魔力が消えた日 1
グランパニ公国との戦争が終わり、私は久しぶりに学園に行く。
戦争中は、火の領、宮殿、アトランティスの村との間を1日で何往復したかが分からないくらい移動をしていた。
休学中は剣術の授業は、他の教師がやってくれたようだ。
戦争が終結し、凱旋パレードをやったが、私は他が忙しく参加はしなかった。
そして、後日、同盟国を招いて祝勝会をやるらしい。
グランパニ公国の王侯貴族達は皆死亡が確認された。そして、グランパニ王の首は陛下に渡ったらしい。グランパニ公国は戦争に大将として参加した3人の大貴族が中心となって復興を着手している。私は関与は一切しなかった。
旧グランパニ公国の復興には何十年とかかるみたいだ。復興が終われば、国名を変えて、ファーネリア王国の新たな属国として生まれ変わるようだ。
サトル達大道芸人達は、戦火の危険性が無いと判断し風の領に留まり芸を披露していたようだった。
〜ホームルーム〜
「おはよー。あー、戦争が思っていた以上に早く終結した。よって、予定通りに来月に学園祭をやるからな。まあ、戦争の後で気が乗らないヤツもいるだろうが、気持ちを切り替えて行かないとな。今から、クラスの出し物を決めるぞ」
と、ステラ先生が言った。
「今からですか?」
「そうだ。今から決めないと、学園祭に間に合わなくなる場合もあるからな。例えば、演劇とかな?まあ、クラスで演劇をやるのなら、4月の頭から演目を決めないと間に合わんがな」
「そうですね。じゃあ演劇は無しですね」
私が言った。
「そうだな」
「委員長の大道芸は?」
「それは、私個人でやるヤツでしょうが!!クラスでやるヤツではないわよ。というより、皆に大道芸を仕込む時間が無いよ。大道芸を人前で出来るのは最低でも数年は掛かるわよ」
「えっ!?そ、そんなにも掛かるの?」
「当たり前でしょう。お金を取れる芸を披露するには時間が掛かるのよ。という事で、大道芸も却下だよ。もし、クラスで大道芸を演りたいのなら、来年に向けて、今から練習しないとね」
私がそう言った。
「一年掛かりの出し物………」
「それでも、時間が足りないって」
クラスの皆が少し引いていた。
「他に無いかー?」
先生が呼びかける。すると、マリアが手を挙げる。
「なんだ?」
「はい!私、レストランをやりたいです!」
「レストラン?喫茶店ではなくてか?」
「はい。ここにはお姉ちゃんという、プロのシェフが居るのだから、喫茶店ではなく、レストランをやりたいです」
「うん、マリアも私頼りの出し物なのね?私一人で、1日中厨房を担当するの?」
「え、え~っとね?」
「そこまで考えていなかったのね?」
「ごめんなさい………」
マリアは素直に謝った。
「まあ、レストランをやるというアイデアは良いぞ。大概は、喫茶店だ」
先生がそう言うと、マリアが復活した。
「でしょう?出し物として絶対に成功すると思います」
「そうですね。お姉さまが作れば、不味い料理にはなりません」
「…………そう。聖が作った料理は美味しい。…………不味い料理を食べた事がない」
リクとエルフまで言い出した。すると、クラスメイトも。
「委員長が働いているカフェで委員長が作った料理を食べたら、凄く美味しかった。食べ終わった後に両親にクラスメイトが作った料理と言ったら驚いていた」
「オレも食べたぞ。かなり美味かったなぁ」
「私が聴いた話では、委員長の料理ファンが居るって聴いたわ。その人達は毎週、土日は食べに行くと聴いたわ。でも、戦争があって委員長がずっと不在だったから、おそらく、がっかりしていたかもしれないわ」
などと、言っていた。
「今回の私のクラスの出し物は食べ物で、レストランで良いな」
『賛成です』
と、クラスメイト全員が賛成に回った。
「というか。私有りきの出し物ですが?」
私が文句を言うが、
「これから、細かい事を決めて行くからな。まずは肝心の営業時間だ。レストランと言うが、ずっと聖一人で作らせる訳にはいかない。かと言って、聖の後にお前らが料理を作らせる訳もいかないのは、お前達も判るよな?」
先生がそう言うと、全員が頷く。
「よって、本格的なレストラン営業時間を決めて、後は、カフェにするしかないな。そうしないと、学園祭中は聖に自由時間が無くなるからな」
それが一番困る。
「という事で、私の考えを提案する。客が一番入る時間帯をレストランとして営業するんだよ。その時間帯が終われば、後はカフェにする。そして、聖はカフェの時間帯が自由時間帯だ。もちろん、他の生徒は、交代でのウエイトレスやウエイターだ。というのが私の考えだ」
と、先生が提案した。悪くはなさそうだ。先生にしちゃあ、まともな提案だ。
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