新学期 4
1時間目は魔法の時間だ。日本の学校で言えば体育館のような場所に移動して、教師が、
「今日は1対1の対戦方式だ。各自、くじを引いて対戦相手を決める」
そう言った。そして、男女別々でくじを引いた。
「更夜?あんたは対戦は出来ないわよ」
「なんでだ?」
「あんたね。昨日やらかしたでしょう?あんたと当たる対戦相手は絶対棄権するわよ?」
呆れるようにあたしは言うと、
「あっ!?」
と、言って思い出したようだ。そして、あたしが言った通りに更夜と当たった対戦相手は、早々に棄権を宣言し、それを教師も認めた。このクラスでは更夜に勝てる人はあたし以外居ない。
そして、あたしの出番が回って来た。
あたしの対戦相手は女子生徒だ。その女子生徒はニヤニヤとしていた。いや、他の女子生徒達も同様にクスクスと笑っていた。
それであたしは察した。昨日、あたしは授業で魔法を使っていない、あたしは剣術で教師と対戦しただけだ。それで、女子生徒達は、あたしが剣術だけで魔法を使えないと思い込んでいる。それならば、見せてあげるわ。あたしの魔法をね!!
お互いに対峙し、教師が、「始め!」と号令を掛けると同時に無詠唱で思いきり魔法を女子生徒の横顔を通り過ぎるようにぶちかました。
通り過ぎた魔法が壁にぶつかり大爆発を起こした。
その威力に対戦相手の女子生徒は何が起きたか理解出来ずに放心状態に陥っている。
審判役の教師はまたもや昨日の更夜と同様に目を大きく見開いてあたしと壁を交互に見ていた。
見ていたクラスメイトは唖然として言葉を失っている。
「(なるほどな?)」
更夜だけはニヤリと笑っている。どうやら、あたしの考えが解ったようだわ。
「あーっ!ごめん、ごめん。あたし、まだ魔法の制御が出来なくてね?今度はちゃんと当ててあげるから許してね?」
あたしはわざとらしく言うと、漸く理解が出来た女子生徒が座り込み、ガタガタと震え出した。
「あっれれれー?どうしたのー?こんなにも震えてさー?」
あたしはにこやかな表情をして、相手に近付く。女子生徒は後ずさりしながら、
「い、イヤー!こ、来ないでよ!!ぎ、ギブ、ギブアップよー!!ご、ごめんなさい!!ごめんなさい!!!!!」
そう言いながら泣き出した。そして、リング外で見ている女子生徒達の方を見れば、身を寄せ合って怯えていた。
このあたしを見くびった報いだわ。
これ以上やれば、たんなる弱いものイジメになるから止めておいた。
教師が、「勇者の姉の方も無詠唱で魔法が撃てるのか…………既に、賢者レベルだ………」と、呟いていた。
それ以降、女子生徒達は、あたしに対して何もしてこなくなり、逆にあたしを見て避けて怯えるようになった。ま、こいつらの事だ、影でなにかコソコソとやるかもしれないが、しっぺ返しが倍以上になって返って来る事を忘れているようだ。
そして、更夜の所にも必要以上に来なくなった。ただ遠巻きで見ているだけになった。しかし、更夜親衛隊クラブはまだ継続しているようだ。
ま、あたしにちょっかいを出してきた連中と今から仲良くなれというのはさすがに無理があるわね。
授業が終わり、寮に帰り、夕食の時間にその事をお姉ぇ達に話した。
「やはり、そうなりましたか?だけど、より圧倒的な力で抑え込んだと」
「ま、個人が団体を黙らせるのなら、それしかないわ」
「そうですね」
あたし達の話にお姉ぇ達が納得していた。
「だがな、もうこれ以上やるなよ?中等部の教師達が、お前らのレベルは既に中等部のレベルを超えているから、飛び級で今から高等部に転入させた方が良いとの話題がもちきりだぞ」
と、ステラ先生が教えてくれた。
「それなら、聖達なんか大学部ですが?」
と、エリサさんが言う。
「そうだな。しかしな。受け持っているのはこの私だ。私はお前らの事情は良く知っている。だが、舞達の教師はその事情を知らないから、騒いでいるんだよ。その差だよ」
「なるほど、そうですね」
と、納得していた。
「けどあたし達は飛び級はしたくはないわよ。魔法や剣術はそうかもしれないけど、学力面はお姉ぇと違ってそうではないからね」
「そうだな。俺も中等部での学習をしっかりと学びたい」
あたし達はそう要望を先生に言った。
「そうか。ならば朝練の時にジェーンに言えば良い。ジェーンが学園長に言う」
そう言ってくれた。そうだよね。朝練でジェーン先生に会えるからあたし達が直接話した方が良いわね。
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