聖を嵌めたヤツは? 4
『ピンポーン』と玄関のチャイムが鳴った。
「ん?誰だ?」
学園が休みだから、他の児童・生徒達は居ない。居るのは、仕事で来ている教師達だけだ。
「ジェーンじゃないのか?しかし、重要な事だったら放送で呼ぶよな?聖達が居ることは把握している筈だから」
「ですよね?ま、応対しますが」
私は玄関まで行き、誰だか確認すると。
「聖さんですか?私です。ジェーンです。それと、アルクェイドさんも一緒です」
非常に珍しい組み合わせだ。というより、アルクェイドがここに来るなんて思ってもいなかった。
私はドアを開けると。
「ちょっと!ここに来るまでなんていう魔法トラップを仕掛けているのよ。私でさえ迷い込んでしまったわよ」
来た早々に文句をたれていた。おそらく、ジェーン先生に私の部屋を教えてもらい、一回単独でここに来たが、魔法トラップが発動して突破が出来ずに、引き返して、ジェーン先生に同行してもらったのだろう。この魔法トラップは、私が許可した人が同伴なら発動しないようになっている。
「仕方ないでしょう?人外がここまで来られないようにの用心の為だよ。ま、人もそうだけど、私の許可が無いと、魔法トラップが発動するように仕掛けているよ」
「ちょっと!私もそうだと言うの?」
「というかさ、まさか、貴女が直接部屋まで来るとは思ってもいなかったのよ。今後は、貴女も普通に通れるようにするわ」
「まあ、確かにそうだけどね。私も貴女の部屋に行く予定はなかったけどね。とりあえず、部屋に入れてくれない?貴女に重要な話があるのよ」
「そのようですね」
ジェーン先生はアルクェイドの話の内容は判らないようだ。
「良いけどね?私の部屋はヴァンパイアの貴女にとってはキツいかもしれないわよ?」
アルクェイドはヴァンパイアだから、いくら真祖といえども神や天使達がいる神聖な部屋に入ればどうなるか判らない。
「キツいかもって?入れば分かるわ」
「分かったわ。どうぞ」
ジェーン先生とアルクェイドをリビングまで案内をするが、アルクェイドがリビングに入った途端に。
「うっ!?こ、コレはヤバいわ!!ちょっと出るわ」
アルクェイドが玄関まで避難した。やはり、神聖な気に当てられたようだ。
「おや?先ほどのは、ヴァンパイアですか?」
「えっ?ヴァンパイア!?この世界って、ヴァンパイアが居るの?」
ユカ達が驚いていた。
「事情はジェーン先生かステラ先生から聴いて。私はアルクェイドの所に行くわ」
そう言って、私はアルクェイドの所に行く。
「大丈夫か?」
「ええ、なんとか………貴女の部屋は何人、人が居るのよ。それにあそこの部屋はかなりの神聖なる気が充満していたわ。真祖である私でも耐えられないくらいの………」
「だろうね?だから、言ったのよ。陰の(妖)気を持つ貴女にはキツいと。あそこには、神や天使が居るのよ。そして、私が仕事が全て休みだったので、皆で集まってお茶会をしていたのよ」
「イヤ、なんで、神や天使が?」
「私達の使い魔だからよ。貴女は、途中で転入して来たから、使い魔召喚が出来なかったけど、使い魔召喚をやって、私達の使い魔にしたのよ」
「そうなのね?まあ、貴女達だから、驚かないわ。じゃあ話はここで良いわ。実はね私の国で」
と、アルクェイドは私に事情を話した。
「────と、いうワケで、貴女に私の国に来て欲しいのよ。で、これがウチの王からの親書よ」
懐から親書を出し私に渡す。その親書を読んでから。
「ふーん?でさ、陛下の所には行ったの?」
「えっ?まだだけどね」
「私はもう貴族だから、貴女の国に行くのに陛下のお許しが無いと行かれないのよ。それに陛下に会う手続きをした?貴女のような新参者の同盟国の貴族だと、どうしても手続きに時間が掛かるけど?大丈夫なの?」
「えっ?えーと………貴女が全てやってくれるのではないの?」
「なんで、他国の事で私が動かないといけない?貴女は、国の代表でしょう?自分でやりなさいよ」
「えっ?私が国代表?そんな大役引き受けた覚えはないわよ」
ポカーンとしていた。自分の立場を分かっていないようだ。
「あのね?これは家のおつかいではないのだからね。王に頼まれたということは、国の代表として、王の名代として貴女がやっているのよ」
「あっ!?」
「あって?貴女、今更気づいたの?貴女?本当に学力試験で私と同率首位になったの?普通は気づく筈でしょう?」
「う、うるさいな。私は超一流の真祖であるヴァンパイアなのよ!しかし、あのクソジジィー!!私を嵌めたな!!」
アルクェイドは悔しがっていたが。イザイヤの王はアルクェイドを全く嵌めていないと思う。単にアルクェイドはこのファーネリアの地理が誰よりも詳しいから、当たり前のように頼んだだけだと思う。
「はいはい。その超一流の真祖ヴァンパイア様を嵌めたイザイヤ王は更に上手の存在だね~?」
揶揄した。
「うっ!?」
アルクェイドは言葉を詰まらせた。
「ともあれだ。今回は、私から陛下に話を入れておくよ」
「えっ?本当?助かるわ」
「それでも、貴女には陛下にお目通りはしてもらうよ。イザイヤ王の親書を持っているのでしょう?」
念の為に訊く。持っていなければ、何の為に国代表として来たのか判らない。
「ええ、持っているわ」
アルクェイドは懐から親書を出した。
「コレは事前に預かっておくよ。陛下に渡すから」
「分かったわ。で、ここの国王に逢えるのはいつ頃になるのかしら?」
「それは、おって連絡を入れるわ。というか、貴女はこの休みはずっとカフェに居るでしょう?決まったら、そこで話すよ」
「分かったわ。じゃあ、私は帰るわ」
「ええ」
アルクェイドは帰っていった。
私は、リビングに戻り皆にアルクェイドの要件を伝えたのだった。
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