ゆっくりと休む筈が 9
茂みから現れた数体のゴブリン達はボロボロの磨いていない剣を持っていた。
「あれがこの世界のゴブリンか?」
「そのようね」
更夜と舞は瞬時に創造魔法で日本刀を創り出し構えた。2人は既にやる気満々だ。
ゴブリン達も私達を見つけて警戒をして「ギィーッギィーッ」と威嚇をしている。
「お前達やれるか?魔物と言えども初めての殺しだからな?やるのなら、一気に首を刎ねろ」
やる気満々だが、敢えてそう言った。魔物でも殺しに抵抗があれば、魔物の退治には向いてはいない。
「「うん、分かった」」
2人はゴブリン達に斬り掛かる。ゴブリン達も応戦するが、自力が違っていた。2人はあっという間にゴブリン達の首を刎ね殲滅させた。2人は魔物殺しに躊躇してはいなかった。
これなら大丈夫だな。
そして、2人はゴブリン達の耳を削いだ。
「お姉ぇー!やったよ!!」
2人は嬉しそうに言った。
「ああ、見事だ」と2人を褒めた。
そして、次のゴブリンがいないか探しに行く。
「初めて斬った感触はどうだった?」
移動中に斬った感触を聞いた。
「あまりいい感じではないわね」
「ああ、魔物とはいえ刀で斬るというのはこういう感触かと思った」
「だろうな。しかし、この感触を忘れるなよ。この後も沢山の魔物を斬ったり、魔法で殺したりするのだからな。そして、人間もな。この世界はそういう世界だからな。けして、クエストや戦争をスポーツやゲームと勘違いするなよ」
「「分かった」」
「お姉ぇは初めて魔物を斬った時はどうだったの?」
「私は、こんなモノかと思ったよ。人間に有害の魔物も生きているからな。殺すのは少し躊躇うわ。しかしね、以前にヒルドさんに言われた事だけどね。『躊躇うな!この魔物を殺さないと大事な者達が死ぬかもしれないと考えろ。そして、何よりも私自身が死ぬ事になる。それが嫌ならば、鍛えるのを辞めて違う世界で暮らした方が良い』と言われたわ。更に『殺しを履き違えるな!!』とも言われたわ」
「殺しを履き違えるなって?」
「簡単に言えば殺人とクエストは違うという事だよ。殺人は当たり前だが犯罪で、クエストは自分達が生きて行く為に魔物を狩る事だよ。それを同じ殺しと捉えるなと言う事だよ」
肉食動物は生きて行く為に草食動物を狩りをするのと同じだ。
「なるほどね。いかにもヒルド姉ぇらしいわ」
「そうだな。ヒルド姉ぇはつくづく武神だな」
「そうだな。ヒルドさんにそう言われると説得力があった」
雑談をしていると。
「お姉ぇ!」
「ああ来たな」
ゴブリンが現れた。そして、舞がそのゴブリンの首を刎ねた。
そして、順調に十体のゴブリンの討伐し成功をした。
「クエストコンプリートだな」
「「うん!」」
「しかし、お姉ぇはやらなかったけどね?」
舞が私を揶揄した。
「お前達が希望したクエストだろう?私が出しゃばってどうするんだよ。それに、今回は運が良くゴブリンだけしか現れなかったが、この森は他の魔物も沢山いるのだからな。お前達だけではまだ対処出来ない魔物もいるんだよ」
この森は熊や猪タイプの魔物も生息している。それを食料としている肉食動物タイプの魔物も存在している。
「「あっ!?」」
「分かったか?私は監督兼お前達の護衛なんだ。それに、受付け嬢が本来は未成年者のお前達をこんな森に連れて行く事はダメと言っていただろう?」
「そうだったわ。ごめんなさい。あたし調子に乗ったわ」
舞が謝罪をした。
「気を付けろよ?調子に乗ると大怪我だけでは済まされないからな」
「うん………ごめんなさい」
「じゃあ、帰るよ」
来た道を引き返す。
「アレ?転移しないの?」
「ああ、これもクエストの一環だ。また魔物に遭遇するかもしれないからな。それに魔力が切れた場合や転移魔法が使えない場合は歩いて帰るのが当たり前だ。ようするにクエストの目標が達成しても帰るまで油断するなと言う事だ。帰り道にどんな魔物に遭遇するか解らないのだからな」
「なるほど」
「納得したなら歩くよ」
帰り道もゴブリンに遭遇して退治をしながら森の入り口まで戻って行く途中に誰が見ても人相が悪い男達がたむろっていた。
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