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会議 1

 突然だが、今、私は、宮殿の陛下達の部屋に居る。


「ハァー」


 と、私は何度目かのため息を出した。


「まあ、聖がため息をつくのは分からないでもないわ」


「そうだな」


 と、クレアと陛下が私に同情してくれた。

 何故、こんなにため息を吐くかというと、勇者の問題だ。

 異世界から召喚された勇者のお世話を何故新参者の私がやっているのか?というクレームが4大貴族から上がった。おそらく、他の貴族達からのクレームを4大貴族が代表して陛下に訴えた形になったと思う。

 異世界の勇者のお世話をするのは、貴族達にとってより家の箔が付くと思っているようだ。


「私達は内情を知っているから、身内である聖を指名したのだけどね?それが貴族達には気に入らなかったようなのよ」


「もう一度、陛下の鶴の一声でなんとかなりませんかね?そんな事で、会議を行うなんて時間の無駄ですよ」


「すまぬな。私がいくら言っても貴族達は納得しないのだ。私もこの会議は無駄だと思っているが、聖殿がどうして、更夜を引き取ったのかを聖殿自ら説明をしないとならぬようでな」


「ハァー。本当、面倒くさいですよね?陛下が指名したのにもかかわらず、納得出来ないからしっかりとした会議を開催しようと企画した4大貴族達には。こっちははた迷惑ですよ」


「そうね」


 私はまたため息を吐いてからメイドが淹れてくれた紅茶を飲んだ。


「さてと、私は先に行きます。陛下やクレアと一緒に入室するとまた要らない事を言う輩が出ますのでね」


「ウム」


「分かったわ」


 私は先に部屋から出て行った。

 私が会議室まで向かっていると、1人の中年貴族に会った。その中年貴族が。


「貴様は新参者の」


 と、言い捨てた。


「……………」


 私は無視して通り過ぎようとした。こんな()()()()()()()()に構っているヒマはない。

 普通ならば、お互いに通る場合は、中年貴族(したのもの)が頭を下げ、上の者。この場合は私は頷くだけでお互いに通り過ぎるだけになる。


 が、


「貴様!このワシに挨拶せんか!!」


 と、言ったので、


「オスッ」


 と、言ってやった。すると、


「き、貴様!!このワシになんという態度だ!!」


「あっ?貴様こそこの私に向かってなんという態度でなんという口の利き方をしているんだ?地位は私の方が上だぞ!!それを分かった上での発言か!!」


「貴様!新参者のくせに生意気な!!」


「だからなんだ?貴様はバカだろう?その程度で私にケンカを売るという事は、貴様は自分の家を潰す覚悟があっての事だよな?私は陛下から火の貴族を任命されているんだ。それを分かっての事だよな?」


それは当然な事だ。下の者が上の者にそういう態度と取るという事は、戦国時代の下剋上と同じとなる。だから、貴族になった私も強く出ないといけない。そうしないと、今後、私は下の者に舐められてしまう。


「陛下の威を借る女狐が!!貴様にそんな事なぞ出来るものか!!」


 中年貴族は強気の態度だ。


「アホが!私は既に火の領で幾つもの家を潰しているんだよ。それに貴様も同様に【陛下の威を借る狐】だよ。貴様の家も歴代の陛下から貴族の地位を任命されているのだからな?それを忘れている貴様は更に質が悪い!!」


「ッ!?」


 中年貴族の顔に汗が出て来ている。私の言葉で気付いたようだ。そう、コイツが貴族と名乗って居られるのは、歴代の陛下達のおかげだ。


「フン。今まで気付いていなかったのか?貴様の先祖が貴族に任命されなかったら、今の貴様はただの一般王国民に過ぎないんだよ。ただ、運が良かっただけで今日こんにちまで貴族と名乗っていられたがな。だがな!この貴族生活も今日で最後だよ。私はこの事を陛下にお伝えする。そして、私は貴様の家を取り潰すように進言する」


「なっ!?」


 絶句し口をぱくぱくさせる中年貴族。


「何を驚く?その覚悟で、この私に悪意があって絡んで来たのだろう。私は貴様の心が読めるんだよ。貴様は、私を一般王国民上がりだと、バカにする為に絡んで来たのだろう。そして、貴様は他の貴族達にも自分がやった成果を言いふらす為にな。更に私が何も言えないと勝手に決めつけていた。それが見誤りだよ」


 そう言って、私は立ち去る。私の後ろで中年貴族が何かを叫んでいるが、知らん!!


 会議室に入ると、4大貴族達はもちろんの事、陛下やクレアがもう既に来ていた。まあ、私は陛下達とは別ルートで行ったからね。


「遅れました」


 謝罪をする。


「フレイム卿!!陛下達よりも遅いとは何事か?」


 と、冢宰が苦言を呈した。


「申し訳ございません。行く途中で、私に悪意がある中年貴族に絡まれましてね。ああ。これが証拠です」


 魔法を使って先ほどのやりとりの映像を会議室に居る全員に見せた。


「────以上です」


 映像を見た全員がその内容と初めて観る映像にあ然としている。


「こ、コレは………本当の事ですか?」


 と、冢宰は私に聞いてきた。


「ウソの映像を流してどうするのですか?陛下と王女様に虚偽報告をしたら、自分の首が物理的にとびますが?」


「た、確かにそうですね」


 冢宰は納得していた。


「それに、私や中年貴族の言葉だけで証言しても、疚しい事がある者は、たとえ陛下の御前であったとしても絶対に真実だけを語りません。時にはウソを真実に織り交ぜて、更に自分の都合が良いように語りますからね」


「ウム、確かに。しかし、先ほどのが真実という確証は?」


 陛下が再度聴いた。


「陛下の御前でウソの映像を流して私に何の得になりましょうか。全て事実です」


「で、あるな。分かった。この者の処分は後ほど余が行う。フレイム卿が願い出た通りの処分とする」


「はい。ありがとうございます」


「左様ですね。映像あれを見せられたら、後の加害者の言い訳がたちませんね?それに、いくら、フレイム卿が貴族に成ったばかりといえども、5大貴族の一角であるフレイム卿に対してあのような発言はいただきませんね」


 と、冢宰がそう言い、残りの4大貴族達も頷いた。そして、会議の本題に入った。

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