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学園祭2日目 4

 そして、私達は初等部の学年を周って見学をし終わって。


「さすがに、食べ物を販売しているクラスはありませんでしたね?」


 と、がぶり姉ぇが言った。


「それはそうだよ。初等部はまだ早すぎるよ。昨日、中等部に行ったけどね、食べ物を販売しているのは、ほぼ皆無だったよ。やっていたのは、簡単なカフェくらいだったわ」


「そうですか。やはり、食べ物を本格的にやるのは高等部からですか?」


「そうだね。でも、私のところのようにレストランはやらないわね」


「確かにそうですね」


 そう言いながら、皆と歩いていると、


「オーイ!姉貴ー!がぶり姉ぇー!」


「お姉ぇー!」


 と、舞達と大道芸人達が私達の方に歩いて来たので、近くの休憩所で話す。


「聖様、わたくし共をこの学園祭にご招待していただきありがとうございます」


 ダンさんが私に対してお礼を言った。


「良いのよ。それに学園祭中の出入りは自由だしね」


「それよりも、姉貴がやっているレストランは凄く混んでいたな。予想外だったぜ」


「でも、なんとか、お兄ぃ達とカレーライスを食べられたわ」


「けどな、トッピング全乗せがありなんて思わなかったな」


「あたしもそう思ったわ。昨日、お姉ぇが言っていたけど、実際に見て驚いたわ。3人がかりで大皿を持って行くもの」


「ああ、俺も驚いたな。まあ、トッピングの種類が多いからな。しかし、あんなにトッピングを用意しなくても良いような気もしたが?」


 サトルが質問した。


「良いだろうトッピングが多い方がさ、どれにしようかと選ぶのが楽しいじゃん。それに、自分でアレンジが出来るのだからさ」


「そうだけどな。カレーライスを食べた事が無い人は結構迷ってたぜ?それにウチの団員も。まあ、俺達が説明したから良かったものの、他の人は店員役の生徒に聴いていたぜ。何をトッピングしたら美味いのか?と。店員役の生徒はみんな美味しかったですよと答えていたな。そして、自分の好みのトッピングを参考までに言っていたが、結局は、そのものを頼んでいた客もいたぞ」


「そうなると思ったよ。事前にクラスメイトにトッピングも試食も実施したからな。色んなバリエーションを試したのが役に立ったな」


 と、言うと、サトルと舞、更夜が納得していたが、カレーライスを初めて食べた大道芸人達は困惑気味な表情を見せた。どう答えたら分からないようだったが、メアリーが。


「しかし、カレーの色にはビックリしたわ。食べる前はあんな色をしてて美味しいの?と思ったわ。まあ、実際に食べてみて美味しかったけどね。ヤジリが居なかったら、食べるのに躊躇したわ。実際にそういう客もいたしね。本当にこれは食べられるのか?と店員に聞いていたわよ」


 そう言っていた。


「カレーの色は、そうなる薬膳が入っているからね。カレーライスは、健康食だよ。風邪予防にもなるし、美容にも良い薬膳を入れてあるよ」


「そうなの?あのカレーライスという食べ物は健康食だったの!?だから、ああいう色をしていたのね?」


 と、驚いていたが納得している様子だった。


「姉貴はルーから作っていたのか!?」


 サトルがビックリしていた。


「当たり前だろう。まさか、お前は私が市販のルーをアレンジしたと思っていたのか?」


「わ、悪い………そう思っていた………」


「呆れたぞ。がぶり姉ぇ、こんなサトルをどう思う?」


「そうですね。同じ聖さんとは思えませんね。だけど、それだけ、聖さんとサトルさんの考え方が違ってきているという証拠になります」


 がぶり姉ぇがそう言う。確かに、私とサトルの考え方がだんだんと違ってきている。どちらが前世の【山瀬聖】の意識を強く受け継いているのか。


「うっ!?」


 サトルが絶句をした。


「ま、仕方ないだろう。私とお前では、暮らしている環境が既に違っているんだ。考え方も置かれた状況によって違ってくるんだ」


「そうだよな」


「お兄ぃ!お兄ぃはお兄ぃだよ」

「そうよ。ヤジリはヤジリよ」


 落ち込んでいたサトルを舞とメアリーが励ます。


「ありがとう。2人とも」


「そういえば、お前達はユカを交えて頻繁に会っていたな?」


「ええ、そうよ」

「うん、会っているわ」


 2人を見る限り、関係は悪くなさそうだ。


「で、将来はどうするかは決めたのか?」


 と、私は聞いた。


「うん、一応はね」


「メアリー達の将来は私達も関係してくるから、以前に舞様とユカ様を交えて話し合いました。結論は、私達が大道芸が出来なくなるまで、大道芸を続けて、後は、メアリー達が安定の地で暮らしていくと決まりました。私達は、聖様と国王陛下に大道芸が出来なくなるまで、大道芸を続けていくと、私達が過去に不幸にしてしまった人達以上の人達に笑顔にするとそう誓いましたので」


 ダンさんがそう説明をした。


「そうだったわね。貴方達はそれが一番の償いだから。そして、メアリーには関係無いわね」


「はい。ですから、メアリーには大道芸とは違うモノにも挑戦して欲しいのです。私は、舞様とユカ様、ヤジリの話を聴いてそう思いましたが、それを決めるのはメアリー自身ですから」


 ダンさんは、優しい目でメアリーを見つめた。

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