遺跡調査 1
私の転移魔法で、再びイザイヤの地を踏んだ。
「もう来ることは無いと思っていましたが」
「そうですね」
ミカ姉ぇとがぶり姉ぇが言った。まあ、私もこんなに早く来るとは思ってもいなかったけどね。
イザイヤが用意した2台の馬車にそれぞれ別れて乗り込む。イザイヤが用意した馬車はVIPが乗る馬車らしい。その馬車から王都を見ると、前に来たよりも活気があるように見えた。
「前に来たよりも活気があるわね?」
「ああ。神聖王様とされる遺跡がこの国で発見したのですので、国民達は舞い上がっているのですよ」
「ああ。国興しですか?その遺跡を観光地になるかもと?」
「はい!左様でごさいますよ。王も我々臣下もその遺跡で国が繁栄をと期待しているのですよ」
と、担当の役人が言うが、その遺跡は神聖王の遺跡ではない。もっと言えば、現時点で正体不明の神が何かしらの者を封印した遺跡だ。国の繁栄どころか国を滅ぼす可能性がある者が封印されているのが高い。アルクェイドの方を見れば、アルクェイドは首を横に振っていた。おそらく、イザイヤの首脳陣達はアルクェイドの言う事を頭越しから否定しているのが想像が出来る。イヤ、他の神が造った遺跡とは認めたくは無いのだろう。
イザイヤの首脳陣達は真実を受け入れていない事に呆れて、大きなため息を吐いた。
イザイヤの王宮に着き、馬車から降り、客室に案内された。
「うーん。これは拙いかもね」
「ああ。街の様子ですか?」
「活気がありましたよ?」
「それが拙いのかえ?」
「おそらく、いいえ、完全に間違った情報が国民達に流れているのですね?」
「そう。担当者の話では、この街の住人達は父さんの遺跡と認識しているわ。そして、イザイヤの首脳陣達もね。アルクェイドの話を信じていないようだわ」
「確かに拙い状況ですね。でも、私達が否定しますよ」
「そうですよ」
「ウム、それにのう。この調査でどのような結果がなるか判らぬからのう」
「そうですね。今回の遺跡調査の結果によりますが、最悪の場合は封印が解けて、何かしら者と戦う場合もあり得ますね」
ルエルさんがフラグを立てた。
「そうよのう。じゃが、その為の妾達じゃろう?」
ヒルドさんは自信満々に答えた。ミカ姉ぇ、がぶり姉ぇも頷いていた。まあ、このメンバーが居るからそうそうと負けるような事はないと思う。
「そうですね。その最悪の場合を想定して、聖さんはマリアさん達の参加を拒んだのでしょう?」
フラグを立てたルエルさんがそう言った。
「まあね。マリア達にはあまり危険な目には遭わしたくはないのよ」
そう、いくらマリア達が強いとはいえ、マリア達はまだ経験不足だ。これは私にも言える事が、私は火の貴族の看板を背負っているから経験不足とか未成年者とか言ってられない為、どうしてもミカ姉ぇ達に頼る。けど、私はミカ姉ぇ達に頼るのは悪くないと思っているし、頼らないとミカ姉ぇ達は怒る。
「そうですね。私もマリアさん達にはもっとクエストで実戦経験を積んだ方が良いと思います」
「そうじゃな。妾もルエルの意見に同意じゃな。主達は、聖と違うて戦術的に甘い所があるからのう」
「はい、その通りです。ですから、私としてはマリアさん達がこの遺跡調査に参加しなくてホッとしています」
「ウム、そうじゃな。妾も同じ思いじゃよ」
ルエルさんもヒルドさんも自分の主がこの調査に参加をしなくて良かったと思っているようだ。
コンコンと、扉をノックする音がし、
「失礼致します。準備が整いましたので、ご案内致します」
と、兵士がやって来た。その兵士の案内で、謁見の間に行くと、イザイヤ王をはじめ、イザイヤの重臣達や今回、遺跡調査の関係者と思われる人達が居た。
イザイヤ王が、
「これはこれはフレイム様。お久ぶりでございます」
と、私に対して、頭を下げて挨拶をする。重臣達は普通にしている。おそらく、王が事前に言ったのであろう。
「久しぶりですねイザイヤ王」
私もそう挨拶をした。そして、遺跡調査に関わっている人達も挨拶をして、
「僭越ながら、私の方からご説明致します」
と、遺跡調査代表者と思われる人物が話し始めた。その内容は神聖王の遺跡を発見し、遺跡を調査した内容を事細かに話していた。どうしても、父さんの遺跡にしたいらしい。
「以上が、神聖王様の遺跡と断定した次第なのです!!」
力説をした。
「力説しているが、残念ながら、その遺跡は神聖王の遺跡ではない。その証拠に神聖王当人がそう言っている」
「その通りです。神聖王様はこの地にご自身の遺跡を造ってはいないとはっきりと仰いました。よって、貴方が発見した遺跡は、他の神様が造って、何かしらの者を封印した遺跡になります」
私の後をがぶり姉ぇが引き継ぎ言った。
『なっ!?』
と、イザイヤ王を含め全員が絶句していた。
「というか、アルクェイドから、事前にそう説明を受けなかった?」
『うっ!?』
と、全員がバツが悪そうな表情をして言葉を詰まらせていた。
「やはり、貴方達はアルクェイドが話した事を信じていなかったのか?」
私がそう聴くと全員が沈黙した。
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