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戦勝記念日 3

「ねぇ?誰か来たわよ」


 アルクェイドの問いかけに私達が見ると、いかにも『オレは王子様だ』という服装で、ノシノシとお供と思わえる老人と一緒にこちらへやって来て、その老人が、


「失礼ですが、っ「失礼と思うなら帰ってやー」


 と、私は間一髪でそう言った。この男達の魂胆は解っている。そして、アルクェイドがクスクスと笑っていた。


「っ!?」


 老人が私の言葉に驚き、目を白黒させていた。すると、若い男が、


「ぶ、無礼な!このボクを誰だと思っている!!」


 王子風の男が怒鳴った。


「知らんね。知っている?」


 クレアとアルクェイドに聞く。


「いいえ、知りません」

「知らなーい」

 と2人が答えた。


「という訳だ。さっさと帰ってやー。ここは婚活会場ではないからな!!」


「こ、婚活会場???」


 老人がその意味が解らないようだ。


「そこのお前は、このどさくさでクレア王女に結婚を申し込むつもりだったのだろう?ここはそんな会場ではないと言う事だよ!!それにお前程度では、ハナっから釣り合いが取れないのが判らないのか?まあ、だからこそ、ここにやって来たのだろうがね」


 私はそう言い放つ。


「き、貴様!!オレは小国とは言え王族だぞ!!この王国の貴族は、小国とは言え、王族を下げつもりか?んー?」


 男は何故か勝ち誇った顔をしていた。


「お前こそ王族のクセに何も分かっていないようだな?」


「な、なにぃ!?」


「私は5大貴族の一角の当主だよ。お前ら、小国の王族よりも身分が上の存在だよ。知らないのか?5大貴族達は私が着ているドレスように色で5大貴族達の当主が瞬時に見分けが付くのを?ま、知っていたならば、私に対しての無礼な言葉はあり得ない事だからな」


 5大貴族の家のカラーが決まっている。

 私のフレイム家は赤。

 サンダ家は黄色。

 ウィンド家は緑。

 ウォータ家は青。

 ソイル家は茶色。

 と、決まっているので、当主に成っている人物はその各家の色の礼服やドレスを着ている。


 因みに王族は白と決まっているので、このパーティーに出席している。陛下、王妃様、クレアが着ている礼服やドレスは真っ白だ。


「なっ!?」


 男は目を見開いて驚いていた。


「オイオイ?お前、マジで王族なのか?しかも、同盟国で、盟主であるファーネリア王国の王族や私達5大貴族の事も何も解らないとは。お前は幼少期にどんな教育を受けたんだ?まさか、オレ様は王族だから、勉強する必要性がないと思ってまともな教育を受けていなかったのか?それでは、国が成り立たなくなるぞ。そこの老人よ?こんな人物を、一国の自国の王に据えて大丈夫なのか?こんなボンクラを王に就いたら国が乱れるぞ?」


「うっ!?」

「なっ!?くっ!?き、貴様っ!!!!」


 老人は言葉を失い、男は怒りに満ちていた表情をしている。


「フレイム卿。ここまでにして下さい。しかしながら、フレイム卿が言っている事は真実ですよ。それにフレイム卿が貴方達に帰ってと言った時点で、上位の命令に従わずに貴方達が帰らない事方がおかしいですよ。わたくしは誰からの求婚は受けませんので、帰って下さい!!」


 クレアがそう言い放つと、男は口をパクパクとしていた。


「これ以上しつこく言い寄れば兵士を呼びます。それでも良いですか?」


 クレアにそう言われれば、男達は引き下がるしかなかった。現に親衛隊や兵士達が私達の異変に気付き、何時でも男達に飛びかかれるように動向を見守っていた。


 男達が去ったのち。


 アルクェイドが、


「あの男は本当に求婚しに来たのね?」


「そうだよ。あの男はクレア王女に求婚して、あわよくば、結婚して、人生バラ色と思っているかもねぇ」


「なるほどね。自分は小さな国の王では終わらないと?」


「ま、そういう事だが、もし、さっきの男がクレア王女と結婚してもその男はここの王には成れないよ。憲法や法律でそう決まっているからね」


「そうなのね?」


 アルクェイドはクレアを見た。


「そうですよ。わたくしが女王と成り、わたくしの夫はわたくしの補助する立場ですよ」


「そうなのね?あの男は、仮に王女様と結婚をしたとして、果たしてそれで納得するかしらね?」


「出来ないでしょうね。男はなんでも支配をしたがる性質を持っています。特に王族と生まれた男は、自分がこの国の王に成ってやるという野望を持っていますからね。ま、男としてはそれが良いのでしょうが、我がファーネリアは、わたくしが女王と成るのは既に決まっている事ですので、わたくしの夫と成る方はそれを理解が出来ている方ですよ」


「そうなのね。弟さんはまだ小さいけど、将来は大丈夫なの?」


 アルクェイドが心配をしている。王族の男は野心家が多いのは事実だから。そうではないと、王という役職が務まらない場合もあるのも否定が出来ない。


「大丈夫ですよ。フレイム卿がそういう事を教えていますからね。それに、フレイム卿が教えていれば、野心はないでしょう」


 クレアは私を信頼しそう言った。


「信頼しているのね?」


「当然ですよ。ではないと、わたくしはそんな言葉は言いませんよ」


 そして、パーティーが終わり、同盟国の王侯貴族達は帰って行った。


 私達は陛下達の部屋に行きパーティーでの話をした。


「なるほど、あの者は移籍を希望を?」


「はい!アルクェイドは王国にとっても有益になる人物だと思います」


「確か、あの者はヴァンパイア。だったな?」


 陛下は私を見てそう言った。


「はい、そうです。しかし、人畜無害ですね。真祖というだけあって、ヴァンパイア特有な人間から血を吸わないですね。ま、今頃、人間の血を吸っていたら、おそらくは理性を失って暴走して、誰構わず襲っていると思いますよ。それこそ、討伐対象になりますが、私達が本気を出しても倒せるかどうかの人物ですね」


「そ、そこまで強いのか?」


「ええ、アルクェイドは、空気が無い宇宙空間でも生きていけますよ。そして、魔力も再生能力も凄まじいですね」


「なんと!?」

「そこまで!?」


 陛下と王妃様が驚いていた。


「では、アルクェイドという人物は誰にも倒せれないと?」


「はい。今の所は両親以外は無理でしょうね」


 正直に答えた。


「そうか…………だが、その者を怯える必要はない。のだろう?聖殿が言っていた事は、あくまで、人間の血を吸い、理性を失って暴走状態に成った時の場合の話だ」


「そうですね。アルクェイド自身、この世界を楽しんでいる様ですしね。それに人間の血も吸いたいとは思わないでしょうね」


 そう、先程の話はフィクションの話だ。アルクェイド自身、自分を破滅させる事はしないだろう。


「そうか。移籍の話は先方にも関わる話だ。直ぐとはいかないだろう」


「分かっておりますよ。わたくしも今すぐ欲しいとは思いません。将来、聖やアルクェイドのような優秀な人材が居てくれたら、政治や治世が安定化が図れると思い描いているのです。政治や治世は、わたくし1人、聖1人で、どうにかなるものではないのですから」


「ウム。その通りだな」


 私達は解散をして、私とクレアはイスレイくんとお風呂に入り、私は約束通りにイスレイくんとともに寝た。

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