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勇者としての訓練 2

 俺は闘技場に行く前に更衣室で服を着替えた。今、着ていたのはマント付きのいかにも【俺が勇者です】という派手な服装だった。『この服装だと動きにくいだろう?』とお姉ぇに言われて、俺は、学園指定の運動着に着替えた。俺としても、こちらの方が良い。実はあの格好はとても恥ずかしい。


 着替え終わった俺は、闘技場に向かう。


「では、早速ですが模擬戦を行います。まずは、火帝とです。審判役は炎帝にお願いします」


「分かりました」


 と、リリカさんが答えた。

 リリカさんとファルコンさんは、お姉ぇの両親だが、俺達姉弟は、違うから、そう呼ぶ事にしていたが、リリカさんは『私達の事はママやパパと呼んでも良いのよ』と、言ってくれているが、どうも、パパママは恥ずかしくて呼びづらいな。やはり、父さん、母さんの呼び方が馴れている。姉貴も俺と同じだと言っていた。お姉ぇからは、『まあ、これも馴れだ。お前達も2人にパパとママと言ってやれば、2人は喜ぶよ。それと私もだよ』と、言っていた。それを聞いて、俺達は、近いうちにファルコンさんとリリカさんの事をパパとママと呼ぼうと思っている。


 そして、俺達は闘技場の武舞台に上がり、リリカさんからルールを聞く。


「2人共良い?ルールは、どっちかが、降参を宣言をするまで、模擬戦は続けますが、審判役の私が見て戦闘不能と判断した場合は模擬戦は終わりにします。分かった?」


『はい!』


 返事を返した。ようは、朝練と同じだ。朝練も同じルールでやっている。だから、審判役がリリカさんなんだと理解した。


「では、お互いに礼!」


『宜しくお願いします』


 と、朝練の模擬戦と同じように挨拶をして間合いを取った。


 ちなみにお互いに礼は、お姉ぇが持ち込んだ挨拶で、リリカさんが、『模擬戦の始めや終わりの挨拶には良いわね』と言って採用したようだ。


「はじめ!!」


 リリカさんの号令で模擬戦の一回戦が始まった。


 先手必勝だ!


 俺はマリア姉ぇに向けて攻撃魔法を繰り出した。


「甘いわよ!」


 マリア姉ぇは炎の壁を自身の前に作り出し俺の魔法を防いだ。


 その光景を見た事情を知らない3人の帝達は、


『なっ!?』


「む、無詠唱!?」


「勇者様は既に無詠唱で魔法を放てるのか?」


「た、確か勇者様はまだ未成年………いいえ、中等部に行っている年齢だった筈でしょう?信じられないわ」


「異世界人は皆こうなのか?やはり、異世界人は俺達よりも強いのか?」


 と、驚いていた。


「いいえ、勇者様が無詠唱で魔法を撃てるのは、火の当主が鍛えたからですよ。それに勇者様の才能があったからです。火の当主の話によれば、当初は魔法のまの字も知らなかったようです。しかし、魔法の原理を教えると、もの凄い知識の吸収力で魔法の原理を理解し、一週間程で無詠唱で魔法が放てるようになったと」


『なっ!?』


 これは本当の話だ。この世界の魔法を使えるように朝練や自主トレをやった結果、無詠唱で初級と中級の魔法が撃てるようになった。


「しかしですね…………」


 リングに目を向ける。


「えっ?」


「火帝の方が圧倒している!?」


「どういう事だ?」


 俺はマリア姉ぇに何度も攻撃魔法で攻撃を試みたが、マリア姉ぇには通用していなかった。逆に反撃を受けて、防戦一方だった。昨日、マリア姉ぇは、『私にはやり方次第で私に勝てる可能性がある』と言っていたが、どうやら、俺はその闘い方のやり方を間違えてしまったようだ。

 悔やんでも仕方が無いな。このままマリア姉ぇと闘い続けたが………。


「そこまで!!これ以上続けても無理よ」


 と、リリカさんに止められた。


 マリア姉ぇに負けてしまった。武舞台の中央に戻って、


「お互いに礼!」


『ありがとうございました!!』


 と、言って武舞台を降りた。


「2人共、お疲れ様でした。勇者様には控え室で休憩をしてもらいます。空帝と炎帝も付き合ってください」


『分かりました』


 俺達は控え室に向かった。部屋に入ると、すぐさまお姉ぇの空間で休んだ。


 一方で。


「オイ!火帝?何故、勇者様に勝ちを譲らなかった?」


 と、雷帝がマリアに聞いて来た。


「はぁ?何を言っているの?これは模擬戦よ。勝ち負けは関係ないわよ。それにわざと勝ちを譲ってなんの意味があるの?負けた方が、攻撃で何がダメだったのかをもっと見直せるわよ」


「火帝の言う通りだよ。勇者は召喚されてまだ間もない。闘い方もまだままならないでしょうね?今は、勝ちを譲るよりも、私達とぶつかり合い、勝とうが負けようが、勇者の闘い方の良い所や悪い所を指摘する方が程勇者の為になるよ。それに今回の模擬戦で私達が勇者にわざと勝ちを譲れば、有頂天になり、俺はこのままでもTSUEEEEーーーーー!!と、勘違いをして、前の全帝と同じようになる可能性だってあるのだからね?」


「うっ!?た、確かにそれは困るな………」


 雷帝他の帝も同じ思いのようだ。


「でしょう?だから、私達帝が勇者をしっかりと鍛えて上げるのよ」


「だが、もしもだ。仮に勇者が鍛えるのを止めてしまったら、どうするんだ?誰の責任になるんだ?」


「それは、勇者自身でしょう」


『なっ!?』


「別に驚く必要はないわよ。まだ、陛下から正式に勇者を任されてはいないけど、その途中で放棄した場合は勇者の責任になるでしょう。それに任命する前ならば、鍛えていたが、勇者の器ではなかったと公表すれば良い事だしね?しかしね?勇者も勇者として召喚された事は理解していると思うわ。途中で解任されたら、勇者は、ただの一般王国民と同じ扱いになってしまうからね」


『あっ!?』と、複数人が声を上げた。

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