学園祭2日目 2
2日目が始まった直後に先生が呼ばれて居なくなった。
仕切るのが私になった。
教室前には『火の当主完全プロデュース。レストランは11時から』と看板が掛けられた。
「はいはい、カードの準備出来た?今日は限定150食だからね。開店する前に聞きに行ってね」
「分かった」
一人がカードを持って出て行った。
「後は」
『この時間はスイーツだけの営業時間中。食事は11時からです。』と、黒板にデカデカと書いた。これだけ告知をすれば良いだろう。
「委員長、準備が出来たよ」
「レジも大丈夫です」
「カードも配り終えた。と言ってもそんなに居なかったが」
と報告を受けた。
「分かった。では、開店だよ。私は仕上げの仕込みをやっているから、何かあったら直ぐに呼んでね」
「分かった」
私は空間に入り、仕込みの仕上げを取り掛かった。
しばらく経って、
「委員長!委員長!」
「はーい」
「一般客が」
と、クラスメイトが慌てた様子で、焦っていて言葉になっていなかったが、只事ではないと解った。
「分かった。すぐ行く」
クラスメイトの案内で、教室から出ると、
「なんだとう!俺は客だぞ!!」
と、男が大声を出していた。クラスメイトがその男に対して、少しタジタジになっている。
「あーなにがあったか知らないが、ここは学園内で、学園祭一環でやっている出し物なんだ。大の大人が怒鳴り声をしてみっともないわよ」
「なんだとう!お前では話にならない!責任者を呼べ!」
ますます、怒鳴り声を上げる男。
「ここの責任者は私だ!看板を見ていないのか?私が火の当主だ!なんのトラブルか話を聞こうじゃないか?」
「うっ!?い、ぃゃ………」
私がそう言うと男が急に声が小さくなり尻ごんだ。
「なんだ?どうした?なにか給付係りに対して文句があるのだろう?はっきり言え」
と更に言うと、対応していたクラスメイトが言うには、この人は、なんと列に割り込みをしたようで、それをカード配りをしていたクラスメイトと周りの人達で注意したら、逆ギレを起こしたという。
「呆れたな?いい大人が割り込みをして、注意されたら逆ギレするとはな?お前は学園祭やイベントに来る価値はないよ。さっさと学園内から去れ。そんな事をやっているお前のような輩がいるから、他の人達にも要らない混乱や迷惑を招くんだ。それとも、捕縛されたい?」
「うっ!!」
男は逃げるように去って行った。
「全くくだらない主張をするなよな!」
そう言って、私は空間に戻ったをその後は、大きなトラブルもなく順調に流れていた。11時になりレストランがスタートした。
忙しさは、1日目の比ではなかった。一般客も来ている為に色んなバリエーションのトッピング注文が入って来た。そして、お子様カレーの注文も入って来た。初日は注文がなかった。
とはいえ、注文順に作るので、魔法を使いながら、カレーライスを作って行くと、今日もトッピング全乗せの注文が3つ入ったが、その内1つは嫌がらせで注文したようだ。はっきり言って迷惑行為にしかならないので、その注文した客は迷惑行為の罰として2倍の代金の支払いを命じた。
そして、昨日の事を考慮して用意していた150食が14時前には完売となった。もう少し用意をしたほうが良かったかもしれないが、コレばかりは仕方ない。
私は後片付けをして、寮に行く。今日、学園祭を周るのはミカ姉ぇ達4人とだ。だから、寮に戻った。
「ただいま」
「おかえりなさい聖さん。食事の準備が出来ていますよ」
「ありがとう、がぶり姉ぇ」
早速、作って貰った昼食を食べた。
「う~ん」
「どうしましたか?」
「やはり、がぶり姉ぇがプロデュースをした方が良かったような………」
私の料理よりも更に繁盛するのは確実だ。
「まだそんな事を言っているのですか?」
がぶり姉ぇが呆れたように言う。それはそうだろうな。クラスの出し物がレストランと決まった時にも私がプロデュースをして欲しいと頼んだものの、モノの見事に断れてしまった。
「私を頼ってくれるのは嬉しいですが、前も言ったようにこういうのは、クラス全員で造りあげればそれがいい思い出になりますよ。と言った筈ですよ」
「それはそうだけどさ、やはり、料理が一番美味しいのはがぶり姉ぇだもの。そして、学園祭とはいえ美味しい物を食べた方が良いと思うわ」
「それはそうですが、聖さんの料理も十分美味しいですよ」
「それはそうでしょう。サトルと一緒にがぶり姉ぇに鍛えられているからね」
私達は朝練が終了した後にほぼ毎日がぶり姉ぇに料理の指導をして貰っている。私達の朝食作りとお弁当も兼ねているが。
「ならば、私を頼らずも良いでしょう。私の料理は身内だけに作る料理で、赤の他人には作りませんし、教えません。それが私の信条です」
と、きっぱりと言い切った。こうなると梃子でも動かないのが、がぶり姉ぇだ。もう諦らめる他ない。
「分かりましたよ。ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさまでした」
「じゃあ、見学に行きましょうか」
「はい」
私とがぶり姉ぇはミカ姉ぇ達と合流して見学に出掛けた。
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