休日 12
「で、ユカもママのギルドに入らない?」
「えっ!?わ、私も?」
「そうだよ。別に魔物退治をしろとは言わないわ。ギルドの依頼は薬草採取や迷い人、ペットの捜索もあるわ。他にもね………」
と、マリアは色々と言いユカを勧誘している。まるでスカウトウーマンだ。
「どう?」
「そうね…………」
迷っているユカに、
「ユカ?カフェのウエイトレスというのもあるわよ」
と、私が言うと、
「あっ!そうね。カフェのウエイトレスも良いかもね」
「お、お姉ちゃん!?」
ユカのバイトの選択肢が増え、マリアは非難の声を上げた。
「私はただ選択肢を与えただけよ。どれを選ぶのはユカ本人だよ」
「そうだけど…………」
マリアはなんか納得がいかないようだ。とは言え、ギルドもカフェも同じ経営だからそんなに変わりはないと思うが?
「クスッ。とりあえず、両方やってみるわ。私はマリア達のように戦闘力も無いしね。ギルドをやるのなら、人探しかペット探しの依頼だわ。それにウエイトレスの仕事も興味があるわ。日本に居た時もウエイトレスのアルバイトをやってみたかったのよ。でもね、そんな余裕がなくてね…………」
ユカは少し暗い表情をした。あの事を思い出したのだろう。
「そうなのね。まあ、私はユカがギルドに入って貰えばそれで良いわ」
マリアはそれに気付かないのか?その話題を敢えて触れなかったのか?そう言った。
「分かったわ」
母さんが舞に、
「それにしても舞の胸少し膨らんで来たわね?」
「そ、そうかなぁ?あたしはそうは…………って!?な、何言っているのよ!?」
舞は自分の胸を慌てて隠しながら言う。しかし、隠すほどの胸か?
まあ、口には出さないけどね。
「私は舞の事を心配して言っているのよ」
「え?心配?」
疑い目で母さんを見ていた。
「そうよ。サトルと結婚をして、子供が産まれた時に舞はどうやってお乳をあげるつもりなの?特に初乳は赤子にとっては一番大事なのよ。だから、もっと胸を大きくしないと赤子が困るのよ」
「え?母さんの心配事は赤ちゃんの事なの?」
「当たり前でしょう?そりゃ、私も舞にある程度の大きな胸があるのならこんな事は言わないわよ。しかしね、貴女の胸はなさ過ぎるのよ。これではお乳がまともには出ないわよ」
「ゔっ!?で、でも、あたしも好きでこんな胸になっている訳ではないのよ!!あたしだって、ある程度の胸の大きさが欲しいわよ。これでも努力はしているのよ」
「その割には努力が報われないわね?ガブリエル?聖?貴女達も舞の胸を大きくする為にやっているのでしょう?」
「もちろんですよ。私も聖さんも料理に胸を大きくする為の工夫はしていますよ。特に地球の時からしていますが、全く以て効果が出ていません」
「そうなんだよね。それに舞の身体は脂肪質よりも筋肉質なんだよね。それは、リクも一緒なんだ。2人共体脂肪率が私よりも少ない。やはり2人共に身体を鍛え過ぎかもしれないわ」
「それを言うなら、お姉さまだって」
「そうだよ!お姉ぇだってあたし達以上に身体を鍛えているでしょう」
2人が文句を言う。
「私の場合は2人とは違うよ、この身体はレイナが創った身体。はっきり言って筋肉質が全く付かない厄介な身体なんだよ。で、私が鍛えて今の身体になっているのだけどね。普通に鍛えていたら、全く筋肉が付かないんだよ。やり過ぎで漸く付くんだ」
そう私が説明をするとこの場にいた全員が『えっ!?』と驚いた表情をした。
「そう言えば、初めてママと打ち合った時は、たったの一回でお姉ちゃんギブアップをしたわね」
「そう言えばそんな事を言っていたな?」
「えっ!?そうなのお姉ぇ?」
「信じられないわ…………」
マリアと先生の説明に舞とユカが驚いていた。
「まあね。だから、鍛えまくっているのよ。でもね、私が鍛えまくっていても、貴女達もそうで良いとは限らないのよ。胸を大きくしたいのなら脂肪をより付けないといけないわよ。胸は筋肉の上に脂肪があるのだから。ホラ、ミカ姉ぇを見なさい。こんなにも立派なお胸様を持っているのに、全く垂れない。コレは、筋肉と脂肪がバランス良くてこんな形が良いお胸様になっているのよ。エルフは大き過ぎて論外よ。垂れているのかいないのか解らないからね」
エルフの胸はミカ姉ぇよりも巨乳し過ぎて分からない。
「聖さん!私をだしに使わないで下さい!!」
ミカ姉ぇが怒っていた。
「私は褒めているのよ。普通は大きければ大きい程重力に逆らえないから自然と垂れ下がってしまうのは判るでしょう?それを食い止めているのは筋肉しかないのだからね。後は魔法を永続使用するかのどちらかだよ」
「それはそうですが…………」
「しかし、何故、お胸様にコンプレックスを持っているのか分からないわね。惚れ惚れする程の理想形のお胸様なのにね?」
私が言うと皆が頷く。
「そうじゃよ。妾もおぬしの胸は大きくとも綺麗な胸と毎日見てはそう思っておるよ。妾達、ヴァルキューレは戦闘神族じゃからのう。戦争や戦闘の時は胸なぞどうでも良いし、場合によっては両方共自ら切り取ったからのう」
と、ヒルドさんはサラッと恐ろしい事を言った。
母さん、がぶり姉ぇ、ミカ姉ぇ以外、私を含めて他の皆が青ざめていた。
「戦争の為に、ち、乳房を切るなんて………」
私はあ然とした。イヤ、他の皆も同じだった。
「仕方なかろう。弓を引く為じゃよ。弓を引く時に胸が邪魔になるのじゃ、更に放った後に弦が胸に当たって痛いのじゃよ。最悪は乳首がその弦で取られてしまうのじゃよ。そんな事態になるのなら、自ら切り落とした方がマシじゃよ。それに戦争が終われば再生魔法でこの通り元通りになるのじゃからのう」
と、自身の胸を指した。言う事は、ヒルドさんも自ら切り落とした経験があると言っているモノだ。
「………………私、そんな経験はない。……………私も弓を使うけど、弦に胸を当てた事は一度もない」
エルフがそう言った。この世界のエルフ族も弓は使う。王族も弓は必須らしくエルフも弓での戦闘術を習っていたという。
「それは凄い才能じゃな。もしかすると、弓の技術は妾より上かもしれぬな?」
ヒルドさんは驚いていた。確かにエルフの胸で弦を邪魔をしないで引けて、その弦に胸を当てないのは相当凄いかもしれないわ。
「……うん。…………ならば、ヒルド、弓比べやろう」
「望む処じゃ。明日の朝練にのう」
「うん」
急遽、ヒルドさんとエルフの弓の対決が決まった。
「ま、それは良いとして、とにかく、ガブリエル達は舞とリクの胸を成長させなさい。特にリクは時間がないからね」
と、母さんがそう言った。マリアも。
「私も胸を成長させたいわ。せめて、エリサやユカ、ルエルさん位にはね」
「うん、あたしも同じ位欲しいわ」
「はい。ある程度の胸は欲しいです」
3人がそう言ったのだった。
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