動けない私 1
翌朝、何時もようにめざ………あ、あれ?目が開かない?えっ?か、身体が動かない!?
私の感覚では目覚めて、脳がはっきりとしているのに、目が開かない、更に、身体をもぞもぞとしようと動かそうとしても、身体が動いてはくれない。
焦る私。私の身体はどうなっているの?昨日までは何も身体に異常どころか、違和感もなかったのだが………?どういう事だ。分からないぞ?
そうしているうちに、マリア達が起きて来て。
「あれ?お姉ちゃん?まだ寝ているの?」
「…………珍しい。聖が私達よりも起きるのが遅いなんて」
「お姉さま!朝ですよ!起きて下さい」
と、リクが私の身体を揺すっているらしい。
「う、ううっ……………お、きて……いるわよ…………目が………あ、あ……かない…の…よ。そ、そそれに……か、か、身体が…………」
と、私は上手く喋れない。
それを間の語りしたマリア達がパニックを起こしていたらしい。
数分後、一通りパニックを起こしたマリア達は、ママ達を私達の部屋に呼んだようだ。
「聖?一体どうしちゃったの?昨日まではあんなに元気だったのに?」
エリサが私に訊ねた。
「わ、わからない………あ、あさ、お、起きたら……このような……状態でさ………で?……さ、サトルは………い、いいるのか?………目が開かないし……けはいも……わからない…………つ、ついでに……さ、触れても………わか……わからないからさ……」
「そうなの?サトルは居るわ。それに至って元気よ」
「そ、そうか?さ、サトルは……な、なんとも……ないんだな?」
「ああ、今は至って元気だよ。しかし、今の姉貴の姿を見れば、不安だな。次の日に俺が姉貴と同じような事になってしまう可能性があるかもしれないからな」
心配そうに言った。
まあ、そうだろうな。私達は意思疎通は出来ないが、魂は同じだから、サトルが心配する気持ちも分からくもない。
「わ、私の場合は疲労の可能性もあると、そう思いたい」
喋りが少しつづ良くなって来ている。
「思いたいって?」
兄さんが突っ込む。
「他の病気の可能性もあるでしょう。疲労でこうなったと思えば、まだ、気持ちが楽だわ。もしこれが、原因不明の病気だったら大変だわ」
ママがそう代弁してくれた。
「確かにそうだな。病気よりも疲労の方がまだマシだな。実際、今回の戦争では聖は働き過ぎだ。疲労が溜まってこうなった可能性もあるかもな」
「でしょう?で、ガブリエルさん?聖の容態は?」
「はい、現段階では、病気ではなさそうですが、疲労でこうなったとも言い切れませんので、これから、神界に行って、神聖王様に訊いて来ますよ」
そう言って、がぶり姉ぇは、神界に転移した。
「父さん達が来ればあっという間に治してくれるな」
「そうだね。お姉ぇも直ぐに治るわね」
「そうだね。パパなら直ぐだね」
「これで一安心じゃな」
「はい」
皆の声から察するに安心しきっているようだ。まあ、父さん達が来れば治る確率は高いからな。
「お待たせしました」
がぶり姉ぇが帰って来たようだ。
「ガブリエル?神聖王様達は?」
どうやら、父さん達は来ていないようだ。
「はい、神聖王様達は来てはいません。聖さんのこの容態は神聖王様達でも治せないからです」
『えっ!?』
皆が一斉に声を上げている。私も驚いている。父さん達でも治せないって、私の身体は一体どうしちゃったの?
「どういう事?」
「はい、落ち着いて聞いて下さい。神聖王様が言うには、聖さんの今陥っている容態は、半年に一度の身体のメンテナンスだそうです。ですから、神聖王様達でもどうもならない状況で、自然治癒に任すしかないとの事です」
「め、メンテナンス……………」
おそらく、皆があ然としているわ。
「ああっ!!確か母さんが言っていたわ。半年に一度、メンテナンスがあるって、まさか、今日だったとは思わなかったし、すっかり忘れていたわ」
「そういや、母さんがそう言っていたな?それで俺は、姉貴は機械かと言った覚えがあるな」
そう言えばそうだったな?
「では?聖さんはいつ回復をするのですか?」
「はい、神聖王様の話では、早くても1週間、遅くても10日以内には元通りに回復すると言っていましたね」
「そうですか…………」
「まあ、そういう状況ならば仕方ないな。私達でいう生理と同じような現象だ」
「そうですね。それに聖さんは、先の戦争で裏方としてかなり働いていたそうですから、これは、休暇としては丁度良いですね。以降、学園としては公休扱いとしますので、しっかりと身体の回復に努めて下さい」
ジェーン先生がそう言った。
「ありがとう、ジェーン」
私の代わりにママがお礼を言った。
「いいえ、聖さんは、王国の為に動いていましたから、私はそのくらいでしか出来ませんので」
「そうね。私は今の状況は何も出来ませんので………」
エリサがそう言った。
「あっ!?ごめんなさい。失言でした」
ジェーン先生がエリサに謝る。
「いいえ、私も聖の為に何も出来ないのが不甲斐なく思ってしまっただけで」
エリサが慌てて弁解した。
「これは仕方なかろう。人によって出来る事と出来ぬ事が状況によって違うのじゃからのう。エリサが悔やむ事はないぞ。神である妾も聖の為に今は何も出来ぬのじゃからのう」
ヒルドさんはエリサを慰めた。
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