王女様からの依頼10
話は変わって、ガルーガの話になった。
「エリサ?闇貴族を潰す本当の目的はなに?」
「えっ?本当の目的?そんなのがあるの?」
マリアは驚いていた。
「そう、エリサはおそらく、闇貴族を表舞台から完全に退場させたいのよ。そして、最低でも監獄から2度と出て来られないようにね」
「そうなの?エリサ」
「ええそうよ。特にガルーガの奴をね」
最低な奴だからな。奴が政治で実権を握るとこの王国が駄目になってしまう可能性は高い。
「実はね。ガルーガと私は結婚が決まっているのよ」
「は?結婚?どうして?」
「勿論、私が産まれる前に決まった話よ。当時の闇貴族の先代の当主はとても立派な人だったと聴いていたわ。その孫達と結婚させようと話に持ち上がってね。そう決まったのだけどね?その先代の当主が急死して、今の当主になった途端に闇貴族の横暴が続いているのよ。要するに、息子が屑だったのよ。その息子から産まれたガルーガも屑だったのよ。けどね、王侯貴族での約束事はそう滅多に破棄が出来ないのよ。だから、闇貴族を表舞台から完全退場。家ごと潰すしか、この王国を救う手立てがないのよ」
「なるほどね?だから、エリサは仮面を被って、その素顔を隠していた訳だ。そして、学園では貧乏貴族でガルーガの興味を無くす為に」
「そうよ。私も私の両親、両陛下も闇貴族との結婚は絶対に阻止したいのよ。でも、私達は王族。王族から簡単に破棄が出来ないわ。それをやると他の臣からの信用が失ってしまうからね」
「しかしさ、闇貴族の横暴が続いているのでしょう?皆解っているのでしょう?」
「ええそうよ。だけどね。解っていても、それは別なのよ。政治家は政治の実権を握っている輩には逆らえないのよ。ヤな奴でも頭を下げないといけないのよ」
「そんな…………」
マリアは絶句した。
「だからこそ、私が闇貴族の屋敷に乗り込んで、悪事の証拠の資料を盗むのさ」
「そういう事よ。それが判れば、私との結婚は完全破棄になるのよ。それに闇貴族を堂々と潰せるわ」
「そうだね。私も闇貴族の横暴は嫌だな。独裁政治になるでしょう?」
「そうね。今はなんとか周りの5大貴族達が抑えているけど、私の代になれば更に非道い恐怖政治が始まるわね」
「エリサが闇貴族の一員になるのはやだよ。お姉ちゃん、闇貴族を必ず潰して」
「そうだね。闇貴族は潰すべきだな」
「ああ、ごめんなさい。貴女達に言っていなかったわ。私は次期女王なのよ。今、第一王女が行方不明なのよ」
は?エリサが次期女王?オイオイ、それは余計に拙いでしょう!!
「それならば、余計にガルーガを潰さないと!」
「というか、エリサ!もっと早く言ってよ!!」
俺達はエリサを非難する。
「ご、ごめんなさい。言うタイミングを外していたわ」
「全く、一番大事な事でしょうに。けど、エリサが女王様か。良いと思うよ」
「ありがとう。でも、私にはまだ支えてくれる人達がいないのよ。これから作るのだけどね?」
エリサは俺を見る。ハァー。俺に手助けをしろか?
「エリサ?私を見ても何もないよ。あるのは魔力量だけよ」
「その魔力量を頼りにしているのよ。それに今の闇貴族の武力に対抗が出来るのは貴女だからね」
「戦いにおいてはそうだろうね。相手が暴力にモノを言わせるなら、こちらも更なる力でねじ伏せれば良いよ」
「そういうことよ。それに闇貴族の事が終われば、聖もマリアも私を手伝って欲しいのよ」
「まあ、私達が出来る範囲でね」
「うん」
「ありがとう」
そして、俺達は世間話をして、解散した。
明日からは俺は魔道鉱石の精製だな。




