朝練 〜エルフ対ヒルドの弓対決〜
明けましておめでとうございます。
今年もこの作品を宜しくお願いします。
それにしても、元旦に大地震が起こるなんて、誰が思うか。次の日には飛行機衝突事故…………。
亡くなってしまった方々のお悔やみ申し上げます。
軽食が終わり、準備体操や筋トレ、ダッシュをやり終え。
「エルフよ。妾と対決といこうぞ」
「………うん。………身体も暖まった」
という事で、早々に弓対決をやるようだ。
ママが、
「対決って、何!?」
事情を知らないママ達がビックリしていた。
「ああ。昨日な…………」
と、ステラ先生が事情を話した。
「ああなるほどね。対決というよりは、弓の腕比べね」
ステラ先生の説明に納得していた。
「そうだな」
兄さんもそうだった。
2人が弓対決をするので、残りの私達は見学する。
対決方法は極めてシンプル。10射で何射的に、特にど真ん中を射てるか?の競技方式だ。まさか、2人でお互いに撃ち合って勝敗を決める事はやらない。
先行はエルフになった。エルフの弓は独特な弓だ。弦の部分が風魔法の弦になっていた。これで胸を傷つける事はないわ。
ヒルドさんも、「なるほどのう。考えおったのう」と逆に感心していた。
これで、『卑怯』、『反則』などを言う輩はここには居ない。
これはエルフの一族の知恵から生まれたモノ。
エルフが、「……………そう私の胸が弦に当たらないのは風魔法で弦を作っているから。…………昔は弦は丈夫な紐を使っていたようだけど、どうしても、弦が切れてしまうから、先祖達が開発をしたみたい。…………以降、エルフが使う弓の弦は風魔法を使う。…………だから、エルフにとって風魔法は大切な魔法」と、説明をした。
「妾達は、風魔法を弦に使うその考えには辿り着けんかったのう。これならば、戦争の度に己の乳房を斬り落とさなくても良いよのう」
と、笑っていた。
「えっ!?せ、戦争の度に自身の乳房を切り落としていたって?」
ママ達がヒルドさんの言葉にビックリしていた。
「仕方なかろう。弦が乳房に当たって痛いのじゃ。しかも、乳首が弦によって取れてしまうでな。それじゃから、妾達ヴァルキューレは戦争が起こる度に邪魔な己の乳房を切り落としてから戰場に向かうのじゃよ。乳房が邪魔で弓が引けませんでした。なんて理由なぞ戰場では言い訳にもならぬよ」
「それはそうだけどね…………」
「ま、妾達には再生や治癒の魔法があるでな。終われば元通りじゃよ。それが、妾達ヴァルキューレにとっての常識じゃよ」
「ああ、なるほどね。だからこそ、そんな思い切った事がやれたのね?」
「そういう事じゃよ。さて、やるかのう」
「うん」
2人は改めて対決をする。
「では、1射目。先行、エルフ!」
進行役のミカ姉ぇが言うと、エルフが弓を構えて、弦を引く。
エルフの弓の姿は様になっていた。しかも、あの大きな胸をもろとせずに弦を引ききっていた。
そして、矢を放つと、ど真ん中に命中をする。
「おおっ〜!!」との歓声共に、私達がパチパチと拍手する。
「では、後攻、ヒルド!」
ヒルドさんも弓を構えて、矢を放った。
その矢は的のど真ん中に命中をする。
私達はエルフと同じように歓声と拍手をする。ヒルドさんも凄い。
そして、勝負は2人共に10射全て的のど真ん中に命中させるという凄まじい芸当をやってのけた。弓はとてつもない集中力と体力がいるにもかかわらず、全てど真ん中に命中させる事は相当な腕だ。
「この勝負は引き分けで良いですか?」
「ウム」
「うん」
2人共、ミカ姉ぇの提案を受け入れた。
おそらく、これ以上は2人共に体力と集中力が切れて出来ないだろう。
「2人共、お疲れさま。見応えがある良い対決だったわ」
「ああ、俺らは弓は扱えないが、見ててもとんでもない事をやってのけている事くらいは解る」
私とサトルが言う。
「…………ありがとう」
「ウム。エルフの弓の技術は、妾の想像以上の腕前じゃった。じゃが、妾も神の境地があるでのう。神として負ける訳にはいかぬよ」
「………私はヒルドに勝ちたかった。…………私が神様に勝てるのは弓だけだから」
エルフは悔しそうだった。
「エルフは妾と引き分けのじゃ。自慢は出来よう」
「そうですよ。凄い事ですよ」
ルエルさんも同意した。
「…………ありがとう………でも、やはり、勝ちたい。だから、後日に再戦したい」
エルフの目が真剣だった。次こそは勝てるという自信があるかもしれない。
「ウム、良いじゃろ。妾もやるからにはエルフに勝ちに行くからのう」
ヒルドさんはエルフの宣誓にニヤリと笑った。ヒルドさんもエルフに勝つ気満々だ。
以降、再戦の日まで、2人は朝練で弓の技術を磨くことが増えた。
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