戦勝記念日 1
今日から戦勝記念で休みに入る。
マリア達は一般人なので、記念行事には直接参加は出来ないが、見学は出来るようだ。とはいえ、軍人パレードや陛下や要人達の話を聞くだけだけどね。
各領も、もちろん戦勝記念のイベントをやっている。
各領はお祭り騒ぎのようだ。
各当主はこの王都で各イベントに出席をしている為に各領は領宰が仕切っている。私の所はテレサさんとローランさんが仕切っている。
私も秘書のがぶり姉ぇと使い魔のミカ姉ぇを伴って記念行事に出席をする。
戦勝記念日の最終日。
全ての同盟国の王侯貴族達を招待をして宮殿で大規模の晩餐会が開催された。
とはいえ、戦勝記念日中は常に同盟国の王侯貴族達が来ているので、晩餐会を実施していたが、私やクレアは未成年者という事を理由にして参加はしてはいなかったが、最終日はそうも言っていられないから参加をしている。
イスレイくんはかわいそうだけど、部屋でお留守番だ。その代わりに私がイスレイくんと一緒に寝る事になった。
その時のイスレイくんは喜んでいた。
そして、私とクレアは隣りの席で食事をしていた。
私の役目は陛下達の護衛だ。もちろん、親衛隊や兵士達も控えているが、流石に陛下達の近くで護衛が出来ないので、私が兼務する事になったが、更にミカ姉ぇとがぶり姉ぇがここのメイドに化けて控えているので警備体制は万全だ。
晩餐会の食事が終わり、立食パーティになる。
陛下と王妃様は中央の玉座に座り、同盟国の王侯貴族達の挨拶の対応をしている。
私とクレアは近くのテーブルに座り、お茶を飲みながら雑談に興じていると。
「はーい」
軽い挨拶が私達の耳に届く。見ると、アルクェイド・アルカードが居た。そういえば彼女も同盟国イザイヤの貴族階級だったな。それにしても挨拶が軽々しいわね。私もクレアも彼女とは親しくないのに。
「アルクェイド、久しぶりね?」
「そうね。貴女を見つけたから声を掛けたのよ」
「そう」
「フレイム卿?この方はどなた?」
クレアが私に訊いてきた。クレアはエリサとしてアルクェイドに会っているが、王女クレアとしては初対面だった。
「ああ、彼女は同盟国の貴族で、今、この王国の学園に留学している、アルクェイド・アルカードと言うのよ」
「で、こちらは、王女、クレア・ファーネリア様よ」
私が互いの名前を紹介をした。
「そうですか?クレアよ。宜しく」
「アルクェイド・アルカードでございます。まさか、王女様とご一緒だったとは、先程は大変失礼な挨拶を致しました」
と、アルクェイドはクレアに謝罪をする。
「別に構わないわ」
「ありがとうございます」
「で、なにしに来たの?」
「ああ、私はイザイヤ王の依頼で王国の宮殿に来たのだけどね。ここには貴女以外の知り合いも居ないからね。この機会に時間まで貴女とお話をしようかなとね」
「なるほど。ようするに暇な訳ね?」
「そうとも言うわね」
アルクェイドは開き直りでそう言った。
「まあ良いじゃない。わたくし達もどうせ暇ですし、わたくし達から相手に話し掛ける事はないのですからね」
「そうですね。じゃあ座ったら?」
「ありがとう」
アルクェイドは私の隣りに座ってからキョロキョロと周りを見回してからこう言った。
「なるほどね。貴女は王女様の護衛だけではなく、王とその王妃の護衛も兼ねられる位置に居るのね?」
ひと目で私の立ち位置を把握していた。
「うーん。流石首席だわね」
「まあね。伊達に長く生きていないからね」
と、自慢げに言うが、
「えっ!?長く生きている?貴女はフレイム卿と同じ歳ではないのですか!?」
クレアが驚きの声をあげる。
アルクェイドは「あっ!?」と声を出し、しまったという表情をした。
全く、褒めたらボロを出すって、この女は本当に首席を自分の力で獲ったのか?と、疑問視してしまう大失態だわ。
「い、いえ、何と言うか……わ、私は………」
あたふたするアルクェイド。
「まあ、良いですわ。貴女がどのくらい長く生きていようとも、わたくしは気にしませんよ。この世界は色んな種族が居ます。長生きをする種族も居て当然ですからね」
と、クレアは、サラリと『貴女は人外なんでしょう?』と言っているのと同じだわ。
「…………」
アルクェイドはなんて言っていいのか分からないようで、返事に困っていた。
「アルクェイド?王女様が気にしないと言っているんだ。貴女が気にする必要はないよ。貴女は人様に言えない疚しい事があるのかい?」
「無いわよ」
「なら気にする必要はないわよ」
「分かったわよ。けどね、人間ってさ、違う人種が居たら排除する傾向があるでしょう?」
「そうですね。たとえ、わたくし達同じ人間の格好をした違う人種が混ざって居たと分かったら、その者を排除したがる傾向があるのは否定は出来ませんね。これは、人狼ゲームと同じですね」
クレアがそう言った。確かに、私とアルクェイドは神とヴァンパイアで人間ではないわね。
「そうですね。別に人間達に悪さをしようと考えていないが、見た目や人種の違いの偏見だけで排除をしたがるのは良くない事だわ」
「そういう事ですね。だから、気にする必要はありませんよ」
「分かりました」
アルクェイドはそう答えた。
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