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グランパニの勇者達 4 ~陛下達に報告~

 サトルの報告を受けた私はすぐさま宮殿の陛下達の私室まで転移した。それだけ、急を要する内容だからだ。


 ノックをした。


『どなた?』


 扉の向こう側から王妃様の声が聞こえた。


「聖です。急な要件で来ました」


『どうぞ、お入り下さい』


「失礼します」


 部屋には陛下も居たので丁度良かった。


「して、急な要件とは?」


「はい」


 挨拶もそこそこに私はサトルが持ってきた情報を陛下達に報告した。


「な、なんと?それはまことか!?い、イヤ、聖殿が持ってきた情報だ。ウソではあるまいが…………」


「ええ…………たまたまサトルが出くわした2人の輩が陛下の暗殺を企てていたなんて………偶然でも有り得ない事ですわ…………さすが、神聖王様のご子息という事でしょうか?」


 2人共、私が持ってきた情報に動揺をしていた。


「でしょうね?普通ならば信じられませんよね?でも、偶然にもサトルは出くわしてしまったのですよ。そして、コレがサトルが描いた下手人達の似顔絵です。1人は名前が発覚しています」


 と、2人に下手人達の似顔絵を渡す。


「この者達か?」


「そのようです。似顔絵の服装は旅人の服装ですから、余程の同じ道のプロではない限り暗殺者達とは分かりません。そして、歩いてこの王都に向かっているようですから、普通ならば怪しまないでしょうね?」


「確かに、若くとも男の2人旅はなんら不自然ではないからな。余程の事が無い限りこの2人を怪しむ事はないだろう。しかし、私の暗殺を企てるとはな。冢宰を呼べ!!」


 と、陛下は近くの執事に冢宰を呼ぶよう指示を出した。


 しばらくして、冢宰がやってきた。


「失礼致します陛下。なっ!?フレイム卿がここに?今日は登城する予定ではなかった筈ですが?しかも、私服ですか?」


 私が陛下達の私室に居る事に驚いているようだ。


「まあね。でも、緊急を要する案件の為にやってきたのよ」


「そう言うことだ。だから、お前を呼んだのだ」


「緊急の案件ですか?」


 私は再び、冢宰に説明をした。


「なっ!?た、確かにコレが本当の話ならば、とんでもない一大事ですよ!!」


 冢宰は顔を真っ青になって言う。


「だからこそ、フレイムは直接、余の所に来たのだ」


「そうですね。分かりました。至急に下手人達の似顔絵を風の領の当主及び関所関係者に配布します」


「ウム、捕まえたら、情報を引き出した後に暗殺者達を国外追放にせよ」


「国外追放?それでよろしいのですか?」


 冢宰は驚きの顔で陛下に訪ねる。普通ならば処刑だが。


「ああ。どうせ、暗殺者達は国に帰っても失敗の責任を取らされて処刑されるだろう。そして、逃亡すれば他の者達に命を狙われるだろう。これは慈悲でもなんでもない。暗殺者達は自分らの運命を自らで決める事だけだ」


 陛下はそう説明をした。


「おそれながら、フレイム卿の説明によれば暗殺者達は神聖王様を邪神と言っているようですが?それは、我々信徒としても赦しがたい暴言ですが?」


「ウム、余もお前と同じ想いだ。しかしな、その暴言を吐いた輩共は国内に居るだけで余は不快だ。そのような不快な輩共をわざわざ余らが処刑をするまでもない。暗殺の依頼を引き受けた時点で、暗殺者達は案命の死は訪れる事は無いのだ。我らの主神である神聖王様に暴言を吐く輩共は一瞬の安らかな死よりも長い苦しみを与えた死の方が暴言を吐いた者達にはよりふさわしい」


 陛下も残酷だ。しかし、その方が良いと私も思う。


「良いんじゃあないですか。暗殺者達には惨めな死を与えた方が良いかと思いますよ」


「フレイム卿も賛成意見なのですね?私の個人的な意見としては、暗殺者達をひっ捕らえて、王国中に引き回して数週間晒してから公開処刑をしたいと」


 この説明だけでも冢宰はかなり激高している事が分かるが………でもね。このような刑罰を行うだけでも莫大な金を投資する事になる。はっきり言って金の無駄遣いだ。


「その暗殺者達にどれだけの金を使うのですか?憎いのは痛いほど分かりますが、そんな暗殺者達の為に王国民の血税を使うなんてばかげていますよ。だったらその税金を恵まれない王国民達に何かしらの施しに使った方が感謝されますよ」


「ウム、フレイムの言う通りだ。だが、それだけ、お前が余と神聖王様に忠義立てている事には感謝する」


「はっ、ありがたき幸せでございます」


 冢宰は陛下に頭を下げた。この人は陛下に忠誠を誓っている。どんな事が起きようともけして陛下を裏切らない。陛下は良い臣下を持ったわ。


「では、私は各方面に指示を出します。そして、風の当主様にも穏便に国外追放にするように伝えておきますが、暗殺者達が激しく抵抗した時はその場で殺してもよろしいですね?」


「ウム、暗殺者達よりも、王国民達の命の方が大事だ。構わぬ許す」


「はっ!そのように伝えておきます」


 冢宰は部屋を退出した。


「さて、暗殺者達はどうでるかで、いろいろと状況が変わって来ますね?」


 状況によっては国外追放が出来ない場合もあるかもしれない。


「ウム、どこの国の暗殺者達か判らぬが、最悪はその国と戦争をしなければならぬな。だが、戦争は良いことはない。勝っても負けても双方が不幸になる」


「なるほど、陛下は最小限に穏便に済まそうとしている訳ですね?だからこそ、暗殺者達の国外追放を命じた訳ですか」


 陛下の意図が分かった。陛下の本音はどこの国とも戦争はしたくはないようだ。その考えは当たり前の事だ。戦争をすればより多くの死ななくても良い命が失われるからだ。その後の国内生産や経済にもかなりの影響を及ぼす。


「ウム、そうだ。神聖王様には悪いが…………」


 陛下は私に対して申し訳ない表情で謝罪した。


「ああ、大丈夫ですよ。その気なら、父さんは、ソイツらを生きたまま地獄送りにしますからね。陛下が謝罪する事はありませんよ。それに死んだら地獄送りは確定でしょうね。中立の立場である閻魔大王もソイツらを赦さないでしょうね」


 閻魔大王も父さんの部下だからね。


「なるほど。そうか。聖殿がそう言うのであれば」


「はい。では、私も失礼致します。イスレイくんの所に顔を出してから帰りますので」


「ウム」


「お疲れ様でした」


 私はイスレイくんと遊んでから、寮に帰って行った。

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