勇者としての訓練 7
会議が終わり、私達は別部屋に移動した。
「で?私達に話とは?」
「はい。率直にお聞きしますわ。王女様は今の勇者様とご婚礼をするのでしょうか?」
「ええ、そうですね。わたくしは更夜さんと結婚を致しますわ」
光帝の問いにクレアははっきりと答えた。
「しかしながら、勇者様は人間ではないのですか?王女様は神様とご婚礼すると言っていなかったのではないのですか?」
そう反論した。
「そうですね。確かに貴族達の前でそう言いましたよ。だからこそ、更夜さん自身が神様なのですよ」
「は?」
クレアの発言に光帝が困惑する。まあ、いきなりそんな事を言われたら、言われた方は頭が混乱するわ。
「ですから、更夜さんは神様なのですよと言いましたよ」
「か、神様!?勇者様が…………?」
「そうです」
「ま、勇者が死んだら、神様になると、主神・神聖王が直接言われたからね。だからこそ、今の勇者更夜は人間でもあり神様でもあるのよ。だから、クレアは貴族達との約束は守っているのよ」
「えっ!?神聖王様自ら?というより、貴女は神聖王様にお会いが出来るの?」
「そうよ。ほら、何ヶ月か前に教会に降臨したと」
「ええ。確かにありましたわね」
「その時に偶然、教会まで道案内をしてね。それ以来、たまに私の所に来るようになったのよ」
「は?………えっ!?………ええーーーーーーーーーーーっ!!」
と、大声を上げた。
「本当の話ですよ。わたくしや陛下も聖の所で神聖王様にお会いしていますので」
と、クレアがフォローを入れた。
「と、とんでもないと思っていましたが…………私の想像以上にぶっ飛んでいます。まさか、神聖王様とお知り合いもとんでもないないのに、来るなんて…………どう言葉に表したら良いのか分かりません」
光帝が惚けていた。
「今は主神・神聖王の事はどうでも良いわ。とにかく、そう言ったという事が重要なのよ」
「イヤ、しかし、神聖王様ですよ?勇者様も凄いですが、神聖王様の方がかなり重要よ。貴女の所に来るなら、貴女は教会にしたら、聖女と同等以上な存在だわ」
「聖女?聖女って居るの?」
私はクレアに訊ねる。
「居るわよ。ただ、今は王国の各地域を巡回している最中よ。聖女としての修行みたいなのよ。もう何年も王都から出て行ったきりなのよ」
「へぇーそうなんだ?聖女も大変だな」
という感想しか持ち合わせていない。
「そうね。聖女に成るもの大変なのよ」
「王女様も創帝も何人事のような事を話しているのですか?」
「イヤ、だってね?人事には変わりはないしね?」
「そうですね。聖女に成りたいという女性が聖女の修行をしているのですからね。わたくし達はその面識もない女性に対して何も出来ないのが事実ですよ。光帝は何かその女性に対して何かやっているのですか?」
「貴族として支援はしております」
「そうですか。としか言えませんが、とにかく、更夜さんの話に戻りますが、神聖王様がお認めになっておりますので、わたくしとの結婚は出来ます。そして、その事は、わたくし達の結婚式で公表する予定です。そして、わたくしの素顔も公表します」
「王女様の素顔もですか?創帝は王女様の素顔を御拝見をされた事は?」
「もちろん、あるわよ。素顔は美人だよ。噂では、醜いとか言われているようだけどね。ま、そういう噂は流しておけば良いのさ」
「えっ!?ど、どうして?そんな噂は打ち消した方が王女様の為ではないの?ですよね?王女様」
「いいえ、このままの方がわたくしにとっても都合が良いです。ほら、わたくしに言い寄って来る方も少なくて済みますし、そんな噂を信じている輩達は王家に対して忠誠心が欠如している証拠ですよ。政治などは顔でやっている訳ではありませんよ」
「それに素顔を見せたときにどう思うか?」
「あっ!?違った意味で絶望をしたり悔やみますね」
「そういう事ですよ。ですから、そんなくだらない噂はそのまま流しておけば良いのです」
「わ、分かりました。私の用件は済みましたので、これで失礼します」
「光帝」
「はい」
「ここでの話は他の人達には話さないように。もし、誰かに話したりすれば、貴女を追放か最悪は死罪にしないといけなくなりますので。それだけ、ここでの話は、重要かつ機密が高い内容ですからね?特に神聖王様に関しての話は」
と、クレアが光帝に釘を刺した。
「はい。承知しておりますわ。王女様との約束を違えた場合は私の首を差し上げてお詫び致しますわ」
と、光帝が躊躇いもなく言った。それは、絶対に口外しないと言っているのも同じだ。
「分かりました。その言葉を信じます」
「もちろんですわ。では、失礼致しますわ」
光帝は私達に頭を下げてから退出した。私達も退出する。そして、皆が待っているクレアの控え室に行く。
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