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学園祭2日目 5

「わ、私は………生まれた時から大道芸しか知らないわ……それに違うモノをやれと言われても………」


 メアリーは凄く不安な表情をしている。それはそうだろうな。ずっと大道芸だけを邁進して来た。違うモノを新たに始めるのは不安を感じるのだろう。


「大丈夫だよ。あたしもユカ姉ぇも大道芸は出来ないわよ。それに、何事でも練習すれば上手くなれるわよ。それにね、あたしは料理は全く作れないし、お兄ぃやお姉ぇみたいになんでも出来ないわ。あたしが唯一出来るのは、剣術だけなのよ」


 舞はメアリーを安心させる為にそう言った。舞は小さい頃から剣術に興味を持ち、習い始めてから、それ一本で突き進んで来た。


「えっ!?そうなの?神様だから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


「出来ないわよ。だってね、誰からも教えて貰っていないからね。いくら、あたしが神としてもね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ならさ、メアリー姉ぇが得意な大道芸は自然に出来たの?」


 ほう?舞はメアリーの事を姉と認めているのか。


「うんん、パパ達に基本を教えて貰ってから、徐々に自分が出来る芸の練習をやって来たわ」


「でしょう?あたしも剣術はがぶり姉ぇに教えて貰って漸く出来るようになったわ。それに当たり前だけど弱かったしね。悔しいから、いっぱい練習をして、剣だこを作ってね。その結果、年齢別での日本一に成ったわ」


 舞は自分の両手をメアリーに見せながら話していた。

 舞の両手は剣だこが沢山出来ていて、最早女の子の手ではない。剣士を目指している手になっている。


 ま、私達兄弟姉妹(きょうだい)も剣だこが沢山出来るがね。


「あっ!私と同じだわ。私がナイフを使っているから、私の両手にもマメが沢山出来るわ。そのマメを潰して更にマメが出来ているわ。貴女も努力をしているのね」


「そうだよ。あたしだけじゃない、お兄ぃやお姉ぇ達も強くなる為に沢山練習をしているわ。お兄ぃもお姉ぇも、あたし達とは別に隠れて、かなりの練習をやっているわよ」


「「ゔっ!?」」


 2人で声を上げた。完全にバレている。とは言え、私達は2人で練習をしてはいない。そもそも空間で会わないし、練習内容も違っているので個人個人でやっている。私はこの前のメンテナンスで筋力がかなり落ちたからその筋力を取り戻す為の訓練をしていたのだが、メンテナンス前も、時間さえあれば、空間で色んな事をやっていた。


「そうね。ヤジリは時間があれば空間に入っているわね。本人は料理を作っていたと私達に誤魔化しているけど、本当は、新しい大道芸の練習をしているのを知っているわ。そうよね。ヤジリも神様だわ。その神様であるヤジリも新しい大道芸の練習をしていたわ。神様だから、なんでも出来る事はなかったのね」


「そうだよ。だから、メアリー姉ぇも新しい事に挑戦してみようよ。あたしも大道芸や色んな事に挑戦してみるわ」


「そうね。やってみるわ」


 メアリーは舞に言われて、新しい事に挑戦する事に決心したようだ。


「うん!」


 そんなメアリーに舞は嬉しそうに返事をした。


「話はついたようだな?」


「ええ」

「うん」


「安定の場所で定住するのはもう少し先の話になるな。ユカは結婚する前に少し働きたいと言っているし舞も」

「うん。あたしもそうだよ。ギルドに入って色んな場所にいって冒険したいわ」

「そうみたいだな。俺達もやはり直ぐにとはいかないだろうよ」


 それはそうだろうよ。ダンさん達もまだまだ現役で頑張っていける年だ。後、10年〜15年はやれる筈だが、おそらく、限界まではやらないと思う。時代の状況で情勢も変わってくるからだ。


「そうか。ユカも含めてお前達が将来の事で納得すれば良いわ。私達があれこれと言うのは場違いだ。言えるとしたらアドバイスくらいだよ」


「そうですね」


 がぶり姉ぇもそう言って頷いた。


「ああ、ありがとうよ。で、姉貴の方はどうなんだ?ガイさんとは上手くやっているのか?まあ、朝練で見る限りは上手くやっているような雰囲気だったけどな」


「ん?私達の方はぼちぼちやっているよ。でも、近頃は、私が忙しかった為にデートをする余裕が無くてな。お前が言ったように朝練やバイトの時間に話すだけだよ」


「そうか………」


「あたし達もお兄ぃとデートをしていないわ」


「すまないな。どうしても日程がな………」


 サトルが舞に謝る。舞達はこの学園に通っている。そして、サトルは大道芸人だ。一般人が休みの日は大道芸人達の稼ぎどころだから、お互いに休みの日が合わないのは承知の上だ。


「うん。分かっているわよ。でも、恋人としてデートをしたいわ」


「そうだな。今は無理かもしれんが、いずれは、出来る日が来る。お前達が長期休みがある日にその調整もしよう」


「そうだね。その長期休みは年末年始休みだわ」


「そうだな。他にはなさそうだしな?」


「うん………」


 舞が寂しそうに答えた。


「ああ、近い内に先の戦争に勝った戦勝記念として、土日を含んだ5日間が祝日となるからね。その日のどこかでデートをすれば良いぞ」


 私はそう言うと、舞が、


「えっ?そうなの?全く知らなかったけど?」


 と、言った。


「それはそうだよ。まだこれは極秘情報だよ。この学園祭が終わった後に発表されるのだからね」


「そうなのか?」


「ああ、陛下がさ、戦勝は王侯貴族だけで祝うのではなく、王国民全員で祝うものだと言ってね。5日間は休みになるよ」


「そうか。ならば、ユカと話した方が良いな」


「うん」

「そうね」


 そして、サトル達はまた学園内を周ってから、水の領に転移するそうだ。

 こうして学園祭2日目は何事もなく無事に終わった。

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