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学園祭初日 2

 私は遅い昼食を食べた。マリア達は寮に戻り、私の作り置きカレーを食べた。レストランだと、混雑するのが目に見えている。

 先生は、報酬としてレストランで前もって作っておいたカレーを食べている。


 私が座っていると、舞と更夜がやって来た。初日は一緒に周ろうと約束をしていた。

 舞と更夜のクラスは、出し物が無いから、私達が学園祭の準備に追われている姿を見て羨ましがっていた。やはり、学園祭に参加するには、自分達でも出し物を出してクラスメイト一丸となって準備をした方が学園祭に参加をするという意義がある。


「よっ!2人共」

 私が声を掛ける。


「ご沙汰しています」

「久しぶりです」

 と、2人が返事を返した。私達はここでは他人行儀だ。誰が目撃をしているのか分からないからだ。


「2人で周って見ているのか?」


「はい」

「俺達は、普段も2人で行動をしているので」


「そうか?では、私も行こうか。私も1人なんだ」


 そう言って、私は舞達と学園祭を見回る事になった。そして、中等部エリアに行くと、更夜が勇者という事もあり、女子達からキャーキャーと言われていた。完全なアイドルだな。私の方は、知らないようだ。現に、舞と同じ制服を着た女子達が私を睨むように遠くの方から隠れて見ている。これはストーカー行為だな。


「(やれやれ、コレは舞達が嫌がるワケだ。鬱陶しくて、学園祭を楽しめないな)お前達、ちょっと休憩をしようか?私からの奢りで、2人でジュースでも買って来い」


 適当なテーブル席に座り更夜に金を渡す。


「分かった。姉貴行こうぜ」

「そうね」


 2人も気付いているな。2人が離れると、女共が私の所にやって来た。全く、こういう輩共は徒党を組まないと話も出来ないのか?


「お前ら?私に何か用か?」


「なっ!?」

「わ、私達はS組なんですけど!!」


「で?S組がどうした?私に用が無ければ消えろ!コレは警告だ!」


「け、警告ですって!!」

「私達は全員貴族階級なのよ!!」


「だから、私に用件があるのなら、さっさと話せ!聞いてやるからな」


 全く持って面倒くさいぞ。


「な、生意気だわ~」

「あんたは高等部と言えども一般制服でしょう!何故、一般クラスの人間が更夜様と一緒に歩いているのよ!!」

「そうよ!更夜様と一緒にいるなんて生意気だわ!」


 と、ギャーギャーと騒ぐ女共。


「用件はそれだけか?私が誰と一緒に歩いていおうともそれはお前らには全く持って関係ない事だよ。それに、私にそんな口を利けばな、お前らとその親、特に父親達が私に土下座をするハメになるぞ。用件がそれだけならば、痛い目に遭わないうちにさっさと去れよ。これが最後通告だ!」


 と、忠告をしてやるが。


「な、生意気だわ!!一般クラスのクセに」

「そうよ。一般クラスの平民が、私達、貴族階級に逆らえばどうなるか分かっていますの!!」

「そうよ!お父様に言い付けてやるわ!!」

「そうよそうよ!この王国にあんたの親もろとも住めなくしてやるわよ!!」


 更にギャーギャーと喚き立てる。コイツらは、自分達よりも立場が下だと歳上の私でも強い態度で言うんだな?


「ハァー。お前らこそ、私に対しての発言に気を付けろよ。私はな、ここの教師も兼任しているんだ。学部は違うが、教師である私はお前ら全員を停学や退学処分を出来る権限も持っているんだ。それと、お前らの家を没落する事も出来るんだよ」


『ッ!?』


 私の言葉にたじろぐ。コレは脅しでもなんでもない。私達、5大貴族の権力や権限は凄い。私が貴族階級を破棄と命令を下せば、その貴族の家は没落するしかないからだ。だけど、そんな事はそう滅多にならないが、あまりにも酷い貴族はそう命令を下す他かない。


「分かったら、さっさと去れよ!お前らは鬱陶しいぞ!そうやって、このように他の女共も排除すれば、更夜が喜ぶと思っているのか?お前らがやっている事は全て更夜にとって迷惑行為にしかならないのだぞ?もっと言えばなお前らの行動は更夜に嫌われる行為をしていると分からないのか!」


『ぐっ』


 ぐうの音も出ないようだ。


 そこに、


「お前達、何をしている?」


 と、言いながら、中等部の教師がこちらにやって来た。すると、


「先生ー!」

「この上級生が私達を虐めるの」

「ありきもないわけの解らない因縁を付けて虐めます」

「そして、自分は教師だと訳が分からない事を言って、私達を退学処分をさせようとしています」


 と、女共はニヤニヤとしながらその教師に言った。


「なに?本当か?って、貴女は!?」


 教師は私に気付いた。


「そんな訳がないだろう?一対多数で、どうやって虐めるのさ?普通は逆だろう!それに私は更夜とその姉の舞と学園祭を周っていたら、この女共が私に文句を付けて来たんだよ!そして、私は警告をしたのだがな?こうやって、この女共は、貴方にウソ偽りを言ってこの場から逃れようとしているんだよ」


「そうだな。貴女の言う通りだ。というか、お前達?貴族階級なのにこの御方を本当に知らないのか?」


『えっ?』

「こ、この御方?」


「この御方は、火の当主様だ!更に、臨時で教師もやっている。お前達を退学処分が出来る立場にいる御方だ!そんな御方にお前達は絡んだのか?」


 教師がそう言うと女達の顔色が青くなり。


『あ、貴女様が火の当主様と知らず、私達の数々の御無礼をお許し下さい!!』


 と、一斉に土下座をする。


「な?言っただろ?お前達は私に対して土下座をするとな?忠告は聴くものだぞ?」


『……………』


「ハァー。お前らな?一般制服を着ていても、S組の定員がオーバーで、A組には貴族階級の連中がいるのだぞ?ましてや、この学園祭で勇者である更夜と一緒に歩いているのならば、その関係者ではないか?と気付けよ」


 と、教師が女共にそう言った。


『……………』


 女共は何も言えなかった。そこに、舞達が戻って来た。


「ただいま〜ジュース買って来た」

「って?この状況は何?」


 舞達が困惑している。


「ああ」


 私が事情を説明した。


「ああ。なるほどね?だから、(お姉ぇに対し)土下座をしているのね~?」


「(やっぱり、こうなったか)とんでもないバカ共だな」


『うっ』


 更夜の容赦ない一言にダメージを受ける女共。



「当主様が言ったように、俺と一緒にいる女性を排除してなんになるんだ?お前達には、俺は前にも言ったよね?そんな事をして俺が喜ぶと思っているのか?そして、そんな事をやったお前達に俺がなびくとも思っているのか?と?もう忘れてしまったのか?」


『…………』


 女共は黙っていた。


「ま、私もお前達の事は前々から更夜達から聴いていたよ。実際にお前達の行動は度を過ぎてウザ過ぎる。貴族階級という身分を笠に着て、自分達がなんでも許されるという勘違いをしている。そんなお前達を私は許さないよ。この案件は、学園長に言って、お前達を退学なり停学なりの処分をしてもらう。お前達は、もっと一般常識を覚えろ!こんな非常識な者共は将来使えない!!」


 私はそう言って、舞達が買って来たジュースを飲んでこの場を去った。

 その間、女共はずっと土下座をしたままだった。そんな女共を教師に任せた。

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