ただいま~
俺、聖は、神界から次元の扉を使い、自分が居る世界に戻った。
「ただいま~」
俺は自分の部屋のリビングに出た。イメージは完璧だな。
けど、マリアがいなかった。時刻は22時を回っていたから、俺達の部屋か?
俺達の部屋に行くと………マリアが、俺の下着を物色していた。
なあ?なに、お約束通りの事をやっているんだ?
「相変わらず、大きなブラだわ~私もこんな胸になりたいわ~」
「なれるように努力すれば良いでしょう?」
と、俺はマリアに声をかける。
「…………」
マリアの体が止まり、震え出す。そして、
「お姉ちゃん!お帰りなさい!私、心配していたんだよ!」
マリアは即座に駆け寄り俺に抱き付いた。
マリアは俺の下着の物色は無かった事にしたいらしいが、そうはいかないぞ。
「うん、ただいま。俺の下着を物色していたのは何?物色は俺が帰ってこなかった時にやるのではなかったの?」
冷たい声で言う。
「うっ、ごめんなさい………お姉ちゃんの下着を改めて見たかったの………」
「あのな?マリアは俺の裸を隅々まで見ているでしょう?なのに?」
「本当にごめんなさい………」
俺に怒られてマリアはしょんぼりとしていたから。
「まあいいよ。マリアには、世話になっているし、これらも、一緒に暮らしていくのだからさ」
俺が折れた。まあ、俺も本気でマリアを叱るつもりはない。どうせ、全て見ているのだから。だが、物色だけは辞めて欲しいな。
「ありがとう。お姉ちゃん?ご飯は食べたの?」
「ああ、神界で食べたよ。そんなに旨くなかったが」
「そうなんだ?」
「ええ、マリアはお風呂は入ったの?」
「うん、入ったよ。お姉ちゃんはまだなの?」
「ああ、これから入る予定だ」
「じゃあ、私も入るよ。神界の事を教えて?」
「分かったよ………」
「?」
俺の言葉に不審に思ったのか、マリアは首を傾げている。まあ、俺の話を聞いて、マリアがどう思うのかは、マリア次第だ。
俺達は、空間の風呂に入った。
「で?お姉ちゃんの体は治ったのでしょう?」
「ああ、治ったよ………」
「どうしたの?神界で何かあったの?さっきから変だよ?体は治ったのでしょう?」
「ああ………実はさ……俺は神だったんだよ………」
「………えっ?お、お姉ちゃんが神様だったの?」
マリアが驚いている声をあげた。俺は未だに目を閉じていた。まだ、見られない。
「そうなんだ。俺の体を治してくれたのはさ。父だったんだよ」
「そうだったんだ?でも、体が治って良かったわね?」
「ありがとう。………って?他に何かないの?」
「えっ?なにかって?」
「い、イヤ、思っていたよりもモノすごーく反応が薄いというか?なんていうかさ?」
「だって、お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだもん。最初は驚いたけどさ、お姉ちゃんなら何故かありえそうだからさ」
「そ、そうですか。まあ、かしこまるよりかは良いか?」
「そうだよ。お姉ちゃんが神様だって言っても変わらないのでしょう?」
「ああ、俺は俺だよ。マリアのお姉ちゃんだ」
「うん」
俺達は風呂場から出て、部屋に戻り、ベッドに入る。
「マリア、明日の朝練でパパ達に言うよ」
「そうだね。その方が良いわね。おやすみなさい、お姉ちゃん」
「ん。おやすみ、マリア」
俺達は寝た。
~次の日~
重みを感じて目を覚ますと、マリアが覆い被さっていた。
全く、仕方ないな?
「マリア?朝だよ?」
優しく声をかけると。
「んー?あっこんな所にお饅頭があるわ。いただきます~」
と、マリアは寝ぼけているのか、俺の胸に齧り付く。
「ま、マリア!?」
「(あれ?このお饅頭、食べれないな?)」
ガジガジッとマリアは俺の胸を食べていた。
「い、痛っ。あれ?痛くない?えっ?あれ?」
此処で目覚まし時計が鳴り目が覚めた。
夢か?それにしてもリアルな夢だったな?ま、この世界に饅頭は無いからな?隣りに居るマリアを見た。
マリアは目覚めようとしていた。
「マリア?朝だよ?」
と、言って、夢の事があるので少し身構える。
「んー…………あっ!おはよーお姉ちゃん」
何もしてこなかったので、ホッとし。
「おはよう、マリア。さあ、着替えて、準備をして空間に行こうか?」
「うん!」
俺達は空間に入り、別の空間に居るパパを呼んでもらった。
「なんだ?大事な話とは?」
「うん。実は………」
昨日の出来事を話す。
「えっ?聖は神様だったの?」
「転生者ではなかったのか?」
予想通りに3人が驚いていた。
「ああ、俺自身も驚いたよ。でも、言ったように俺はまだ人間だからさ」
「そうか」
「でも、いつものように普通に接しても良いのね?」
「そうしてくれた方が良いよ。かしこまると俺が困るし、完全に他人になってしまうよ」
「そうよね?分かったわ」
「で?聖は、自分が神様だと、世間に公表するのか?」
「しないよ。それにしても意味が無いよ。コレは家族だけの秘密にして貰いたい」
「そうか。分かった」
「それに公表しても、周りからバカにされるだけでしょう?」
「そうでも無いぞ。聖の魔力は桁が違うからな。お前が神だと言って、魔力を最大限に高めれば、周りが納得するぞ?」
「そうかもね?」
「やらないよ。俺は人間として暮らして行きたいから、ここに戻って来たんだ。もし、神として生きるのなら、昨晩の内にあなた達にお別れを言って、今頃は神界にいるよ」
「そうか……すまん悪かった」
パパが謝った。
「私、お姉ちゃんと別れたくはないわ。せっかく私のお姉ちゃんになってくれて、それで別れるのは辛いわ」
「マリア、大丈夫だよ。俺はどこにも行かないよ。俺は、ここで、この世界で、人間して暮らして行くと決めたからな」
マリアは頭をなでる。
「うん!」
マリアは俺に抱き付いた。
「お姉ちゃん、大好き」
「俺もだよ。マリア」




