ゆっくりと休む筈が 12
私達はギルドに戻った。
受付けで、クエストの証しのゴブリンの耳を提出する。
「はい。確かに、ゴブリン10体以上の討伐を確認しました。では、クエスト報酬です。受け取り下さい」
「どうもありがとう。舞、更夜。小遣いだ」
その報酬を小遣いとして舞と更夜にあげる。2人が初めて魔物退治で得たお金だ。
「「ありがとう」」
2人は嬉しそうに受け取った。
「でさ、マスター居る?話したい事があるのだけど?」
私は受付け嬢にママの行方を聴いた。
「ギルマスなら、ギルマス室にいますよ」
「分かったわ。ありがとう。舞と更夜はカフェでも行ってお茶でも飲んで来い。私はママとあの話があるから」
「「分かった(わ)」」
2人は隣りのカフェに行った。私はママの部屋に行く。
ノックをすると。
『どうぞ』
ママの声がするので入った。
「アラ、聖、どうしたの?」
「うん、実はね………………」
私はママにクエストでの出来事を報告をした。
「――――――――という訳なの」
「なるほどね。あそこのギルマスなら知っているわ。そのギルマスにクレームを入れておくわ」
「そう分かったわ。私の話は以上よ」
「お疲れ様、聖」
「ありがとう。じゃあ」
私は退出をした。
●○●
「…………ハァー。未だにそんな事をやっているギルド員達が居るとはねー。ハァー」
私は独り言を言いため息を何度も吐いた。ギルドを立ち上げた当初はマトモにクエストをやらずに他のギルドパーティから獲物を強奪する事件が頻繁に起きた。だから、そのような行為をやらかしたギルド員は、逮捕され、ギルド会員証の永久剥奪と重い強制労働の刑。更に非道な行為なら死刑もあり得た。
今回の事件は、聖の話を聞く限りは死刑確定だ。そして、そのギルドの責任者のギルマスにもペナルティが与えれるわ。そのペナルティは、ギルド営業停止やギルド運営権の剥奪だ。
最近は、そのような行為するギルド員はいないと思っていたけど、こんな悪質な輩達が出てくれば、私のギルド員達にも注意喚起をしないといけないわね。
「ハァー」
私は再びため息を吐いた。
そして、私はそのギルドへ出掛ける事にした。
私がそのギルドに行くと、まだ兵士達はいなかった。どうやら、まだギルド員達の取り調べが続いているようだ。
私の登場に驚いたギルド員は私が何も言わずともギルマスを呼んだ。
「これはこれはリリカ殿。どうなされたかな?」
と、初老になるが体型ががっちりとしたギルマスがやって来た。
「どうもこうもないわ。貴方のギルドにクレームを言いに来たのよ」
「クレーム?だとう!?」
相手のギルマスの表情が豹変した。
「そうよ。私の所のギルド員たちが貴方の所のギルド員たちに獲物を盗られそうになったわ。しかも、ソイツらは自分達に殺意があったとギルド員は私にそう報告をしたわ」
「なんだとう!?」
ギルマスが大声を張り上げた。周りのギルド員達もざわつく。
「この話は……イヤ……本当の事なのだろうな。わざわざ、リリカ殿がこのギルドまでやって来てこんな話をしない…………か」
理解があるギルマスで助かるわ。じゃないと、ギルマスは務まらないが。
「そうね。こんな突拍子も無い話を貴方方に狂言したら、私の方がヤバいもの」
「そうだな。で?俺の所属のギルド員達は?」
「たまたま通りかかった兵士達に全員捕まったと言っていたわ。今頃は取り調べを受けているでしょうね。そして、明日辺りからここに兵士達によるガサ入れが始まるでしょうね?聴いた話では、捕まったギルド員達はかなりの常習犯みたいらしいからね。貴方もただでは済まされないわよ。だから、私は早々にクレームを入れに来たのよ」
「そうか…………この件は『知らなかった』では済まされそうにもなさそうだ」
ギルマスは悔しいそうに嘆いていた。他のギルド員達も真っ青な表情をしていた。
「そうね。私も自分のギルド員達全員の行動を全て知っているとは言えないわ。私もしっかりとギルド員達を管理・監視をしないと貴方のように監督責任を問われてしまうわ」
私も自分の所のギルド員がそんな事をやっていたら、ギルドを畳まないといけなくなるわ。
「だろうな。おそらくはこのギルドは閉鎖処分だろうな。そんな輩共を長く放置していた俺の責任だ。リリカ殿のクレームはもっともだ。そして、俺に事前に教えてくれた事を感謝する」
ギルマスが私に頭を下げた。
「ええ。でも、これは、あくまでギルドネコノメのギルドマスターとしてのクレームだから」
「ああ。分かっている」
私は自分のギルドに帰った。
その後、そのギルドは、王国から営業停止処分を受け、ギルマスはギルド運営権を永久剥奪となった。
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