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グランパニの勇者達 17

「驚くほどでもねぇよ。テメェーはそれ程の事を仕出かそうとしたんだよ。ま、その元凶はグランパニにあるからな。全ての責任はグランパニにある。テメェーはただきっかけを作ったに過ぎないぜ。で、俺達の仕事場はグランパニだな。戦争の混乱期を利用して盗むだけ盗む。どうせ、ファーネリアが勝てば、奴らの財産は全て、ファーネリアのモノになるからな。ならば、俺達が有効利用する」


「だよねぇ〜」


 まさに火事場泥棒の行為だ。しかし、盗賊団にとっては当たり前の行為だった。


 2週間後、リュウガを加えた盗賊団は、グランパニ公国の首都に来ていた。そこでは………。


「おおっ!やっているやっている。この戦争のおかげで、どこも警備が手薄になっているからな。俺達盗賊団にとっちゃ天国な職場だな」


 上機嫌でお頭は言う。


「ここが、グランパニ公国の首都?ファーネリアの領よりも寂れているな?イヤ、戦争中だったな。寂れているのは当たり前だな」


「なんだ?お前はグランパニの街並みを観たことがなかったのか?」


「ああ。ずっと、城の中に居てな、外出を許してくれなかったんだ。そして、移動中もカーテンで外の様子を見えなくなっていたしな。理由を聞けば、一般人達に俺達の存在を知られたくはない。という事だった」


「そうか?だがな、グランパニ公国で暮らして居る一般人達は、悲惨な暮らしさ、税金なんざ、稼ぎの7割強も持っていかれるしな、その税金を収めなかったら、家族全員が牢に入れられて収められなかった分の強制労働をさせられる。更に魔力を宿っているのがバレれば、有無言わさずその場で殺されるしな」


「酷いな。俺が聴いた話とは真逆な話だ。グランパニ公国に住んで居る一般人達は何処の国よりも幸せな暮らしをしていると抜かしていたぞ。シンなんざ、その言葉を信じ切っていたしな」


「そんなのは、物事を知らないヤツに対しての常套手段だ。実際に見たことがないからな。言いたい放題さ」


「そうだな」


「そういや、お前は、ここの出身だったな?」


「ああ、税がほんの少しだけ足りなかっただけで、俺達家族全員が強制労働を強いられた。そして、俺以外全員が死んだんだ。俺はここを棄てた。大国と言っているが、俺達、一般人達の暮らしは小国の暮らしと全く変わらないのさ、ここでいい夢をみているのは、大商人や王侯貴族共だけさ」


 そう言い捨てた。


「大国で、一般人がまともな暮らしが出来ているのは、ファーネリアだけさ。もう一つの大国ナチ帝国なんざ、ここよりも酷い暮らしを強いられているぜ」


「やはり、そうか。ファーネリアを見た時に一般人達の顔の表情が明るかった。希望に満ちた表情をしていた」


「そうだろうな。ファーネリアは、働けなくなった人間も最低限の保証はしてくれるらしいな?そして、周辺の小国がファーネリアとの同盟をしたがっている話も聴くな。ま、他の大国よりも待遇が良いらしいな」


「凄く詳しいのだな?」


「それはそうだ。情報というのは、なによりの武器になるからな。知らないよりも知ってた方が断然有利になるからな。お前も覚えておけ」


「ああ、分かりました」


「では、仕事に移るぜ!!俺達が狙うのは、大商人や王侯貴族共の屋敷だ!遭遇したら、構わず殺せ!どうせ戦争中だ。戦争で殺されるか俺達に殺されるかのどっちかだ」


 そうお頭が指示を出した。それに手下達が頷く。


 そして、盗賊団が動き出すと、益々グランパニ公国の首都内は大混乱に陥った。


 戦争は昼夜問わず行われ、更に盗賊団が屋敷には盗みに入られるという大商人達や王侯貴族達には泣き面に蜂でたまったものではない。


 そこで、グランパニ公国側が交渉使節団をファーネリア王国軍に送った。その内容は停戦と賠償金の提示だ。この戦争はグランパニ側が被害者だから、停戦も賠償金も当たり前だと思い込んでいた。意気揚々と交渉をするが、その傲慢な交渉態度がファーネリア側を更に怒らせる結果になっただけだった。

 賠償金どころか停戦交渉すら決裂に終わり。しかも、無礼を振る舞ったとして、使節団全員、首だけになってグランパニ側に送り返された。

 手紙も添えつけられていた。その内容を読むと。

『貴様らとは最早交渉する価値も無い!!神聖王様の名の下に貴様ら全員、あの世に送ってやるからその首を洗って待っていろ!!』

 と、書いてあった。


 その内容に主上は怒り狂い、

『今居るファーネリア軍を必ず殲滅させろ!!一人として逃すな!!』

 との命令を降したが、グランパニ軍に最早そんな力が残ってはいなかった。唯一出来るのは玉砕だった。

 グランパニ軍が敗戦になったのはファーネリアを舐めていた事だった。更に、王族を殺せば、後は烏合の衆化になると踏んでいたが、その目論見がハズレた。そして、更に敗戦になった理由はファーネリア軍が電光石火の強襲をかけて来た事だ。


 ファーネリア王国とグランパニ公国はかなりの距離があった。馬車で速くて3週間も掛かる距離があったが、ファーネリア軍の移動が速ずぎて、グランパニ軍の軍備が完全に整ってはいなかった。よって、グランパニ軍は対応が全て後手後手に回り遅れたのが敗因だった。


 そして、戦争開始から1ヶ月も経たないうちにグランパニ公国という国名は地上から消え去った。

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