グランパニの勇者達 16
シンの最期の回です。
「リュウガ!!」
シンが悲鳴にも似た声を荒上げた。
「ほう?」
お頭はニヤリとする。
「リュウガ!!何故だ!僕たちはグランパニ公国の勇者なんだぞ。それなのに悪党の手下になるなんて許されない行為だ!」
「あっ?グランパニ公国の勇者なんざ、こちらから願い下げだ!良いか?グランパニ公国の奴らは俺達を勇者と祭り上げただけで、その実態はただの捨て石にされただけだぞ。そんな奴らにもう従うつもりはない!!それに俺はあそこから脱獄が出来たら、安全な国にトンズラする予定だった。俺はもうグランパニ公国の奴らを信用しない。帰らない。お前だって知った筈だ!俺達が束になっても絶対に勝てない存在がいるという事がな」
「そんな事はない!!グランパニ公国の人達は僕たちに期待をしている。それにあの時は、ただ僕が油断をしただけさ。あの場所が相手に有利な場所だっただけで、次に会った時には絶対に僕たちが勝てるさ」
あんな目に遇ったにも関わらず、シンはまたしてもお気楽発言をする。
「バカかお前は!あの女の魔力量が桁外れだったのを忘れたのかよ?そして、その女にお前がコテンパンに一方的にやられたのを覚えいないのかよ?あれは、誰が見ても相手が有利な場所でも、お前が油断していた訳でもない!あの女の戦闘力が圧倒的でとんでもない化け物だっただけだ。次に会ったら、お前は確実に殺されるぞ」
リュウガが警告するが。
「いーや、その前に俺がテメェーを殺す!!言った筈だろう。俺の手下にならなきゃ殺すとな。俺の手下にならないヤツを生かして置くほど俺は甘くはねぇぞぉ。言っておくが俺は強えぜ?」
お頭が攻撃的魔力を放出する。
「僕はグランパニ公国の勇者だ!勇者は悪なんかに負けない!僕は英雄になる男だ!!」
シンも魔力を放出した。
お互いの魔力量はほぼ互角。そして、両者魔法で攻撃をした。
見た目は互角の魔力攻撃での押し合いになるが………………。
「ほう?なかなかヤルじゃねぇか?さすが勇者さまって所か?」
「くっ!?」
お頭はまだ余裕があり、対するシンは余裕なぞ既に無かった。
シンは既に全力で魔法を放っていた。
「ほら?どうした?テメェーの実力はこんなモノなのか?あ?」
「くっ!?」
「残念ながら、テメェーはもうおしめぇだ!!最期に上には上が居ると知っただろう?あばよ勇者さま(笑)よ!!ハァーーーーーーー!!!!!!」
お頭は更に魔力を上げ、魔法攻撃の威力も上げた。
お頭の魔法がどんどんとシンに向かって来る。シンも慌てて限界以上の魔力を上げて抵抗するが、無駄な足掻きだった。
シンはお頭の魔法攻撃にのみ込まれて何も遺さず消滅した。
神々神という人物がこの世から完全に消滅した。
「シンがあんなにあっさりと死にやがった…………」
リュウガは体中汗が出ていた。
「(あの女はマジでシンを相手に手加減をしていたな。じゃないと、今のように1秒未満でシンを簡単に消し去っていたんだ。邪神を殺すなんて俺達には到底不可能だ!!やはり、グランパニ公国の連中は俺達を単なる捨て石として扱っていやがったんだ!!ふざけやがって!!あのふざけたグランパニ公国の連中をぶっ殺してやる!!特に主上と俺を召喚した王女を八つ裂きにしてやる!!)」
リュウガはお頭の魔法攻撃を見て確信していた。そして、自分を嵌めてくれた、グランパニ公国の王族にいつかは復讐をしてやると心に決めたのだった。
「バカなヤツだぜ!俺の手下に成っていりゃ、長生きが出来たのになぁ。くっだらねぇチンケなプライドでテメェーの命を無駄にするかねぇ。その点、テメェーは利口だぜ。素直に俺の手下に成ったのだからなぁ。だがよ、俺の盗賊団に入った限り、裏切りは許さねぇぞ。裏切った時点で、その場で、あの勇者さま(笑)のように消すからな」
お頭はリュウガを睨みながら言った。
「ああ、分かっているさ、俺はどんな事をしても生きたいからな。だから、俺はアイツを見捨てた。今後共、よろしくお願いします」
頭を素直に下げた。
「ああ、今後、俺の事はお頭と呼べ」
「分かりました」
リュウガはとりあえずこの盗賊団に寄生する事に決めたが、自分が生き残る為に、ヤバくなったら、命令を無視してでもトンズラをすると決めていた。
「さて、仕事の話に移るぜ。コイツらのやらかしで、一〇〇%で、ファーネリアとグランパニとで戦争が起こるな」
「だよねぇ〜?ファーネリアの連中は神聖王の事を邪神と言ったグランパニ公国を許せないでしょうねぇ~。お頭が言うようにファーネリアは一〇〇%戦争を仕掛けるよ~」
「ああ。そして戦場はおそらく、グランパニ公国だな。ファーネリアの連中は今回の事でブチ切れているだろうしな、ファーネリアの連中はグランパニの王侯貴族共を許さないだろう。侵略戦争だな」
「侵略戦争………?そこまで発展をするのか?」
半信半疑のリュウガが聴いてきた。
リュウガは、その程度でという感覚しかなかった。無宗教であるリュウガは宗教の恐ろしさを知らなかった。
「当たり前だ!テメェーは知らないだろうが、ファーネリアの奴らは神聖王を敬っている。俺達、盗賊団はファーネリアでは神聖王の関連したモノを盗むのを禁止しているぐらいだ。神聖王の関連したモノを盗むと、奴らは、目の色を変えて、たとえ本人が殺されようとも取り返そうとする。はっきり言えば、盗賊団としては厄介と言う他ない。それだけ、神聖王の信仰が根深いんだ」
「そして、お前らが、ファーネリアの王家と神聖王を殺すとファーネリアの奴らに言ったのだろう?ならば、奴らの怒りは頂点に達するな。お前らを公開処刑をし、お前らに命令を降した元凶のグランパニに対し侵略戦争を仕掛けるのは、ファーネリアから見れば極当たり前の行為だぞ」
「なっ!?」
リュウガは目を大きく見開き驚いていた。
神々神はここで退場です。神には、主人公や主要キャラクターたちに倒されるのではなく、同じ悪役に殺されるという最も最悪な形で退場して貰いました。これはシンが登場時から決めていた事でした。主人公の聖達に倒されるのではなく、どこかの悪役に殺させようと決めていました。でも、その前に聖にボコボコに半殺しにして貰おうとの構想はありましたのでああいう形になりました。
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