休日 1
次の日。サトル達と川田先生は朝食を食べてから帰って行った。とは言え、また会うけどね。
陛下達もエリサを連れて宮殿に帰って行った。今日は教会でお祈りがあるからね。
イスレイくんは残った。
私達はこれからパパの店を目指して歩いて行く。ほとんど住人がいなくなった街の探索ようなものだ。
父さん達とがぶり姉ぇはお留守番だ。父さん達は私達の部屋でごろごろして寛ぐと言っていた。その世話役でがぶり姉ぇも残る。
ミカ姉ぇ達3人はパパのカフェで働くので、転移魔法で先に行っている。
「静かだね?」
「そうだね?」
「こんなにも静かとは思いませんでした」
「そうだな。皆、本山の教会に行っているからな。しかし、こんなにも静かだとはな。知らない人間が、この光景を見て焦ったのが分かるな」
と、ステラ先生がそう言った。ステラ先生は教会の信者を辞めたが、神聖王の信仰は続けると言っている。
『そこのキミ達は何をしているんだい?もう教会での祈りは始まっているが?』
と、見回りの兵士達が私達に声をかける。
「ああ、私達は教会の信者ではないからね。これから、カフェに行くのよ」
と、私が答えた。
「信者ではない?全員がか?」
「珍しいな?」
「うん?あっ!?貴方様は、い、イスレイ王子様!?それにフレイム様!?どうして御二方がこんな所に?」
『ッ!?』
兵士の一人が言うと、慌てて全員が跪いた。
「ああ、跪かなくてもいいですよ。あなた方は見回りの途中でしょう?なにかあった時に足が動かなくなっては意味がありませんよ」
兵士達を立ち上がらせた。短時間で足が痺れる事はないが、万が一の事もある。
『はっ!ありがとうございます』
「では、引き続き見回り宜しくお願いしますね」
『はっ!!』
兵士達は私達に一礼をして去って行った。
「聖お姉ちゃん凄い!」
「怖そうな兵隊さん達と平気で話していたぼくには怖くてできない」
子供達はわいわいと話していた。
「馴れているからね」
私はそう言う。いちいち、兵士達にビビっていたら、貴族なんてやっていられない。
「それにしても、寮からカフェまで結構距離があるのね。馬車は直ぐなイメージだったけど実際に歩いてみれば遠いわ」
ユカが言った。
「そうだね。でも、朝の散歩にはなるでしょう?」
「まあね。日本なら、直ぐに何かしらの乗り物に乗れたから長く歩かなかったわ」
「そうだな」
「うん」
更夜と舞が答えた。地元では、バスが盛んに動いていたので、大半の人達はバスで通勤・通学をしていたが、私は車酔いが激しいので、歩いて通っていた。
カフェに着くと転移魔法で先に着いていたミカ姉ぇが「ようやく着きましたか。歩きだとかかりますね」と言った。
「まあね。パパ。子供達にジュースを」
「ああ。用意する」
パパは子供達にジュースを用意した。私達はコーヒーだ。
休憩中に私はリョウタに話しかける。
「リョウタ」
「ん?なんだ?」
「川田先生がこちらに来ていた」
「なっ!?ま、まじか…………」
リョウタは動揺してから、
「い、いつ来たんだ?」
と、聞いてきた。
「学校を辞めてからの3年前だ」
「…………そうかよ………でも、何故聖が知っているんだ?昨日は学園祭だっただろう?」
「ああ。たまたまサトル達が先生の街に立ち寄って出逢った。そして、サトルが連れて来たんだ」
「そうかよ……でも、あの先生はお前達が引き籠もり中の時に見捨てて勝手に辞めたのだろう?どのツラさげてお前達と会っていたんだ?」
リョウタが怒っていた。
「違うよ。あの時は、私が先生に辞めるように勧めたんだよ。私は引き籠もるからな。となると、先生が集中砲火を浴びると思ったから私がそう提案をして先生も了承してそうしたんだよ。当時の私達ではこれ以上はどうしょうもない状態だった」
私の話を聞いたリョウタが「そうだったのかよ………」と呟いた。
「そうだよ。当時は私達が何を言っても、大半の連中は信じようとはしなかったからな。それに、ターゲットだと思っていた先生の話なんて余計に誰も聴かないだろう?」
「そうだな………オレ、凄い誤解をしていたな。なぁ?今からでも謝っても先生は許してくれるかな?」
と、リョウタは寂しく言った。
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