去った後の話6~ガブリエル、困惑する。そして~
「2人共、聖さんの動画を観ましたよね?」
「うん、観たよ」
「でもさ、兄貴が居るのは異世界だよね?」
「そうですよ。異世界ですよ。聖さんはあなた達はここで人間として精一杯生きるようにと言ったのですよ?」
「知っているよ。しかし、異世界という事は。召喚が、勇者召喚があるよね?」
「そうだよね?あるよね?」
「はぁ?」
あなた達は、何を言っているの?勇者召喚って?
「だってさ?必ずあるよね?勇者召喚は」
「絶対にあるわ。そして、あたし達が、その魔法陣を乗っ取れば」
「兄貴の所に行けるよな!!」
「イヤ、なに盛り上がっているのですか?その聖さんの世界で、その国で、勇者召喚があるなんて、そんな都合が良い事なんてないですが?」
私はそう言い説得するが。
「大丈夫だって、こういうのは、ちゃんとあるわ!」
「そうそう。こういうのはフラグがしっかりと立つって、必ず」
この2人、勝手な事を言いますね?
「それにさ、あたし、魔力っていうの?それに目覚めているんだよね」
「姉貴もか?実はオレもだ。なんか、普段と違った力が湧き上がっているんだよな?」
「あたしもそんな感じだわ」
「はぁ?そんな?そんなご都合主義みたいな………あっ…………本当だわ…………2人に魔力を感じますね…………マジですか?信じられませんよ?神聖王様の封印が解けているなんて………」
私は頭の抱えた。私はどうしたらいいの?
~次の日~
朝食の準備中に。
「助けてーがぶり姉ぇ!あたし、宙に浮いているわ!どうしたらいいの?」
と、2階の舞さんの部屋から叫び声がした。
行ってみると、舞さんが本当に宙に浮いていた。なんで魔力が目覚めたばかりなのに宙に浮いているの?訳が分からないわ。
「気を静めるように。足から降りるイメージをして精神集中して下さい」
そう、アドバイスをした。
「わ、判ったわ」
舞さんは言われたように足から降りた。
「舞さん?なんで、朝から浮いたのですか?」
「分からないわよ。起きてから、ただ、空を自由に飛びたいな?と思ったら、勝手に体が浮いたのよ」
「それですね?魔力が勝手に反応したのですね?」
「そうなの?」
「がぶり姉ぇー!!オレの炎から手が出ているー!!」
今度は更夜さんの叫び声。相当焦っているようですね?
私達は更夜さんの部屋に行くと、確かに手から炎が出ていますね?更夜さんも、炎のイメージした為に、魔力が反応してたのでしょうね?
「更夜、なによ?炎から手が出ているって?反対でしょう?」
「いいから!助けてくれよ!!家が火事になる!!」
更夜さんはパニック状態だった。
「落ち着いて下さい。炎を消すようにイメージをして下さい」
「わ、判った」
更夜さんは集中し、炎を消す事が出来た。
「あー。助かった~」
更夜さんは力尽きたようにその場に座り込んだ。
魔力が目覚めただけで、もう朝から大騒ぎだった。
朝食の時に。
「2人共、今日からしばらくは学校は休んでください。この状態ではいつ魔法が発動するのか分かりません」
「確かにね?あたしもいつ魔法が発動するか分からないわ」
更夜さんも頷いた。
「でしょう?それに、魔力をしっかりと制御しないと、あなた達は世間から珍獣として見られてしまいますよ」
「珍獣………」
「ヤだなそれは?」
2人はイヤな顔している。
「今の世の中はネットが発展しています。誰もが、カメラで撮影が出来て、世の中に発信が出来てしまいますよ。一度、発信してしまいますと、天使である私でも完璧に消すのは無理です」
データをコピーをされると無理。神聖王様が対応しないといけないレベルになる。
「そうだよね?」
「で?がぶり姉ぇ?オレ達はどうすればいい?」
「そうですね?まずは、神聖王様、お父様に再度魔力を封印するしかありませんね?ここは魔法を使うというのはありませんから。それにあなた達がここで安心して暮らして行くなら、それが一番良いでしょう?」
私はあくまで地球で今後も住む前提で言うが、2人は違っていた。
「えっ?お兄ぃの世界に行くのではないの?」
「そうだよ。がぶり姉ぇ?兄貴の世界に行って、一緒に暮らすのではなかったのか?」
「はい?いつ、そのような話に?」
私は全く聞いていないですが?
「あたし達が魔力が目覚めた時からだよ?」
「そうそう、魔力に目覚めたからには、もうここでは暮らせないだろう?なら、魔法が使える兄貴の世界に行けばいいし、魔法の使い方はがぶり姉ぇが教えてくれた方が良いだろう?」
「なんでそのような結論になったのですか?」
「がぶり姉ぇはお兄ぃの世界に行きたくないの?会いたくないの?それに、あたし達はもうこの地球では暮らしていくのは無理よ?魔力が目覚めたから、それに仮に父さんに魔力を封印されても、ここでの暮らしには未練はないわ。あたし達は、お兄ぃの世界に行って自分の可能性を高めたいのよ。まあ、剣道で三年連続中学生日本一と大会三連覇はしたかったけど、あたしが神と解った以上は出ない方が良いわ。どう考えても反則でしょう?」
確かに、舞さんの体は人間ですが、魔力に目覚めた状態なら更に敵なしになりますね?
「オレも同じかな?野球は団体競技だけどさ。能力がずば抜けた奴が1人居るだけでガラリとチームが変わるんだ。オレは今はレギュラーだが、オレよりも上手い奴が居るし、将来的に全国区に成れる奴も居るかも知れない。オレが神と解った時点で、既に反則だからな。それにオレは手を抜きたくないからさ。神とバレる可能性はないけど、なんらかの疑惑を持つ奴も出てくる可能性もある。そうなったら、詰まらないじゃん」
「なるほど、舞さん達はそこまで、考えていたのですか?」
「そうだよ。あたし達は部活も辞めるわ。お兄ぃが亡くなって、やる気力が無くなったと言えば良いわ」
「そうだな?そう言えば、周りは納得するな。それに新学期が始まったばかりだしな?」
「そうですね?分かりましたが、聖さんの国が、勇者召喚を行わなかった場合はどうするのです?」
舞さん達が話しているのは、勇者召喚を行う前提条件で話している。行わなかった場合の話は含まれていなかった。
「「うっ!?」」
やはり、考えていなかったのですか?
「仕方ありませんね?私が情報を収集しますよ。私はあなた達の護衛ですからね?」
私が折れるしかなかった。2人の意志は強い、私が無理やり、2人を抑えつけても無駄ですね。それをやってしまうと、今まで築いた私達の関係が昔のようにに戻ってしまうのは辛いわ。
「「ありがとう、がぶり姉ぇ」」
「いいえ」
これにより私の仕事が更に増える事となったが、私の本音は勿論、聖さんに会いたいに決まっていますよ。私が大切に育てた娘ですからね。
とりあえず、地球の話はこれで一旦終わりです。
ガブリエル達の出番はしばらくはあまりありません(予定)。
次からは主人公(聖)中心の話に戻ります。
※この神界からの話は何回書いても楽しかったです。
※この話は聖が一時的に帰って来たバージョンもありますが、このサイトで書くかは未定です。




