聖を嵌めたヤツは? 3
「そう言えば、お姉ぇ」
「ん?」
「どうして、お兄ぃの時は中学の教師達に嫌われていたの?」
「ああ、それは、俺も聞きたかったな。でも、あの頃の兄貴には聴けない雰囲気だったからな」
更夜もそう言った。
「こっちから嫌ったんだよ。アリもしない事でずっと嫌疑を掛けられていたからな!!その当時、俺が完全否定してもな、先公共は誰一人と信じていなかったんだよ。だから、先公共に反発をしたのさ。俺も先公共の話を聴かないとな」
「そうね。聖は授業中は教師達の話を全く聴いていなかったわね。いつも、外を見ていたし、体育の時間も何も授業に参加しなかったわ。各教科のテストも1問だけ答えを書いて、後は寝ていただけだったわ」
ユカが説明した。
「お姉ちゃん?そうなの?」
「そうだよ。中学の学習は、引きこもりの時にがぶり姉ぇの元でやってさ、ついでだから高校レベルの学習を全て修了したから、三年になって、出て来た時は、先公の授業なんて、がぶり姉ぇの授業に比べたら低レベルも良いところだったよ。テストも簡単すぎてさ、テストの中で一番難しい問題を一問だけ回答して寝ていたのさ。『お前ら、先公共のテストは簡単過ぎる』というメッセージさ。所がさ、それに気付いたバカな先公が居てさ、期末テストで、大学レベルの学習をしないと解けない問題を出して来たんだよ」
「そうだったわね。誰一人として解けないから、期末テスト中にも関わらず、学校中が大騒ぎになったわね」
「ああ、それ俺も覚えているよ。確か、何局かのリポーターが来たんだったな」
「そうだったわね。何故か、三年のテストで解けない問題を出題されていると学校中に流れて来たわね」
「マジか?生徒達が学習していない問題を出すなんて何を考えているんだ?教師の立場からして常識的にあり得ないぞ」
ステラ先生が驚いた表情で言った。
「聖もその問題をやらなかったのでしょう?どうして?」
エリサが質問した。
「中学の期末テストで大学レベルの問題なんてやる必要がないからだよ。だいたい、俺1人の為にそんな問題を作った先公の非常識だよ。俺は先公の付き合いはしないからね。だから、やらなかったし、そのテストで中学レベルの問題を1問解いたよ」
「えっ!?聖?あの時のテストの問題でまだ私達に解けない問題が有ったの?ホラ、あのテストは無効になったから、答案も帰って来なかったから」
私の言葉にユカが驚いた。
「ああ、あのテストは後、2問位有ったよ。その2問は高校レベルの問題だよ。だが、大学レベルの問題のインパクトが強すぎて、生徒の中で気付いたのは何人居るかだな」
「そうね。私もあの問題が全く分からなかったわ。それが発覚したのは試験官の教師だったわ。生徒が質問して、その問題を見た試験官が『なんだこの問題は!?こんな問題は今のお前達には無理だ!!その問題はやらないで良い』って言っていたからさ。それで、緊張感が切れてクラスの皆がざわついて、もうテストところではなくなったわね」
「そうだね。他のクラスも同じようにざわついていたな」
「信じられないぞ。どれだけ、その中学教師達は聖を敵視していたんだ?こんな使い勝手の良いヤツなんて、他に居ないぞ」
「つ、使い勝手が良いって…………?」
ユカはあ然としている。
「先生?最後の言葉!!」
「あっ?真実だろう。なんだかんだで、やってくれているしな。私は大いに助かっているぞ!」
「というか、私を委員長に据えたのは先生でしょう!!だから、委員長として仕方なくやっているのですよ!!」
「フン!私がお前をクラス委員長として指名したのは、ただ目が合っただけではないぞ。お前なら、このクラスを良いように導いてくれると、出会った時から確信があったからだよ。だから、委員長に指名をしたんだよ。どうだ?お前らも私の言うことは分かるだろう?」
先生はマリア達を見た。
「確かにそうだね。クラスもしっかりと纏まっているわね」
「…………うん。それに生徒達は聖の言うことを聞いているし、騒ぐ事がなくなっている」
マリアとエルフが答える。
「だろう?コイツを見た時からエリサよりもリーダーの資質を持っているな。と、直感で感じたから指名したんだよ」
「そうね。聖は元々そういう人だったわ。中学1年の時は遺憾なく発揮していたもの。だから、当時の担任教師からも信頼されていたわ」
「だろうよ。判るヤツには判るんだよ」
「だからといってのうステラよ。今期のテストを聖に作らせようとしたのは遺憾じゃぞ」
「そうですよ」
「はい」
ヒルドさん、ルエルさん、ミカ姉ぇが睨み付ける。
「うっ!?あ、あれは、反省している………というか、調子に乗りすぎた」
そう、先生は、私に今期のテストを作らせようとしていたが、この3人に思い切り睨まれ断念した。というよりも、面倒くさいからと言って私にテストを作らせようとすること事態が間違っている。そして、学園長達にも(ママも含む)こってりと説教されたのだった。
「で?その中学の教師はその後どうなったの?」
エリサが話を戻した。
「ああ、発覚後に教育委員会から厳重注意と3ヶ月の減俸処分を受けたと聴いているよ」
「そうなのね?しかし、その教師はバカな事をやったものね」
「そうだね。生徒達にとっては、高校受験の為の大事なテストなのにね」
「ええ。本当に傍迷惑だったわ」
「しかし、コレって、完全にお兄ぃを狙い撃ちした行為だよね?」
「そうですよ。あのテストは完全に聖さん1人だけの為にやった行為ですよ。保護者説明会で校長が説明をしましたが、あれは、聖さん1人だけを狙い撃ちした行為ですが、テレビ局が報道した為にその事実は学校側で隠蔽したようです。責任は全てその教師1人だけになっていますね」
がぶり姉ぇがそう説明をした。
「どれだけ、その中学校教師達は聖を嫌っていたのよ。この王国でそのような行為が発覚したら、関わった人物達はただでは済ませれないわ」
「そうだな。1人の人物を集団でよってたかって虐めているんだ。かなりの罰になるな」
「ま、どうして、俺をそう貶めたのかは判らないが、あの中学教師達は一生許さないよ」
「そうだな。お前の人生を潰しにかかったヤツらだ。それを許す必要もないな」
先生がそう言うと、皆が頷いた。
そして、玄関のチャイムが鳴った。
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