太刀打ちが出来ないのは事実だ。それにそのモノは神殺しの称号を持つ事になる。


「だから、今の議論は不要だ」


 私はきっぱりと言った。


「分かりました」


 全員が私に向かって頭を下げた。


「では、早速、遺跡調査に向かう。案内は1名で結構」


 調査員が多いと、戦闘中は足手まといになるし、戦闘中に巻き込まれて調査員が死んでしまうリスクが高い。


「分かりました」


 代表でイザイヤ王が答えた。

 私達とアルクェイド、そして、遺跡調査経験があり、最低でも自分の身が守れる女性調査員の案内で、遺跡に行く。


「これが例の遺跡でございます」


 と、調査員が言った。遺跡の入り口には兵士達が居た。ゴブリン達が棲み着いている遺跡だ。兵士達が居なければ、周辺に被害が及ぶ可能性が高い。

 見張りの兵士達に挨拶をしてから、遺跡内に入った。

 遺跡内はしっかりとした造りになっており、そっとやちょっとでは崩れない構造となっているようだが、それは、一般的な言い方だ。私達が攻撃をすれば簡単に壊れるだろう。


「ほう?これが例の遺跡か?」


「はい、私達が地質などを調べたら、かなりの年代の遺跡だと分かりましたので、てっきり、神聖王様がお造りになった遺跡だと…………」


「なるほどね。まあ、勘違いしても可笑しくはない遺跡だわ」


「確かに、この遺跡は人間達が造った遺跡とは到底思わない造りになっていますね」


 ミカ姉ぇも遺跡内を見回しながら答えた。


「ええ、それに既に魔物の気配が濃いです。本来ならば、どんな神様が造った遺跡でも、何かしらの者を封印する為に聖なる結界を遺跡全体に張り、魔物達や人間達の侵入を防ぐように施していますが、先程言ったように、この遺跡内は魔物の気配が濃いです」


「となると、封印が相当弱くなっていると?」


 がぶり姉ぇに聞き返す。


「はい。いつ封印された者が蘇るか時間の問題になっていますね。話を聴いた当初は最低でも100年は大丈夫だと思っていましたが、この魔物達の気配から予測しますと、1年以内には確実に封印が解けてしまいますね」


「そうじゃのう。ここまで、魔物共の気配が濃いとなると、封印も末期状態じゃな」


 ヒルドさんも同意していた。


「そ、そんな…………」


 2人の言葉に調査員が愕然としていた。


「まあ、封印が解ける前にフレイム卿を呼んで助かったと思えば良いじゃない?これが、封印が解けた後では、イザイヤが大惨事になっている可能性があるのよ。封印をされた者は、私達、イザイヤの戦力では太刀打ちが出来ない敵かもしれないわ」


 アルクェイドが言うが、


「いいや、最初から人間共では太刀打ちが出来ぬよ。妾と同じ神が封印したのじゃ、しかも、こんな遺跡まで造って封印を施しているのじゃからのう。対峙していた者も相当な力が持っていると考えても良いじゃろうな。その者達同士が戦っていたんじゃ。人間共に敵う訳があるまいよ」


「そうですね。もし、今回の調査中で封印が解けた場合は、私達の戦力で勝てるか判りませんね」


 ヒルドさんとがぶり姉ぇが否定する。


「ウム、その相手に寄るがのう。まあ、封印されている者は十中八九邪神か悪魔じゃろうが、上位の者じゃろうな」


 と、ヒルドさんは遺跡内部を見てそう予測をした。まあ、最低でも地下三階以上もある遺跡を造っているのだから、相当力を持っている者が封印されているのが想像ができる。


「そうですね。今回の調査中にその者の封印が解けない事を願いますが………………はぁー、自分でそう言っている時点でフラグを建てているような気がしますよ」


 がぶり姉ぇが不安を口にする。がぶり姉ぇはこの遺跡内の何かしらの雰囲気を感じ取ったかもしれない。


「そうだよがぶり姉ぇ。流れ的に完全にフラグを建てているわよ」


 私は敢えてがぶり姉ぇを茶化した。私も遺跡内部の雰囲気が嫌な空気感になっているのを感じ取っていた。


「ですよねー。ですから、ため息が出るのですよ」


「だよねー」


「ならば、そのフラグをへし折れば良いではないかえ」


「そうですよ。そして、神聖王様達に連絡をして、封印を施した神様に再び封印をして貰えれば、万事解決ですよ」


 と、ヒルドさんとルエルさんが言う。確かにそうなれば一番良い解決方法だが、そうならない嫌な予感がするわ。

 私達は遺跡の一階の奥まで調査をしながら慎重に歩いて行く。

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