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勇者召喚 12

 がぶり姉ぇ達を寮部屋を案内し、リビングの席に着いてから話す。


「ここがこれからあたし達住む部屋なの?」


「思っていた以上に広いけど、男の俺も本当にここに住んでも良いのかよ?ここって女子寮部屋だろう?」


 更夜が不安がっている。ま、男が更夜1人だから不安がるのは仕方ない。


「良いに決まっているだろう。学園長も許可していただろう?私達は神で、この王国が拝んでいる子供だ。学園側としてもこれ以上の聖域を作らないようにしたいのだろうよ。だから、この部屋は私が買い取ったんだよ」


 そう、纏まったお金が大量に入ったので、この特別室を私が買い取った。だから、この部屋は私の私物となっているので、自由に出来る。


「買い取り!?」


「すごっ!お姉ぇは金持ちなの?」


「ああ。この王国で稼いだからな」


 いろんな事件を解決してきた結果、報酬として入って来た。


「そうなんだ」


 舞が納得している。がぶり姉ぇが、


「舞さん、更夜さん。()()をやらなくも良いのですか?」


「もちろんやるわ」


「兄貴達はリビングから出て行ってくれるか?」


「あたし達がいいよって言うまで」


「ん?」

「ああ。まぁ行こうか?」

「そうだな」


 私達はリビングから出て行く。

 一体、何があるんだろうか?しばらく待つと。


『いいよ!』


 と、声が聞こえたので、2人して再びリビングに入ると、舞と更夜の位置が………。


「お兄ぃ、お姉ぇ、おかえりなさい」


「兄貴、姉貴、おかえり。遅かったな」


 そして、がぶり姉ぇが、キッチンから出て来て。


「サトルさん、聖さん、おかえりなさい。タ食はなにが良いですか?」


 と、3人はそう私達に声をかけた。舞と更夜が座っている位置は、自宅での座っているいつもの場所だった。そして、がぶり姉ぇはいつもキッチンから出て来た。


「「あっ!!」」


 私達は分かった。もし、私達があの事故に遭わなかったら、家族で食事をして、家族でなにげもない日常会話をして、そのいつもの1日が終わる筈だった。


 しかし、現実は私達はあの日に死んでしまったから。


 私達は顔を見合わせ頷いて、


「「ただいま。かなり遅くなってしまった」」


 と、言って、席に着いた。


「お前達はこれをやりたい為に」

「私達をリビングから出したのか?」


「そうだよ。あたし達がこの世界に来た時に絶対にやろうって決めていたのよ」

「そして、兄貴と姉貴が漸く俺達の所に帰って来た」


「ああ」

「そうだな」

「「漸く、俺達はお前達の所に帰って来られた」」


「これからもずっと一緒に皆で住もう!!」


 舞がそう言うが、サトルは申し訳ない顔をして、


「…………済まないな舞。俺は無理だ」


 そう言った。


「ど、どうしてよ。あたし達はせっかく会えたのよ。お兄ぃもここに住もうよ」


「今の俺は旅の大道芸人だ。お前達とは住めない。俺は、大道芸人が今の生活が気に入っているんだ」


「な、なら!あたしもお兄ぃと一緒に行くわ!あたしは更夜と違って勇者じゃない!だから!」


「ダメだ!お前はここでがぶり姉ぇや姉貴達と暮らせ!それに俺の暮らしは最低限の暮らしだ。舞にそんな事はさせたくはない!」


「お兄ぃ………あたしは、あたしは」


 舞は泣きそうになっている。


「すまんな……とはいえ、朝練の時には会えるのだからな。ずっと会えない訳ではないし、もう1人の俺。姉貴がいるんだ」


「サトル?そうではないだろう?舞と更夜はな。前世の姿をしたお前にずっと居て欲しいんだよ。この場合の私は赤の他人と同じだよ。舞や更夜にとっては、お前が兄だった山瀨 聖そのものなんだよ」


「お前達、そうなのか?」


 サトルは私の話を聞き、舞達に確認する。


「うん。頭では両方共、同じお兄ぃと分かっているけど………」


「やっぱり、兄貴ぜんせいの姿をした兄貴を見ると………」


 2人は言葉を詰まらせて言う。私に対して遠慮をしている。


「そうか。そうだな。俺も本当はお前達とここで暮らしたいけどな。でもな。俺は大道芸人になるって既に決めてしまったんだよ。だから、お前達とはずっと暮らせないが、これが今生の別れでもないからな」


「そうですよ。これで今生の別れではありませんよ。それに、いずれ、巣立たないといけない時期がありますよ。たまたまサトルさんがそうだったのですよ」


 がぶり姉ぇがそう言うと、舞と更夜が頷いた。


 そして、見計らったように、父さん達が転移してやって来た。


「全員、揃ったな」


「あっ!?」


「急に現れるなよ。ビックリした」


 舞と更夜の2人は父さん達がいきなり現れたので、体をビクッとした。


「ね?お姉ぇ?父さん達っていつもこうなの?」


「そうだ。こうやって急に現れる事が多いな。ま、転移魔法だと認識をすればそんなに驚かないよ」


「そうなんだ?」


「地球の時とは違うのか?」


「そうだな。この世界は魔法が日常だからな。魔法が使えない人間も、転移魔法だと認識が出来る。だから、父さん達は平気でこうやって現れるんだよ」


「そうなんだね?じゃあ、地球と違い父さん達はここにしょっちゅう来るの?」


「そうだな。地球の時は年に2,3回程だったが、ここでは、かなり来ているぞ。やはり、直接、転移魔法が使えるのが大きいな」


「そうね。地球よりもここの方が気軽に来られるわね。だから、ちょくちょく会いに来るわ」


 と、母さんが言うと、舞と更夜が嫌そうな顔をした。


「なによ?その顔は?」


「だ、だってね?」


「ああ………」


 2人は顔を合わせ、震えている。


「母さんが帰って来る度に私達に無茶ぶりをさせているのが原因だよ。毎回、そんな無茶ぶりをすればこの2人のように嫌な顔になるさ。トラウマと言っても過言ではないよ」


「わ、悪かったわね。もうここではしないわよ」


「本当に?」


「ええ。ここではやっていないわよ。ね?聖?」


「まあね。やってはいないが、私を着せ替え人形にするけどな!!」


 私は母さんに向けてクレームを言った。

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