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グランパニの勇者達 13

 今回の緊急会議は、今の下位の貴族達では、全く話にならないとの結論が出ただけで緊急対策会議の意味をなさなかった。

 ただ他人ひとの足を引っ張り、谷底へ突き落とす事しか興味がないようだ。

 上位の貴族達は各領の自分達の領地でグランパニ公国との戦争の準備をしている真っ最中で王都にはほぼ居ない状態だった。


 会議が終わり、私、陛下、冢宰の3人は会議場に残り反省会をする。


「フレイムよ、今回の会議で不快な思いをさせてしまいすまない。これならば呼ばなければ良かったと反省をしておる」


「そうですね。まさか、下位の貴族達があそこまで無能だったとは思いも寄りませんでしたよ。出世を諦めたのでしょうか?普通なら、上位の貴族に気に入られようとするのですがね?」


 と、言っても、私は、もはや下位の貴族達の話にはなびかないがね。



「そうですね。しかし、はっきりと申しますと、フレイム卿は、一般王国民から貴族に成られて、さらに、5大貴族の火の貴族の当主で貴族階級も最上位の候爵にいきなり成られましたので、下位の貴族達にとってはそれが面白くないのでしょうね」


「ほう?余は、フレイムの実績を事前に公表をしたのだがな?」


 陛下が怒っている。


「陛下?お言葉を返すようですが、たった1人で、旧火と闇の貴族邸宅に侵入し、誰も気付かずに極秘資料を盗み出す芸当は不可能かと、下位の貴族達はそう思っておりますし、エルフ族の一件も本当に解決したのか?と、未だに怪しんでおります」


 冢宰はそう言った。貴族達は私が上げた功績を怪しんでいるのか。もしくは、嫉妬か。


「なるほどね?だが、全て私がやった事は事実だよ。ま、エルフ族の一件は、さすがに私一人では無理だったから私の仲間に手伝ってもらい、約束を破ったエルフ族の王族と兵士達全員を虐殺をしたわ。だから、エルフ族は大人しくなっただけさ」


「なっ!?虐殺!?フレイム卿はあの時にエルフ族を虐殺をしたのですか?ならば、何故…………いいえ、あの時、このコトを報告しても誰も信じないでしょう」


「その通りだよ。要は、あの時重要視したのはエルフ族との戦争を回避する事だった。だから、私は余計なトコを言わなかったのよ。ま、陛下には全て報告をしているがね」


「ウム、フレイムからは全て報告を受けている。そして、フレイムは全ての真実を余には語っている。中には他の者が知らなくても良い情報もある。エルフ族の虐殺も一つだ」


 私のやって来た事を陛下が承認する。


「では、エルフ族からもらったという金貨は?」


「もちろん、本物だよ。私が確保したエルフ族の女王から詫び代金としてもらったよ」


「そうでしたか。分かりました」


「ま、私の事を下に見ている下位の貴族達は、その態度を改めないといずれは自滅の道を辿るわね。そして、上位の貴族達も然りだわ」


「そうだな。()()()()()()()()()()()()()()()()()


「えっ?陛下?なにを仰って………?」


 冢宰は陛下の発言に疑問を持ったようだ。


「ウム……………イヤ、今の発言は聴かなかったコトにせよ。余の失言だ」


「はっ!」


 不満に思っても陛下から失言と言った以上の事は訊けない。陛下が話題を戻す。


「また、早朝から5大貴族と対策会議を行うしかなさそうだな。下位の貴族達では、自身の利益確保ばかりで話にならぬ」


「左様でございますね。出来るだけ早く開催が出来るように調整致します」


「ウム、頼んだ」


「はっ!」


 そして、その日から1日挟んでの早朝にまた陛下と冢宰を交えての5大貴族達による臨時緊急会議が行われた。


 全員が席に着くが、ウインド卿が居ない。


「ウインドが見えぬが?」


 陛下も気付き言った。それに答えたのは冢宰だった。


「はい、会議の前に言うつもりでした。ウインド卿は、今回の事件を起こした責任を取り、陛下の沙汰が降りるまで、門を閉じて謹慎をしているの事です。先ほど、使いの者からそう連絡を受けました」


「この戯けが!例の2人を逃がしたのは、外部達の犯行だろう!!その外部達を捕まえるのにウインドが率先して陣頭指揮を採らないとならぬというのにウインドはなにを勝手に謹慎をしている!!フレイムよ」


「はい」


「悪いのだが、ウインドを強制でここに連れて来てくれ」


「はい、畏まりました。では」


 転移魔法を使い、風の領のウインド卿の屋敷に行く。


「なっ!?む、無詠唱で転移魔法を!?」


「無詠唱で転移魔法を使える者を初めて見たぞ………」


「陛下はフレイム卿が無詠唱で転移魔法を使える事を知ってて?」


 驚く4人。


「無論だ!だからこそ、フレイムに頼んだのだ」


 そして、私はウインド卿を連れて戻った。当初、ウインド卿は行くのを拒んだが、私が陛下の命令と言うと、しぶしぶ従って連れて戻った。


「ウインド、陛下の命より只今参上致しました」


 ウインドは震えていた。


「ウム、では、席に着け、そして、会議を行う」


「えっ!?」


「どうした?さっさと席に着かぬか!!」


「い、いえ、わ、わたくしは、わたくしの領で、重要な犯罪者達を取り逃がしてしまい。その責任で、わたくしは謹慎を………」


「戯け者が!貴殿にその責任があるのならば、連絡を受けた時に即刻、貴殿に沙汰を行っているわ!」


「えっ?」


「それが、無いという事は貴殿に責任が無いという事だ。そして、貴殿の役割は、犯罪者達の追跡と貴殿が治めている領の領民達の安全の確保が重要課題だった筈だ!にもかかわらず、貴殿は勝手に謹慎をしよって、なに時間の無駄遣いをやっていたのだ?」


「も、申し訳ございませんぬぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」


 結局ウインド卿はその場で土下座をして謝罪をした。

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