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思い掛けない再会 9 〜愚か者達の末路〜

 〜日本〜


 8月某日この日、【神々財閥グループの現総帥が逮捕される】と、一般紙、スポーツ紙の1面に大きく取り上げられた。

 逮捕容疑は、脅迫罪、収賄及び賄賂罪、殺人及び殺人未遂罪などの数え切れない程の罪名が新聞に事細かく書かれていた。

 もちろん、報道各局も逮捕された瞬間に各テレビ局は一斉に報じた。日本経済を支えている一角の大物財閥グループの総帥が逮捕されるというニュースで日本中が大騒ぎとなった。神々財閥グループの株価も大暴落でストップ安となった。

 神々財閥グループの幹部は、『総帥が逮捕されるのはなにかの間違いだ!直ぐに顧問弁護士と協議する』と声明を発表したが、その直後にその幹部や顧問弁護士も含めて一斉に逮捕されるという前代未聞の事態に発展した。容疑は共謀罪だ。

 更に神々財閥グループと関わりがある指定暴力団も全て逮捕され、聖達が通っていた中学校の校長を含め聖達の事件に関わったのち異動となった当時の教師達全員も逮捕された。教師で逮捕されなかったのは異世界に行った一人の男だけだ。幸いにも中学校は夏休み期間だったが、校長らの逮捕によって学校が機能麻痺を起こすのが明白だった。

 焦ったのが教育委員会の幹部達だ。今年来た赴任教師達や新規採用の教師達以外は全員逮捕されたのだから、どう見ても夏休み明けまで学校が機能を回復するのは不可能だ。更に逮捕をされた理由を保護者達に説明をしなければならないが…………。

 大半の人達はニュースで知っている。

 逮捕容疑は、卒業しその後に事故で亡くなった山瀬聖の学校ぐるみの悪質ないじめと3年前に行方不明になった川田ナオに対しての嫌がらせと虚偽だ。一人は未成年者で、既に死亡しているので、報道では、川田ナオの実名と少年A君と流れたのだが、この学校関係者には誰の事だか直ぐにも分かる筈だ。

 しかし、被害者達は行方不明及び死亡しているし、山瀬聖の家族は海外へ引っ越してしまい、こちらから連絡が取れないが、唯一取れる方法は、山瀬グループの日本本社に連絡を取る方法しかなかった。


 一方で、逮捕された神々財閥グループの総帥は、全ての容疑を否認し続けた。しかも、専属の顧問弁護士が来るまで話さないと言っているが、警察は「その専属弁護士は、貴様との共謀罪容疑で逮捕されたぞ」と、総帥に伝えた。

 総帥はショックを受けていた。更に警察は、「貴様が息をかけた警察や官僚及び貴様と関わりが深い政治家は全て逮捕される予定だ。貴様は触れてはいけない禁忌を触れてしまったからな」と言って絶望を与えようとしていた。


 しかし、総帥は、

「禁忌だとう?この俺を脅すのか!?この俺を誰だと思っている!!」

 と、強気な発言をする。


「ヤレヤレ、貴様は説明をしなければいけないのか?業界が長い貴様の方が一番良く知っていると思ったがな?」

「なに!?」

 小馬鹿にした警察を睨みつけた。


「良いだろう。教えてやるよ。貴様が禁忌に触れたのは山瀬グループの社長だよ。貴様は山瀬グループの社長が海外に居ると思っていて、ご子息を社会的に抹殺をしようと躍起になっていた事を社長は知っているぞ。山瀬グループはご子息を貶めていた黒幕をずっと追っていたのだ。で、貴様が浮上したわけだ」


「フン!ソイツは事故で死んだのだろう?その事はニュースで知ったぞ。この事に関しては俺は何も関与もしていない」

 と、はっきりと言い放った。


「それは我々警察も把握している。あれは捜査でただの事故と判明したが、だがな、貴様の指示でご子息が通っていた学校の校長以下、大半の教師達を脅迫し、ご子息を貶めた事は我々も把握している。この件で校長以下関わった教師全てが逮捕されているが、我々警察もただ教師達を逮捕しても黒幕の貴様だけがおめおめと逃げおおせる事だけは避けたかった。だから、我々警察も捜査を慎重にやって、山瀬グループが、貴様の犯した犯罪の動かない証拠を掴んで提出をした。貴様がやった事は立派な犯罪だ!」

「貴様が全ての犯罪に関して黙秘しようが、我々警察と山瀬グループで貴様の犯した全ての犯罪の証拠を既に掴んでいる。もし、貴様が山瀬グループにちょっかいをしなければな、我々警察が貴様を逮捕にしようとしても、貴様らの息がかかっていた大物の人物達が貴様が犯した犯罪を全て揉み消しが可能だっただろうな。しかし、山瀬グループは、この日本国家の経済を支える屋台骨と言っても過言ではないのだ。その山瀬グループが、本拠地を違う国に移せば、この日本の経済界は大混乱となるだろうよ。長年に渡り業界に居る貴様はそれを理解も出来ずに山瀬グループに手を出し悪質な犯罪をしたんだ。山瀬グループに手を出せば、揉み消しなぞ出来ないぞ!本気となった山瀬グループが声をかければ、内閣総理大臣が自ら動く、山瀬グループは国家権力そのものを動かせる力を持っているんだよ」

「分かったか!!禁忌のその意味が!!」


「くっ!?ギリッ!!」

 激しく歯軋りをした。


「裁判も貴様が息がかかっている人物達は一切出さない。牢の中で貴様が犯した全て罪に向き合って猛省をするんだな」


「…………」

 総帥はがっくりと項垂れていた。その後、総帥に出た判決は様々な犯罪に関与し自ら指示をしたという理由で、地方裁判所では無期懲役の判決が出たが、その後、総帥が不服とし、最高裁まで争った結果………。

『主文!被告人を死刑とする!』

 との最終判決が言い渡されたのだった。

 当然、総帥は「不当裁判だ!!」と大声を張り上げて裁判長に退出命令が降った。

 神々財閥グループは多額の負債を抱え自己破産し廃業をした。


 そして、聖達を貶めた校長以下教師達全員は教師職を失職し教師免許も剥奪され裁判も執行猶予が付いた有罪判決になり、山瀬グループから裁判所を通して各元教師達に多額の賠償金が請求された。

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