グランパニの勇者達 6
クソ!やられた!長い時間を待たされていたのは、俺達の名前を知る為だったのか!?自分の名前は意識しなければ自然と本名を言ってしまっている。グランパニ公国のヤツらに俺達の書類の名前は本名を曝さない方が良いだろう。と、勝手に偽名を書いてあった。だが、俺達もそれに同意したから、このコトは、俺達のミスだ。
それにしても、何故、発行人の欄に名前を書かなかったんだ?やはり、俺達はヤツらの捨て石にされていたんだな。信用が無いから、こんなずさんな書類を渡したんだな。
でも、国外退去か?今回は命あっての物種だな。しかし、グランパニ公国には戻らない方が良いだろうな。このままどこか安全な国にトンズラをした方が利口だな。もう俺はグランパニ公国のヤツらを信用しない。
俺はこのまま素直に国外退去を受け入れるつもりだ。
「オイ、」
「オイ、行くぞ」と、神に声を掛けようとしたが、
「納得が出来ない!僕たちは、僕は、この国を救いに来た英雄なんだ!!」
突然、神はそう言い放った。オイ!ふざけんな!せっかく助かる命をなにわざわざドブに捨てる行為をするんだよ!!ここは地球ではないんだぞ!!常にバックに居る神々財閥は居ないんだぞ!!分かっているのか?
「オイ!止めろ!これ以上は言うな!言うんじゃねえ!!」
俺は慌てて神を止めるが、手遅れだった。
「へぇー?この国を救いに来た英雄?かなり面白い事を言うのですね?今のこの発言は私達は見逃す事は出来ませんね?」
女性はパチンと指を鳴らすと、兵士達が一斉に部屋になだれ込んで身動きが取れない。この状況下ではいくら俺達に膨大な魔力があっても意味がなさなかった。
「国外退去の前に洗いざらい全て喋ってもらいましょうか?場合よっては、国外退去では済まされませんよ?」
と、女性は真剣な声で言う。そして、俺達は兵士達によって拘束された。
「コノー馬鹿野郎が!!」
俺は神に向かって言った。せっかく助かる命を危険な目に遭わす事もないのに、本当に大馬鹿野郎だ。
俺達は拘束されたままそれぞれ取調室に連行された。
「さあ知っている事を全て吐け!!吐いて、問題がなければ、そのまま国外退去だが、場合よっては、更なる厳しい取り調べがあるぞ?黙秘をするのならば牢に入ってもらう事になるぞ?」
兵士にそう言われたが、王族や邪神を殺す計画だなんて、コイツらに向かって言えるかよ。これは黙秘だな。俺は黙秘をしたが…………結果的に無駄だった。神のヤツがペラペラと喋ったようだった。やっぱり、コイツは大馬鹿野郎だ。俺は自分が生き残る為に既に神を見捨てる覚悟が出来ていた。コイツと一緒ではもう俺の命が危ないからな。
○●○
「離せよ!僕は英雄になる男なんだぞ!!こんな事をして良いと思うなよ!!後で後悔するからな!!」
「なんだ?コイツは?さっきから何を言っているんだ???」
「自分の立場を解っているのか???」
と、兵士達は僕に対して無礼な事を言っている。僕は英雄なんだぞ!!邪神が掛けている洗脳が解ければ、この事を覚えるならば、この偉大なるこの僕に心から謝罪し洗脳が解けた事に歓喜の涙を流して感謝をするだろう。
取調室の椅子に無理やり座された。
「貴様らの目的はなんだ?」
「キミ達の解放だ!」
「はぁっ?解放だとう?」
「なに訳の分からないコトを言っているんだ!」
兵士達は僕の言葉を理解出来ずに惚けている。
「この国は邪神と王族に洗脳をされているんだ。だから、この僕。グランパニ公国の勇者であるこの僕が、この国の王と王族を倒して、そして、邪神をも倒して、この国の住民達をキミ達を邪神の洗脳から解放してあげるんだ!これが勇者である僕の使命だ!分かったか!だから、僕はこんな所でもたもたしている場合ではないんだ!一刻でも早く、キミ達の洗脳を解き放ってあげないといけないんだ!!」
と、僕は力説をした。これで、この人達も僕の言葉を分かってくれて、謝罪の言葉を述べながら解放してくれるのに違いないだろう。そうしたら、リュウガと旅の再開だ!!イヤ、もしかしたら、この人達が、謝罪として僕たちを首都まで送ってくれるかもしれない。
「ほう?そうかい?国王陛下とその御一家を殺す為に来たのか?で?試しに聞くが、邪神とはどの神様を差している言葉だ?」
兵士の声がやけに低い。コレは王や王族を倒してくれとの僕に対してのダイニングメッセージだろう。そして、邪神も倒してくれと。
「それは決まっている。キミ達が神聖お「グジャッ!!」
気付けば、僕は兵士に思いっきり、顔面を殴られていた。僕はそのまま壁に激しく激突し、鼻から血がドバドバと止めどなく出ていた。
な、何故、僕は殴られなければならないんだ?僕はこの国を解放する者なんだぞ!!感謝される事があっても、殴られる筋合いはない筈だ!!
「良く聞け!この妄想ヤローが!!俺達は誰一人として誰からにも洗脳もされていない!!しかも我々が崇めておられる神聖王様を邪神と言うとは、その場で万死に値する愚か者だ!!しかし、貴様らがグランパニ公国の勇者となれば話は別だ!厳重な牢に入れて、風の当主様に意見を仰いで頂かないとならないな」
「ああそうだな。貴様らが、グランパニ公国の王侯貴族達に何を言われてどう教育を受けてきたか知らんが、少なくとも貴様の方がグランパニ公国の連中に洗脳をされている事に気付かない愚か者の自称勇者だ!」
「貴様らにどんな重い刑罰が下るのかを楽しみにしていろ!!」
「これで取り調べは終わりだ!!」
「立てコラ!!さっさと歩けこの罪人が!!」
と、勇者であるこの僕を罵る。
そして、僕とリュウガは別々の牢屋に入れられたのだった。
クソ!どうして、僕がこんな目に遭わないといけないんだ!僕は神々財閥の御曹司でグランパニ公国の勇者、神々神だぞ!!
更に病む神々神。この後、どうなるでしょうか?
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