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思い掛けない再会 3

 一晩中森の中を逃走していると、うっすらと全体が青く明るくなりつつなる。既に男達が追いかけて来る気配は無さそうだ。私は少し休憩をする事にした。適当な大きな木を背にして眠った。


 寝て何分ぐらいか?太陽光で目が覚めた。バッグの中に入っているスマホを取り出して、電源を入れると………。


「えっ?時計が………それに日にちが表示していない?どういう事?」


 スマホの時計がデタラメで日付けも表示がされていなかった。そして、アンテナが一本も立っていなく圏外になっていた。


「これはどういう事よ!?どうして圏外になっているのよ?それに時計が午後5時ってどういう事?」


 私はスマホを見て混乱状態になっていた。少なくとも、スマホがあれば助かると思っていたが…………周りを見ると………。


「えっ!?な、なにこの木は?こんな木は日本に生息していないわ。いいえ、こんな木は世界でも見た事がない…………ここって何処よ………」


 私の専攻は物理・生物学だ。植物の勉強もしたので、大体の木の種類は判っているつもりだったが、私の目の前の木は私が見た事がない種類の木だった。

 思い当たるのは逃走していた時に空気が変わった事だ。その時に私は何処かの世界に飛ばされてしまった!?


「まさか?今流行りの異世界転生がテーマのWEB小説やアニメではあるまいしね。大体、私は生きているわ。(ぐぅぅぅぅ~)ほらね」


 と、お腹が鳴った。そういえば、昨晩から何も食べてはいなかったわ。


「ここに居ても仕方ないわ。この森を出ましょう。えーと、この太陽がおそらく東から出ているわよね?異世界と言っても、地球と同じ惑星だから、とりあえず、太陽が出た方向に行きますか」


 方針が決まり、太陽が出た方向に向かって歩き出した。

 何時間歩いたのか?はたまた数十分程度なのか?もう、時間の感覚が分からなくなっていた。歩けど歩けど、森から脱出が出来ていないからだ。一応、真っ直ぐには歩いているつもりだけど、同じような景色ばかりで方向さえこれで良いのか?解らない。

 お腹も減って、何かを食べたいけど、未知な所だから、木の実やきのこを見つけても食べるのに躊躇する。水も生水は危ない。沸かして飲んだ方が良いが、あいにく、火を点ける道具は持っていなし、沸かす為の鍋もない。当たり前だ、まさか、いきなりなんの準備もなく、知らない未知の世界でサバイバルをやるとは誰が思うか?

「ハァハァハァハァ」

 と、息を切らしてひたすら歩いていると、漸くひらけた場所に出たが、見渡す限り、一面草原だった。やっと森から脱出したと思ったら、今度はただ広い草原が目の前に広がっていた。私は自分のほっぺを抓ってみた。本当の私は暖かい布団でぐっすりと寝ていると思い、そして悪夢である事を願って。


「イッター!!少なくとも夢ではないわね…………(ぐぅぅぅぅ~)あーん!!もうー!!お腹が空いたー!!なにか食べたいー!!なんでもいいから食べたいー!!」


 駄々っ子のように大声で言ってみた。誰も居ないから恥ずかしくはないわ。それに、私の声が聴こえたなら、何事だ?と思って、私の方に来るかもしれない。

 まあ、悪人が来るリスクもあるけど、それは仕方ないわ。

 ここに居ても仕方ないので歩き出した。


「ハァハァハァハァ。ちょっとドラマではないのだからさ、なんで村でも小屋でも建物が見えないのよ~おかしいでしょう……………えっ?まさか、ここって無人の惑星なの?そういえば、動物らしき姿も全く見てはいないわ………」


 私は異変に気付いた。そう、逃走していた時は夜で気付かないのも仕方ないが、朝、歩いていても全く動物らしき物に会って居ない、鳥の囀りも聴いてもいない。この惑星は誰も動物さえもいない惑星なのかしら?

 そう仮定した場合たった一人でどうやって生きて行けば良いのか解らなくなる。それに食料もだ。動物さえも居なくてどうやって生きて行けば良いのか。チラッと見て、その辺のワケも解らない雑草を食べても大丈夫なのかも解らない。結局実証実験は自分自身でやらないといけない。全て自己責任になると思うと萎えるが、私の知識で生でも食べられる雑草を見つけられるかもしれないわね。


「とりあえず、行ける所まで行ってみましょうか。まだ、無人の惑星と決めつけるのは早いわ。たまたま、動物類に会わなかったかもしれないわ」


 そう、まだ決めつけるのは早い。

 しかし、ここが無人の惑星で動物類も居ないとなると、小さな頃にコミックで読んでいた手塚治虫が描いた火の鳥よりも酷いわね。あれは、夫婦が騙されて無人の惑星を買わされた話から始まったけど、私の場合はたった一人ですものね。


「ハァハァハァハァ…………歩いても歩いてもあたり一面草原って…………これ、やばいしょ………」


 ほぼ休憩がなく歩き続けている私の体力も限界に達している。この状態で倒れ込んだら、疲労困憊で起き上がれないわ………。

 そう思っていたり、考えていたりすると、どうして、いつも最悪の結果になるのか?私は足がもつれて、転んでしまった。

 もつれた瞬間「やばい」と思ったけど、もう身体が踏ん張れないのを分かっていた。そのまま倒れ込んでしまった。起きないとと、頭では解っているけど、身体がいうことを利かない。それに疲労が一気に身体中に押し寄せて、眠気を誘ってくる。『寝てはダメ!』という意識と『このまま寝たら気持ちいいよ』という意識が頭の中で囁く…………。


 私は意識を失ってしまった。

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