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学園祭は片付けるまでが学園祭ですが何やら事件がまた勃発しています。 7

「それは困るよ。いきなり、クビになったこの者を擦り付けるのはフェアではないわよ?それに、この子が未熟者だったから私達にその存在がバレたのじゃない。という事は他の人にも存在がバレて有無言わさずに殺されてしまうわよ。元々隠密は死亡の確率が高いし、私と変わらない歳の子はまだまだ隠密としてのスキルを学ばした方が良いわよ」


 私はそう返答をした。


「ぬっ。しかし、この者は新人にも係わらず気配を消す技術は抜き出ている。訓練中だった時に私でもこの者を見つけるのは一番最後だったが………」


 一応、引き取って貰う為にアピールしている。


「見つけるやり方はそれぞれだよ。魔力や気配を消したとしてもその気配の気が漏れ出ていた。生きている限り気をゼロにするのは難しい。私達はそれを感じたんだ」


「それに戦闘中じゃしのう。妾達は更に鋭い五感になっておったが、それでも普段でもコヤツの存在は分かったわ」


「というより、普段から、そのような輩達が王都中にいますよね?まあ、気配を消しての見廻りで、私達の邪魔にならないようなので放置をしていましたがね」


「……………」


 私達が言うと、長が黙ってしまった。もしかして、私達が気付いていないと想っていたようだ。それがまさか、普段から暗部達の存在に気付いていたとは意外だったのだろう。


「分かった。この者は王宮のメイドとして余が引き取ろう。暗部に所属していたんだ王宮の構造は知っているだろうし、我々の目に届く所に置かないと拙いのだろう?」


「その通りでございます」


 陛下の言葉に長が同意する。


「ならば、問題無かろう?」


「はっ」


 長は直ぐさま答えた。陛下のメンツを潰さないように。


「という訳だ。お前は今日からメイドとして働いて貰う!良いな」


「メイドですか………あた、いいえ、私に勤まりますでしょうか………」


 どこか不安げな少女。それは分からんでもない。暗部は裏の仕事だ。メイドは表の仕事。今まで、裏の仕事をしていた自分に表の仕事が勤まるのか?という不安が過っているようだ。


「いきなり現場であれこれをやれとはならないぞ。しっかりと新人研修をしてから出て貰う。暗部も同じだっただろう?」


「は、はい。その通りでございます」


 頭を下げる。


「誰にも教わらずにいきなり出来る人間はこの世にはいないからな!!」


「は、はい!!精神誠意で勤めさせていただきます」


 下げた頭を深々と下げた。


「ウム。これで良いか?」


 陛下は私達を見回す。


「はい!」

「はっ!」


「ウム。以上だ!」


 陛下は席を立ち親衛隊長と共に謁見の間を退出した。


 長が、


「フレイム卿。貴女は一体何者だ?貴女はまだ高等部の1年だ。なのに既に数多くの実績を上げている。しかも、貴女が王都に現れてからのこの短期間の内にだ。しかも、その実績の中には数年を掛けないと解決は出来ないモノまで含まれている」


 長は、お前小娘1人では到底無理だと主張をしている。


「それは運が良かっただけだよ。それに私一人で成し得た実績ではないわ。ここに居る仲間達が協力してくれたおかげでもあるわよ。ただ私がその代表になっているだけで、私自身はそれらの実績を赤の他人達に自慢話をした事は一度たりともないわよ」


「……………」


 私にそう切り返されたら、長も言葉がなかったようだ。


「ま、そういう訳だ。先の事件が気になるのならば、一部始終見てたこの娘に聴けば良いわよ。行きましょうか」


『はい』

「ウム」


 私達は謁見の間を去った。


 謁見の間に残ったのは暗部の長と元部下の女だけだ。


「暗部として最後の報告をしろ!」

「はい…………」


 女は長に自分が目撃した事を包み隠さず報告した。


「……………以上でございます」


「そうか…………手練れと想われる敵を圧倒し倒したのか?」


「はい。私が見たところ、フレイム様はまだまだ余力を残しているようでした。戦い終わっても全く息を乱していませんでした」


「そうか………フレイム卿はそこまで強かたっのだな?」


「はい。長、ご迷惑をお掛けしてしまいすみませんでした」


と、謝罪をした。


「イヤ、フレイム卿が、強く、対人に鋭い五感を持っている事が分かっただけでも収穫だ。以後、部下達にフレイム卿やその部下達の周辺に不用意に近付くなと注意喚起が出来る。今までの任務ご苦労!そして、今後は陛下のご命令通りにメイドとして励め!そして、以後、我々とは関わりを持つな!これは長としての最後の命令だ!お前は表の人間になったのだからな」


「はい。今までお世話になりました」


 女は深々と頭を下げた。


 謁見の間の後にした私達は、陛下達の私室に来ていた。ここまで来ているので、王妃様とイスレイくんにも挨拶をしないといけないからだ。


 部屋に入ると、イスレイくんが私に抱きついて来た。そして、私はイスレイくんを抱っこする。


「聖殿?今日は学園ではないのですか?」


「はい。そうですが、トラブルが起きましてね。ここに来なければいけなかったのですよ。そして、帰る前に王妃様達にもご挨拶をと」


「そうだったのですか。コレはわざわざご丁寧に来て頂きありがとうございます」


「いえいえ。本当にご挨拶だけですので、それでは私達はこれで失礼しますね」


「えー!!もう帰っちゃうのー?お姉さん?もっと居てよー」


 駄々を捏ねる。


「ごめんね。私もまだやらない事が残っているのよ。また明日ね」

「そうですよ。聖殿はこれから、学園に戻り、自分のお勉強をしないといけないのですから」


「そうなの?お姉さんもボクと同じようにお勉強をするの?」


「そうだよ。私もお勉強をしないとね、イスレイくんのお勉強をみてあげられなくなってしまうのよ」


「そうなんだね。お姉さんもお勉強をしているんだね?」


「そうよ。明日、家庭教師の時間に来るからね」


「うん!」


 元気よく返事をしたので、頭を撫でてあげた。


 私達は王妃様達に挨拶をして、私達の寮部屋に転移し、神界に帰ったばかりの母さんを呼んだのだった。

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