勇者召喚 1
~地球・日本~
「舞さん、更夜さん、準備は出来ましたか?」
私、ガブリエルは、舞さん、更夜さんを連れてこの家を出る。既に家の中の家具類は何も無い。何故なら2度とここに戻っては来ないからだ。
そして、舞さん達が通っていた学校には両親がいる海外の学校に転校すると夏休みに入ってから伝えてある。
「うん、準備は出来たけど、家を出るのが早くない?お兄ぃが指定した時間はまだまだだよ?」
「そうだよがぶり姉ぇ。どうしてこんなに朝早く出るの?」
舞さん達は私の意図が分からないようですね。
「はい、私達は、特に舞さんと更夜さんはこの世界にはもう来られませんので、最後に聖さんのお墓参りをしようと思いましてね。確かに、聖さん達は、私達がこれから行く世界に生きていますが、オリジナルの躰は、ここに眠っていますからね」
私がそう説明すると、2人は『あっ!?』と言い。
「そうだよ。兄貴の躰はここに眠っていたんだ」
「そうよね。なら、早くお兄ぃのお墓参りに行こう!!」
と、舞さんは、肉体強化の魔法を掛けて、尋常では考えられないスピードで走って行った。
「あ、姉貴待てよ!俺達を置いて行くなよ!!」
更夜さんも同様に肉体強化魔法を掛けて舞さんを追いかけて走って行った。
「やれやれですね。召喚時間には余裕がありますが、仕方ないですね」
私も2人を追いかける。
私達は聖さんのお墓にお線香とお花を手向けて、手を合わせた。
「お兄ぃ。これから、お兄ぃ達の世界に行くからね。そして、一緒に暮らすからね」
舞さんが聖さんのお墓にそう報告をした。
「(まあ、そうですが、なんかややこしい言い方ですね?)」
お祈りがすみ、3人でお墓掃除をする。
「これで、お兄ぃのお墓を管理する人はいないわね」
「そうだな。兄貴の墓が少し心配だな」
「大丈夫ですよ。お父様とお母様が聖さんのお墓を管理をしますよ」
私は2人を安心させる為に言うが、
『ないない、絶対にない』
と、2人は声をハモらせて言った。そんなに両親の信用が無いのですか?ま、今まで、放置して来たのが原因でしょうけどね…………。
私は盛大な溜め息を吐いてしまった。
掃除が終わる頃に1人女性がこちらに向かって来た。この人は?
「おはようございます。お久しぶりです。私、【柏原 ユカ】です、覚えていますか?」
と、私達に向けて挨拶をした。
柏原ユカさんは、聖さんの幼なじみで、よく聖さん達と遊んでいました。そして、中学校の元同級生。今は他県の有名私立高校に行っているようです。
「はい、覚えていますよ。葬儀にもいらっしゃってありがとうございました」
「あっ!ユカさんだ!おはようございます。お久しぶり!」
「おはようございます。ユカさん、お久しぶりです」
私達も挨拶をした。
「はい。これから、聖にも帰った事を報告をしたいのですが?」
「はい、聖さんも喜びますよ」
「ありがとうございます」
私達はユカさんに譲った。
ユカさんは、お花を手向けて、手を合わせているが、ユカさんの表情がやや暗い。
しかし、
チラッと時計を見ると…………。
「ねぇ?がぶり姉ぇ?」
舞さんも気づいたようですね?
そう、召喚の時間が迫って来ていますね。そろそろユカさんにお別れの挨拶をしないといけないのですが、ユカさんはまだ聖さんのお墓に手を合わせています。
「分かっていますよ」
小声で交わして、ユカさんに言おうとしましたが、ユカさんはお祈りを止めて、立ち上がりました。
「ガブリエルさん、ありがとうございました。私はこれで」
と、ユカさんの方から別れの挨拶をしたのですが、やはり、ユカさんの表情が冴えませんね?どことなく暗いですね。まさかと思いますが、きっと勘違いですね?
私は舞さんと更夜さんを優先にしなければなりません。
「では、また」
お会いしましょう。と言おうとした時に、ユカさんの足下に魔法陣が出現しました。
なんというご都合主義でしょうね?
「えっ?えっ?な、なに?足下から変な模様が急に??」
ユカさんは困惑しています。ま、それは当たり前ですね。これで困惑していないとなると、私達のように事前に知っていた事になりますからね。
「ま、魔法陣!?」
「コレ、召喚の魔法陣なのか!?」
「はい。召喚魔法陣ですね。しかも、この魔法陣から聖さんとミカエルの魔力を感じますよ」
驚く2人に説明をしました。しかし、ユカさんは、
「えっ?な、何を言っているの?えっ?」
ユカさんはもうパニック寸前です。
「行きましょう!ユカさん?あちらに着いたら、ご説明しますので、しばらくの間、私達に付き合ってくださいな」
私達は、ユカさんを中心に出現した魔法陣に飛び込んだ。そして、私達は、この世界から姿を消した。
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