ゆっくりと休む筈が 10
「お姉ぇ、あれ」
舞も男達を発見した。男達までの距離が約1km弱と言ったところか。
「ああ、分かっている。さて、ここで提案だ。転移して帰るか、無視して全力疾走して突っ切るか、もしくは轢き殺すか。どれが良い?」
舞達に3つの選択肢を提案した。一番安全なのは、一番目の転移魔法を使ってギルドに帰る事だ。二番目は私が全力疾走をして男達になにもさせずに突っ切る事で、三番目は男達に有無を言わさずに轢き殺す事を前提とした。
人相にして悪い事をしていると思われる男達だ。しかも、私達を完全に待ち伏せ状態だ。私達にとっても良くない事は分かりやすいくらいに分かる。
「転移して帰るが一番安全だな」
「轢き殺すに一票!」
2人は同時に言う。
「オイ!姉貴!?」
更夜は舞の発言にビックリしている。
「くっくっくっ。私達が魔力全開で全力疾走をしたら、あんな男達は轢き殺してしまうよな。それだけ私達が強いという訳だ」
「お姉ぇまで何を言っているんだよ。ここは転移魔法で帰ろうぜ。あんな男共を俺達が相手する必要はないだろう?」
更夜は呆れる様子で私達に言う。
「更夜?あんたはあの状態を見ても何呑気な事を言っているのよ。あきらかに、あの男達はあたし達を狙っているのが判らないの?だからといって転移魔法で帰るなんかつまらないでしょう?お姉ぇが言うようにあたし達が魔力全開で全力疾走をすれば、あの男達は轢き殺す事が可能なのよ。それにあの男達が避ければあたし達が轢き殺す事はないのよ。言わば、あの男達が道を塞いでいるのが悪いわよ」
舞が正当な事を言う。
「しかしな?殺人は良くないとさっきお姉ぇが言っただろう?」
「ああ言ったな。だがな、あの男達は私達になにかをするつもりであの場所で道を塞いでいるんだ。ようするに、あの男達は私達を舐めていると言う事になるんだよ。じゃなかったら、なんの為にこんな事で道を塞いでいるんだ?結論は私達にとっては良くない事だろう?」
「それはそうだけどさ。いちいちあんな男達を相手にすることはないんじゃねの?」
更夜は男達を相手にするのが面倒くさいようだ。
「更夜?お前は分かっていないな。クエストが終わったと言っても帰り道も何が起こるが判らないのがクエストだ。現時点で、それが起きている。そして、お前が1人で転移魔法が使えない場合はこのシチュエーションになった時はどう切り抜けるんだ?」
「ゔっ!?そ、それは………やっぱり、強引に突破をするしかない……か………なぁ?」
「だろう?突っ切る事とか轢き殺す事とかは脳筋な作戦だがな。自分が生き残る為にはこういう作戦もあり得ると思え」
「分かった」
更夜は折れた。
「じゃあ、方針が決まったところで行くか」
魔力を上げる。
「うん!」
「仕方ないか!」
2人も魔力を上げる。
「位置について……………よーい…………」
私達は一斉に全力疾走をする。
○●○
『オイ!見たか?男2人と女1人があの森の中に入って行くぞ』
『ああ、この森は一本道で、王都に帰るのはこの道しかないからな。そして、俺達はアイツらの帰りを待っていれば、獲物を横取りが出来るし、ヘッヘッヘ。1人の女で楽しむ事も出来るだろうよ』
『ゲッヘッヘッ。ソイツはいい考えだな』
『ああ、2人の男はさっさと殺して、女は俺達で輪姦そうぜ。そして、飽きたら殺そうぜ』
と、5人の男達はそれぞれ卑猥な事を想像して嗤っていた。
男達はとあるギルドに所属しているギルド員達でギルドランクもそれ程高くない。男達はパーティを組み、自分達よりも弱そうなパーティを見つけては、そのパーティから獲物をぶん取っては自分達が所属しているギルドに持ち込み獲物を換金して生活費を稼いでいる。まるでハイエナのような屑達だった。そして、男達に襲われたパーティは死亡している。理由は生かしておいたら自分達が危ない立場になるからだ。それにクエストは死亡するのが当たり前の仕事だ。そのパーティが何日も帰って来ない場合は所属ギルドは、確かめる手段がほぼ無いので、そのパーティは全員死亡しているとみなしている事がほとんどだった。だから、この男達はそういう事を理解している為に平然と他のパーティを襲っていたのだった。
しばらくして自分達で道を封鎖する。
クエストでしか活用がない道なので、男達の独壇場だった。
『オイ!戻って来たようだぜ?』
『グヘッヘッヘ。今から愉しみだなぁ?』
『ああ。女をどうヤろうかなぁ?』
『ゲッヘッヘッ。たまらんなぁ』
『ちょっ、ちょっと待て!!アイツら、もの凄いスピードでこちらへ走って来ているぞ!!ま、拙い!!皆、避けろ!!』
男達は慌てて回避をすると、3人は猛スピードで男達を横切った。
あっという間に見えなくなった。
『………………』
あっという間の出来事で男達はぼう然としていた。
『な、なんなんだアイツらは!?』
『い、一体何が起きたんだ?』
『イヤ、分からねぇよ』
『アイツら人間か?とんでもねぇスピードで駆け抜けて行ったぞ。まるで俺達の存在が居なかったように…………』
『もし、俺達が避けていなかったら……………』
ぼそっと言うと。
『オイ!?まさか、アイツらは俺達にそのままぶつかって俺達を吹き飛ばすつもりだったのか!?』
『ま、マジかよ』
『まさかな?ハ、ハハハ…………』
『い、イヤ、あの猛スピードで駆け抜けて行っているんだ。あのまま俺達塞いでいた場合は確実にぶつかっていた。俺達は最悪の場合全員死亡していてもおかしくはないぞ』
『まさか、アイツらは俺達を殺す気で猛スピードで駆け抜けて行ったのかよ!?』
『アイツら舐めた真似をしやがって!!ぜってぇー許せねぇーぜ!!』
この言葉に賛同する男達だったが、男達の行動は聖達に殺されても文句が言えない事を行っているが、男達にとっては自分達さえ良ければ他の者達はどうでもいい。という考えで、今度出逢った時にはこの報復をしてやる。とすら考えているのだった。
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