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学園祭初日 4

「それと、シフォンケーキは後2日間の分量は足りるか?今日は予想以上に出ていたようだが?」


「はい、余分に作って置いたので足りると思いますよ」


 と、ユカが答えた。


「そうか?まあ、3日目に売り切れも仕方ないか?」


「それなら、シフォンケーキも、在庫が幾つあって、2日間分に均等に分けたほうが良いですね」


「そうだな。そうしようか。2日目の分が全て無くなったら、その時点で終了だな。次、ピスケットやクッキーはどうだ?最終日まで余裕か?」


 私達は、ピスケットやクッキーは、シフォンケーキに押されてあまり出ないだろうと予想をしていた。


「いいえ、今日は意外と出ていますよ。やはり、アレンジがウケたようです。こちらも2日間の分量を均等に分けたほうが良いです」


「そうか?なら、そうしろ。会計はどうだ?」


「はい、会計は結構大変です。暗算でやるので、今日の売り上げの計算のミスがあるかもしれないです」


 そう報告を言う。


「そうか………これは、重大な問題だな。本当に計算間違いをしていたらかなりの損出だな」


 商売で計算間違えは致命的だ。


「ねぇ?計算器は無いの?カフェにあるレジとかさ」


 と、舞がそう言った。


「そんな物は学園にないよ」


 先生が答えると、


「じゃあ、あたしが創っても良い?わりと簡単に出来るわ」


 舞は自信満々に答えた。


「つくるって?」

「彼女はまだ中等部でしょう?」

「マジで?」


 クラスメイトが騒ぐ。


「静かにしろ!創れるなら、創っても良いぞ」


「分かったわ」


 舞は創造魔法でレジを創った。

 舞も創造魔法が使える。初めて見た時は驚いたな。しかし、舞自身は、この世界の人達が使えて当たり前だと思っていたようで、創造魔法は私とサトル以外は使えないと言ったら驚いていた。

 ちなみに更夜も創造魔法はある程度は使えるようだが、私や舞程は使えない。


 舞が創ったレジは、バーコードを読み取り式のみのレジだ。


「舞さん?このレジは使えないわ。商品や伝票にバーコードは付いていないから」


 と、ユカが指摘する。


「えっ?あっ!?間違えたわ。創り直すわ。えーっと………」


「計算が出来るレジを出せば良いぞ。イメージは私が働いているカフェのレジだ」


 と、私がアドバイスをする。


「分かったわ」


 舞はカフェで使っているレジを創った。


「これでどう?」


「ああ、これなら使えるぞ」


 舞が創ったレジを操作してみてからそう言った。


「良かった~。結構、イメージが難しかったわ〜」


「そうだな」


「凄い!」

「本当にレジを創った!」

「こんなモノを創れるのは委員長だけだと思っていた!」

「まだ中等部でしょう?既に私達を超えているわ」


 クラスメイトから、驚きと賞賛が上がった。舞は照れていた。


「これで、会計も解決か?どうだ?」


 先生はレジをいじっている生徒に聴いた。


「はい、これは結構使いやすいですね。直ぐに委員長達が注文した合計金額が出ました。今日、最初からこれを使っていればと………」


 操作していた生徒が悔しがっていた。


「そうか。過ぎてしまった事は仕方ない。明日以降からは、計算間違えをするなよ?言い訳が出来ないからな」


『はい!』


 レジ係担当の生徒達が返事をした。


「これで反省会は終わりだ。明日以降からはもっとスムーズにやれる筈だ。今日は解散だ」


 先生がそう言って教室から出ると、クラスメイトが舞達に群がった。


「えっ?な、なに?」


「貴女、本当に中等部なの?」

「あんな魔法、オレ出来ない」

「誰に教えて貰ったの?やっぱり、委員長?」


「えっ!?う、うん。そうだよ」


 舞は困惑しながらも答えた。


「はいはい。群がって、そんなに質問責めにしない。舞が困っているから」


 私がクラスメイトに注意する。


「普通は気になるでしょう?」

「この2人は勇者なんでしょう?」


「勇者は更夜だけだよ。舞は姉だよ」


「勇者じゃないのに、あんな魔法が使えるの?やっぱり、委員長と同じ系統なのか?」


「何?その同じ系統って?」


 舞が疑問に感じながら質問した。


「とんでもない魔法を平気で使える人」

「オレらは、委員長のおかげでさ、免疫力が付きつつあるから、委員長がやる事には、あまり、驚かなくなったけど、委員長並の人が居るとは思ってもいなかったな」


 と、言うと、他の人達も頷いていた。


「ああ、あたし達も最初はお姉ぇがやっている魔法には驚いたわ。でも、お姉ぇだから直ぐに慣れたわ。あたしも教えて貰って、使えるようになったわ」


 と、舞が言うと、クラスメイトが舞の発言に驚きの表情を見せた。私達は天を仰いだ。


「えっ!?あたし、なにか変な事を言った?」


「ああ、十分言ったよ姉貴。『お姉ぇ』と普通に言っていたぞ」


「あっ!?」


 更夜の指摘を受けて、気付いた。


「えーっとね?」


「委員長?色々と呼ばれているんだな」

「マリアからはお姉ちゃん」

「リクからはお姉さま」

「で、今回はお姉。と」

「委員長は、結構、姉呼ばわりされているな?」


「まあね。各々が呼びやすいやつで、呼ばれているよ。舞達は、正真正銘年下だからね。プライベートではお姉ぇと呼ばれているわ。ま、こういう場所では、私の事を火の当主かフレイム卿と呼ばしているけどさ、話の流れで普段の素が出てしまったようだ」


 私がフォローをした。


「そうなんだ?」

「というか、あなた達は委員長と一緒に住んで居るの?寮って基本は1人ずつよ?」


「ああ、舞達は特例で2人で住んで居るよ。異世界から来たから中等部とは言え1人ずつでは何かと不安もあるだろうと思ってね。ま、更夜が勇者だから、2人は学園が終われば私と戦闘の修行をしているから、夕飯とかは一緒に食べているよ。ま、半分は一緒に暮らして居るようなものだな」


 私が答えた。


「そうなんだ?だから、あんな魔法が使えるようになったのか」

「じゃあ、この2人も委員長並に強いんだ?」


「まだまだよ。修行中だからね。特に更夜は勇者だから最低でも成人に成る前に強くしないといけないのさ。弱い勇者だと、不安しかないからね?」


「うっ!?」


 声を詰まらせる更夜。


「確かにな?でも、今の状態でも、オレ達よりも強いのだろう?委員長がスパルタで修行をしていそうだからな」


『うんうん』


「剣術の授業もしっかりと私達にやらせるし」

「そうそう、他の先生よりも剣術で色々と教えてくれているからな」

「まさか、剣術で剣を使っての防御を教えて貰えるとは思わなかったけどな?剣術は攻撃一筋と思っていた」


「知らないよりも知っていた方が良いでしょう?」


「それはそうだな」


「それに、最近は王都でも暴漢類が出没しているとの情報もある。自身の身を守れるぐらいしておかないとね」


「そうだったな。そんな情報が出ていたな」


「話を戻すよ。舞は剣術に関しては才能の塊だよ。このまま修行を続ければ、将来は私以上の剣士に成れるよ」


 私は舞を褒めた。

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