学園祭3日目 4
「……………そう、新しいモノをやらないと………頭が考え方が凝り固まる………確かに伝統な料理も大事だけど、それだけでは、発展はしないと思う………私、聖達に出会いこの学園に入って、私という者が変わった………エルフの国に居た時よりも何十倍楽しく暮らしている」
「ウム、そうだな」
「ええ、その通りですわね」
エルフさんの話を聴いて2人は頷きました。一方で子供達が。
「お姉さん、このお子様カレー美味しいよ」
「うん、すごく美味しい」
「甘くて美味しい」
「こんな物は食べた事がない」
「そうだね。この食物なら毎日でも食べたい」
と、子供達がカレーを喜んで食べています。カレーはどこの世界に行っても子供達に人気がありますね。
「ありがとうね。そう言って貰えると嬉しいわ」
聖さんも喜んでいました。
「しかしな、このカレーの値段は安過ぎないか?本来なら、もっとしても良いがな」
と、神聖王様が言いました。
「それは俺もそう思ったが、学園祭だから、この値段にしたのだろう?」
と、ファルコンさんがそうフォローをした。
「そうだよ。このカレーの定価が合っていなくて安いのは分かっているわよ。このカレーを作る為の漢方や香辛料がかなりの原価が掛かっているからさ。それにトッピングの値段もそうだよ。もう大赤字だよ。でもね、学園祭だからさ、それは仕方ないと思っているわ。ま、陛下から沢山お金を貰っているから経済的のダメージは少ないわ」
聖さんが神聖王様達に説明をしました。ウチには聖さんが稼いだお金が沢山あります。私が来る前は、聖さん自ら管理をしていましたが、私が来てからは私が全て管理を任されています。
「ならば、良いがな。前回のカレーライスよりも旨いな」
「そうですわね。前回のカレーライスとは味わいも違いますし、かなり煮込んでいますね」
「ああ、本格的なカレーライスだな。専門店となんら遜色がない出来だ」
神聖王様達がカレーライスの出来栄えを褒めていました。聖さんが作ったカレーライスは、私から見ても専門店のカレーライスとなんら遜色がないカレーライスで、このカレーライス一本だけで、生計が立てられるレベルです。
「まあね。作るなら、本格的なカレーライスを提供したかったのさ。それに学園祭とはいえども手を抜きたくもないしね」
「あっ!?だから、あれから普段でもカレーライスが私達の食事になかったんだ?」
「そうだよ。それに私が納得いくカレーが出来なかったからね。そんなカレーライスを皆には食べさす訳にはいかなったのよ。それで、皆が美味しいと言われても私はちっとも嬉しくはないのよ。ただ、苦痛にしかならないのよ」
「そうですね」
「ああ。俺もその気持ちが判るぞ」
私とファルコンさんが頷きました。私も自分が納得が出来ない物を提供するのは我慢が出来ませんね。妥協はしたくはありません。
「で?そのカレー類はどうしたの?聖の事だから沢山作ったのでしょう?」
ユカさんが聞きました。確かに聖さんの事ですからね。何度も何度もカレー作りに挑戦をしていたと思いますね。
「ああ、食の実験に使ったよ。どうしたら更に美味しくなるのかをね。だから、色んな食材を試して食べてみたりもしたよ。中には当然不味かったモノもあったよ」
「そうなのね。聖は料理研究家のような事をやっていたのね?」
「まあね。空間を有効利用してね」
「聖には頭が下がるわ。なんでも挑戦をしているのだからさ。それが前世からと言うから驚いちゃったわ」
「ああ、俺もだ。学校ではそういう事を見せなかったから余計にだ。それとは別に久しぶりにカレーを食べられて良かったぜ。もう食べられないかもしれないと思っていたからな」
「何を言っているんだ。お前だって料理人を目指しているんだ、この世界でもパティシエはケーキ類だけを作れれば良いという考え方を捨てろ!色々と料理を作れるようにしろ!お前はいずれパパから独立をして自分の店を持つのだろう?」
「そうだけどよ。パティシエはパティシエの事だけだぜ?」
どうも地球に居た頃が抜けていない様ですね。まあ、舞さんと更夜さんもそうですが。
「それは、地球上の事だけの話だろう?この世界、この王国はそんな定義はないぞ?今の所ではパティシエも料理人と同じ扱いだよ。もし、お前が地球上の定義と同じにしたかったら、有名でカリスマな料理人になる事だな。そして、パティシエ専門の料理学校を開校する事だな」
「お、俺がか?」
「そうだよ。そのくらいの地位を確立しないとな、初めてやる事に説得力がないぞ。ただの料理人が学校をやりますと言って、大勢が集まると思っているのか?」
「思わないな。しかし、何故俺が?」
「お前さ、ただの料理人で自分の人生を終わらせるつもりなのか?お前がここに残った目的はなんだ?両親を超える為ではないのか?お前の両親は街では有名なケーキ店だった。その両親を超える為にパティシエをやりたい為にここに残ったのではなかったのか?」
「ああ、そうだけどよ………しかし、俺にそんな事が………」
「それはお前しだいだな。有名になり、カリスマ的な存在になれば、自然と弟子の希望者が集まる。パパがそうだろ?」
「ああ、そうだった。自分を弟子にして下さい。と、毎日ように言って来ているが、マスターは断っているが?」
「それはそうだ。どいつもこいつもケーキの作り方を盗みに来ているだけだ。そんなヤツらを入れてもな1日か2日でトンズラをして違う場所で粗悪品のケーキを販売をするに決まっているぞ。しかも、最悪のが俺直伝と看板に書かれた時だ。被害を被るのは俺自身とケーキの作り方を提供をした聖だ。だから、俺は弟子を取らないようにしているんだ」
「それに、そういった法律も制定していないからね。泣き寝入りなのさ」
「そういう事だな。そうならない様に、法律の整備が必要不可欠だ。お前が店を持った頃にはその法律が出来ているだろう。そして、パティシエの専門学校とかいう物もな」
と、国王がそう言いました。
「えっ!?」
「お前は聖殿達と同じ異世界からやって来た人間だ。この世界には無い物を違ったやり方を持っている筈だ。それをこの王国でお前自身が発揮したいとは思わないのか?」
「そ、それは思いますが………ただ失敗をしてしまったら………」
「失敗したらそれでおしまいなのか?失敗を糧に何度も挑戦をしてみようとは思わないのか?」
国王が詰め寄りました。
「そ、それは………」
詰め寄られたリョウタさんはタジタジになり声を詰まらせていました。
「陛下、日本人は、一度失敗したらそれで終わりという悪しき風習がありますので、そして、大昔では、失敗した人間はその責任を取り死罪と決まっていましたから、その悪しき風習が今まで続いていて、それで誰もが失敗したらどうしようと萎縮してしまうのですよ」
と、聖さんがフォローをした。
「そうなのか?」
「は、はい………だから、失敗したらどうしようと思ってしまって………」
「と、こういったモノが身体に染み付いてしまっているのですよ」
「なるほどな。確かに、失敗をしてしまったら、責任者が失敗の責任を取らないならないが、どうして失敗したのかを、検証し、また、挑戦すれば、その失敗は帳消しになる。どんなものでも一度で成功するなんてあり得ないだろうな。何度も何度も挑戦と失敗を繰り返して初めて成功するのが当たり前な事だろう?」
と、国王がそう言った。まあ、それが当たり前な事ですがね。
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